デンマークからの便り vol.10 『デンマークの春』


春から初夏にかけて、花々の美しい時。
デンマークに暮らしていると、週単位で変化している自然の今を堪能しなければ、またあの寒い季節がやってくる!と少し焦ってしまうのは、私だけなのでしょうか?

春の始めには木立の足下に小さな花々が咲き始めます。これは森の中に咲くアネモネ

ようやく長かった冬の終わりの気配を感じるのは、外から聞こえてくる鳥の声と、日に日に感じられる太陽の光。デンマークの春は微笑みが多くなる季節です。

コペンハーゲンの町中にあるローゼンボー王立公園。クロッカスのカーペット

特に例年にない雪に見舞われた今年の冬の後では、この春の気配は最高の自然の贈り物。
「前回のデンマークの便り9」にも書きましたが、長い冬の暗さの後では、 「太陽の光を浴びたい!」欲求は高まります。
仕事をしていてもランチの時間などは、ベランダや中庭で太陽を浴びながらちょっと一息。

ランチタイム

公園のベンチなどでも、なにをするでも無く目を閉じて口元は微笑み、太陽に向けて顔をあげて光を満喫している人々はよく目にする光景です。

ローゼンボー王立公園

家の中にいるよりも、少しでも外に出て今を堪能するちょっとした工夫。週末はコーヒーを魔法瓶にいれて新聞をもって近くの公園や、アパートの共同の中庭、あるいは自分の庭でのんびりする。そこに友達家族なども加わっておしゃべり。のんびりしたデンマークの時間が流れていきます。

中庭でくつろぐ、日常の風景

日常生活に身近な外部空間が、自然の森や草原、から、公園、中庭といった都市のパブリック空間、そして個人の庭にいたるまで、いいバランスと距離感で計画、実現され、人々も日常生活のなかでそれらの使い方のセンスを心得ている。
外部空間に携わる仕事をしている私には、デンマークの日常生活から学べることがたくさんあります。

※この記事は2010年にご寄稿いただいたものです。紹介している情報は2010年当時のものです。

★『デンマークからの便り』バックナンバーを読む
特派員:林 英理子(デンマーク在住のランドスケープデザイナー)
vol.10 『デンマークの春』
vol.9 『デンマークの冬/コントラストのある生活』
vol.8 『地域性とエコロジカル』
vol.7『物を大切にする暮らし』
vol.6 『社会に蓄積していくデザイン』
vol.5『Jorn Utzon』
vol.4『デンマークのクリスマス』
vol.3『デンマークの住宅、建築事情』
vol.2『デンマーク、自転車生活』
vol.1『10回目の夏』