ドイツからの便り vol.3『寒さとのお付き合い』


寒さはあいかわらず厳しいまま、年が明けました。忙しい12月にくらべると少しのんびりとした1月、いかがお過ごしでしょうか。今年もどうぞよろしくおねがいいたします。

こちらヨーロッパでは異例の大寒波が訪れ、各地で寒さの記録を更新中です。いつもは温暖なスペインやイタリアなどの地域では、はじめ見慣れぬ雪景色を喜ぶ声があがっていましたが何日も続くと対応が追いつかず生活に支障をきたすようになりました。クリスマスの帰省ラッシュ真っ只中、交通網に大影響が出たことが年末年始頻繁に聞かれるニュースとなりました。
ドイツ国内では、東に位置するドレスデン近郊で最低気温−27.7℃を記録。
南ドイツのバイエルン地方など雪国の冬と違い、東側はシベリアからの風が肌に刺し、ひたすら寒さを耐え抜く、といった暗く厳しいものです。本来積雪はあまりなく、とにかく寒いのですがこの冬はベルリンにもずいぶん雪が降り積もっています。

 夏の終わりにご紹介したあのグラスコンテナーにもこんなに雪がかぶりました

 除雪車が夜中3時の出動を待機中

冬至を過ぎ、確実に日が長くなってはいるのですが、1月2月は寒さが一番厳しい時期。クリスマスも大晦日も終わり、イベントに欠ける単調な時期に入りますが、楽しく冬を過ごすコツはあるのでしょうか。

子供と犬は元気で外に
日本の子供にとって冬休みといえば12月から1月にかけてのそれですが、ドイツではクリスマス休みの他、2月に2つ目の冬休みがあります。スイスに行くとこれは「スポーツ休み」とよばれ、つまりスキーをする休暇となります。スキーリゾートから遠いベルリンの子供たちはそりやスケート、アイスホッケーで時間を忘れるほど楽しみます。じっと待たされている大人たちはただただ寒そうなのですが・・・。
大雪が降った週末、いつもはそりすべりの子供たちが集まる公園で大規模な雪合戦が行われました。ネット上で声をかけあった300人以上が大集合し、ここでは大の大人が子供に負けずおおはしゃぎ。暗さと寒さをしばし忘れる日曜日の午後でした。
 人がまばらになった公園。日が落ちかけていますがまだ午後3時半です

室内での過ごしかた
午後も4時を過ぎれば外は真っ暗になってしまうこの季節、外で元気に過ごす!にも限界があり、なにかと室内にいる時間が長くなります。
室内で楽しく過ごす工夫とは・・・。

ドイツでは12月になるといろいろなクリスマスクッキーを焼きます。レープクーヘンやシュトーレン、シナモンのきいた星型のクッキー、クロワッサンの形をしたクッキーなどレパートリーは豊富。友達に配ったり、カフェタイムに招待したり。これにホットチョコレートや、スパイシーで甘いホットワイン(Gl%uC3BChweinグリューワイン)で体を温めます。
 クロワッサン型のヴァニラ味クッキー、Vanillekipferlを焼くところ

セントラルヒーティング
クリスマスが過ぎてもおうちカフェは定着し、ホームパーティーを開いて友達と一緒に食事をしたりDVD鑑賞をしたりする機会が増えます。一人の時は読書をしたり、考え事にふけったり、じっとしているとすぐに体温が下がります。
なにをするにも、室内で快適に過ごすのに肝心なのが暖房。

こちらの暖房は熱風を送るタイプではなく、ラジエーター(放熱器)そのものが暖かくなり室内の空気を暖める方式が主となります。屋外に干す習慣のない洗濯物も部屋に吊るしておくとよく乾き、適度な湿度が部屋に行き渡るという一石二鳥な面も備えています。効率よく室内を暖めるには寒くても思い切って窓を全開し、換気することも非常に重要です。
 ラジエーターはこんな姿をしています

アパートや家ごとに、一箇所に設置された熱の源(ボイラー)から各室に熱を送って暖房する「セントラルヒーティング」という仕組み。日本でも北海道など北地域では普及しているシステムです。
自分で家を建てるのでない限り暖房を買うことはないので家電屋さんに大きな暖房器具が並んでいることはまずありません。冬になると夏に扇風機売り場になっていた場所に数種類のストーブが置かれているくらいです。

 寒がりの人には、湯たんぽ、足温器もエクストラとして活躍

その他ベルリンには石炭暖房が比較的多く見られ、石炭が燃える独特な匂いがしてくると冬の始まりを感じます。石炭暖房が主要だった頃は硫黄で黄色い雪が降ったそうです。環境に悪く、コストの面でも経済的といえない石炭暖房は年々減少し、
20年前は50万世帯を暖めていた石炭暖房も現在は5万世帯を暖めるのみとなっているようです。資源の枯渇と環境への影響に応じて、電球だけでなく、暖房も世代交代していくのですね。

人気のサウナ
寒いとき、暖を求めて人が集まるのは世界共通。
日本人が温泉好きであるのに対し、ドイツ人はサウナ好き。
最近のサウナブームはとどまるところを知りません。
フィンランド発祥のサウナだけでなく、アラブ圏発祥のハンマーム、最近では日本の温泉からヒントを得た高温のお風呂が登場しているそう。
ベルリンの人気スポット、街を流れるシュプレー川に浮かぶBadeschiff。
 夏はプール、冬になるとサウナに姿を変えます。

ドイツのサウナではヨーロッパでも珍しく男女混浴が普通です。そこに怖気づいて私はまだ行ったことがないのですが、週に一度は必ずというリピーターも周りに少なくありません。仕事の後に、週末に、リラックスという意味で「暖」が私たちに与えてくれるものは温泉もサウナも似たところがあるのでしょうね。

寒がっているばかりでなく、こうして寒さについていろいろ考えをめぐらすと、冬もずいぶん楽しいことがいっぱいあるんだな、と気付きました。寒さを楽しんでしまおう!という元気さが風邪のウィルスも吹き飛ばしてくれるのかもしれません。

★『ドイツからの便り』の他の記事を読む
特派員:スズキ(フランスで学生をしたり、スイスで時計店に勤めたり、気がつくとヨーロッパ10年目、現在はドイツで再び学生生活中。)
vol.1『エコロジストの正体』
vol.2『明かりの世代交代
vol.3『寒さとのお付き合い』
vol.4 『待ちに待った春の訪れ』
vol.5『初夏を味わう』
vol.6『引越しは秋の風情』
vol.7『手作り家作り』