デンマークからの便り vol.4『デンマークのクリスマス』


デンマークは12月入り、いっそう暗く寒くなってきました。
夏は夜の11時ごろまで明るい代わりに、冬は冬至に向かって日が短くなっていきます。今は朝の7時半ごろまで暗く、夕方4時ごろには日が沈み、仕事をしていると一日太陽を見ないまま、一日が終わっていくような気分です。
この季節を乗り切るためにデンマーク人は、自分たちの住空間を居心地の良いものとし、家族や、友達などと集まり長い夜を過ごします。
この長い冬があるからこそ、北欧の優れた家具デザインや照明デザインが生み出されてきたのだと、いつも実感させられる季節でもあります。
そして又、クリスマスもつらい冬を乗り切る、とっておきのイベントとなるのです。

コペンハーゲンのいたるところがクリスマスツリー、イルミネーションに彩られてきました。

コペンハーゲン中央駅にて。

街ではクリスマスパレードも見かけられます。

なぜか、デンマークのサンタクロースは消防車に乗ってパレードに登場するのだけれど、いつもなぜ???と不思議に私は思っているのです。

クリスマスの4週間前の日曜日はキリスト教の待降節の始まりです。デンマークでは、その日曜日には、家族や友達などと集まり、クリスマスの飾りを作る伝統があります。今年は同僚のIdaさんに誘われて、クリスマスの飾り、Adventskrans(アドブェントカンス)を作ってきました。
彼女に事務所で、「日曜日には、キャンドル4本、藁でできた輪、それとリボンを買ってきてね。」と言われました。さて、日曜日に彼女のアパートに訪ねていくと。


大きな白いテーブルの上には、さまざまな彩りのビロードの様な苔、苔、苔!
彼女達はスウェーデンの森の中にサマーハウスを持っていて、そこから苔を採ってきたそうです。しかも彼女の旦那様のGunnarさんは苔を研究している学者さん。苔の名前はもちろん、苔の特徴解説付きでした。

作り方はいたって簡単、買ってきた藁の輪に糸をくくりつけて、自分の好きな苔を選びながら、糸でぐるぐる縛っていくのです。

好みで、サルの腰掛風きのこや、松ぼっくりなどをアレンジしながら、丸い緑のリース状のものを作ります。

その上に4本のキャンドルに釘を付けたものをつきたてて、リボンなどでデコレーションして、出来上がり。
この、4本のキャンドルというところに意味があり、クリスマスを心待ちにするデンマーク人、4週間前から、日曜日ごとに1本ずつキャンドルに火を灯していきます。4本火が灯るとクリスマス!

また、クリスマスといえば、デンマークではJulegløgg(赤ワインの中にアーモンド、干し葡萄、シナモンなどを入れた、暖かい飲み物)、Æbleskive(丸いお菓子)を食べながら、みんな、思い思いの素敵な、アドブェントカンスを作っていました。
 Johan君5歳。彼もすごく熱中して、盆栽風な渋いやつを作りました。(上段)
赤キャベツと苔で作っていた方も!彩りがきれいです。(下段左)
これは、Idaのです。(下段中央)
私は、こんな感じで作ってみました。(下段右)

Special thanks Gunnar and Ida!

※この記事は2007年にご寄稿いただいたものです。紹介している情報は2007年当時のものです。

★『デンマークからの便り』の他の記事を読む
特派員:林 英理子(デンマーク在住のランドスケープデザイナー)

Vol.10 『デンマークの春』
vol.9 『デンマークの冬/コントラストのある生活』
vol.8 『地域性とエコロジカル』
vol.7『物を大切にする暮らし』
vol.6 『社会に蓄積していくデザイン』
vol.5『Jorn Utzon』
vol.4『デンマークのクリスマス』
vol.3『デンマークの住宅、建築事情』
vol.2『デンマーク、自転車生活』
vol.1『10回目の夏』