デンマークからの便り vol.7『物を大切にする暮らし』


こんにちわ、林です。ドイツ、日本のゴミレポートに続き、デンマークに暮らしていて感じる、ゴミまたはゴミにまつわる暮らしについてレポートします。

ゴミの選別の簡素さ
家庭ゴミの選別はいたってシンプル。紙類、乾電池、ガラス瓶、プラスチックの瓶、薬品類が入っていた容器、庭の木々、粗大ゴミは分けてゴミに出しますが、後の普段出る家庭ゴミを基本的に選別はしません。ビニール袋にまとめて、アパートごとにおくように義務づけられているコンテナに入れるだけ。
ドイツからのレポートにもあるように、ペットボトル、ビール瓶、空き缶のリファウンドシステムは行き届いていて、最寄りのスパー、キヨスクなどに持って行きます。

日本の様にゴミの日というのは決まっていなく、いつでもそこにきちんと入れておくだけで、週に3回ほどゴミ回収の車が早朝にやってきます。ゴミ回収車は、コンテナを引っ掛けて、中のゴミを回収して空にしていきます。

一般のゴミをコンテナへ

新聞、雑誌などを入れるコンテナ

 乾電池を捨てるスタンド

アパートの中庭では、家庭の生ゴミを入れるコンポストをおいているところも増えてきました。

デンマークではゴミの選別も日本に比べてはおおらかです。
それでも環境に配慮した取り組みや、ゴミに関してのコミューンからの情報を見かける事が多くなりました。
簡潔で人々がストレスに感じる事のないゴミに関するシステムが、生活に浸透しているようです。

町の風景とゴミ置き場
デンマークでランドスケープアーキテクトとして集合住宅のプロジェクトに多く携わってきました。ゴミのコンテナを置くスペースと自転車置き場は義務付けされていて、その数も大きさもコミューンにより規定されています。
設計する上て、ゴミのコンテナがなるべく目立つことなくコンテナが出し入れしやすいデザインを新しい集合住宅で設計してきました。

 新しい住宅地のリサイクルのコンテナ置き場。
2つ見えるのは、空き瓶用コンテナ。

 こちらは中庭にある、ゴミ置き場。この小屋の中にコンテナが並んでいます。

 こちらはコペンハーゲンのスタンダードゴミ箱です。市庁舎広場にて。

簡素な包装
お店で物を買うときに出る梱包は至ってシンプル。(これは日本が少し過剰とおもわれますが、、、)
スーパーマーケットでの買い物袋は有料、一袋約50円。この袋代は意外に高い。スーパーマーケットで買い物をしていて、約半数の人が持参した袋を使用している感じです。

リサイクル
物価が高いデンマークではリサイクルショップが地域の中に点在します。
おしゃれな、アンティークショップから教会などが主催するお店などいろいろ。わたしも使わなくなった、服、靴、鞄などをお店に提供してきました。お店には意外に掘り出しものも紛れ込んでいる事もあります。
私が使っている食卓のいす。一脚2000円。たまたまリサイクルショップでみつけた、デンマーク人デザイナーの椅子です。
 ランプと机は友達が使っていないものを借りています。
ランプはコンテナに破棄されていたのもを拾ってきたそうですよ。

デンマークにて生活するようになり実感するのは, あまり物を買わなくなった事。必要最低限。でも買うならば吟味して自分の好きな物を長く大切に使うこと。
デンマーク人の友達はよく、自分の使っている家具や食器などがおじいちゃんやおばあちゃんから受け継いだものだったりもします。良質な物を家族で受け継いで使っている。何世代が使ったものが継続して生活空間の中にあることはとても良い事だと思います。

物を買う事が少なくなること、物を大切に使う精神、このデンマークの暮らしの中であらためて身に付くことです。

※この記事は2009年にご寄稿いただいたものです。紹介している情報は2009年当時のものです。

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特派員:林 英理子(デンマーク在住のランドスケープデザイナー)

Vol.10 『デンマークの春』
vol.9 『デンマークの冬/コントラストのある生活』
vol.8 『地域性とエコロジカル』
vol.7『物を大切にする暮らし』
vol.6 『社会に蓄積していくデザイン』
vol.5『Jorn Utzon』
vol.4『デンマークのクリスマス』
vol.3『デンマークの住宅、建築事情』
vol.2『デンマーク、自転車生活』
vol.1『10回目の夏』