岐阜からの便りVol.2 岐阜南部の冬の暮らし


1月に入り、かなり冷え込んできました。夏の便りで気象グラフを紹介しましたが、名古屋にくらべて2℃ほど寒く、1月下旬から2月末にかけて、明け方に氷点下になる日も増え、雪も年に数回降ります。

雪のちらつく日の我が家

雪のちらつく日の我が家

ですが、冬ならではの楽しみがあります。そうです、日向ぼっこと薪ストーブです。
外が寒いときこそ、この暖かさが心地いいのです。

冬の日中の室内/南の大きな窓から太陽が降り注ぎ、暖かい。

冬の日中の室内/南の大きな窓から太陽が降り注ぎ、暖かい。

上の写真は、冬の日中の室内の様子です。南の大きな窓から太陽が降り注ぎ、いかにも暖かそうですよね。よく見ていただくと、冬場は無用の長物になる網戸も外しています。(これで日射取得は1.5倍ほどに向上)
我が家の断熱仕様は、実験住宅の意味合いも兼ねて、普段の設計では採用しない構成です。実は窓改修を行わずアルミサッシのシングルガラスのままです。
最近よく使うのは、高性能なLow-Eペアガラスです。Low-Eガラスは、金属膜を蒸着し、断熱や遮熱性を高めたガラスですが、その分日射取得も下がってしまいます。日射取得型でも70%弱程度の日射取得です。その分最も単純なシングルガラスは日射を90%程度取り込めます。ですが、シングルガラスには大きな弱点があります。断熱性能が極端に低いことです。(Low-Eペアの4倍ほど熱が逃げやすい)

そこで、我が家では断熱性能の向上のため、空気層が2層あるダブルハニカムスクリーンを設置しています。この断熱スクリーンを下ろすと、ちょうどLew-Eペア程度の断熱性能になります。つまり、日中は最大限日射熱を取り込み、夜間は付属物で断熱強化を行います。これは、日中に人がいてコントロールできることが条件になります。写真は2層ハニカムスクリーンですが、いろいろな位置で止めることもでき、視線遮蔽も考えながらうまく日差しを取り込むことができます。

我が家のハニカムサーモ

我が家のハニカムサーモ

この良さそうなハニカムスクリーンにも弱点があります。それは、熱は通しにくいのですが、湿気は簡単に通してしまうことです。つまり、スクリーンとガラス間が、かなり冷え込み、ここに湿気が入ることで、窓の結露が激しくなります。
石油ストーブやガスファンヒーター等の燃焼によって出る排気ガスは非常に多くの水蒸気を含んでいます。一晩で2リットルくらい出ることもあります。これでは、窓付近の結露が一層激しくなります。

そのため、窓の結露対策も兼ねて、我が家の暖房設備は、薪ストーブを基本にしています。

我が家の薪ストーブ(左)と、そのサーモ画像(右)

我が家の薪ストーブ(左)と、そのサーモ画像(右)

薪ストーブの良さは、煙突で排気しますので室内に余分な水蒸気を出さないこと、本体が熱くなる放射型の暖房設備であることが挙げられます。
上の写真はサーモ画像ですが、本体は300℃近く発熱し、周辺の壁や床を暖めます。サーモ画像の黄色で約30℃、青色でも20℃程度です。人の体感温度は、空気温度だけでなくこれら壁や床などの表面温度も感じ取っています。一般的に、体感温度=(室温+表面温度)÷2で計算しますので、表面温度が暖かければ室温は多少低くても心地よく感じます。

では我が家の冬の暮らし(良く晴れた日の2日間)の室温変化を見てみます。

我が家の冬の暮らし(良く晴れた日の2日間)の室温変化

我が家の冬の暮らし(良く晴れた日の2日間)の室温変化

明け方の外気温(青)は-2.3℃と非常に寒い日ですが、縁側(緑)は、シングルガラスの取り込みによって、日中に30℃近く上がることもあります。明け方、非常に下がっているのは、冷たさの実験用に縁側床を無断熱にしていた時期の測定結果のためで、現在は断熱を入れています。
居間(赤)は明け方8.3℃まで下がっていますが、日中は15以上になり、夕方以降に薪ストーブを着火しているのがわかります。夜間も薪ストーブをつけていますが、18℃程度で調整しています。これは、壁などの表面温度が暖かいため、室温は18℃を超えると暑すぎるからです。

室温18℃、湿度40%の場合の結露が始まる温度は3℃程度です。シングルガラスの窓でも、そこまでひどい結露は発生しません。もし、28℃40%で暮らしていると、12℃でも結露してしまいますので、窓はびっしょり濡れていることになります。

室内の様子

室内の様子

薪ストーブ1台で家全体に暖気がいくように室内はほぼ一室空間です。天井には夏にも活躍した天井扇があり、逆回転させることで、気流をほとんど感じることなく暖気を循環します。

我が家の薪ストック

我が家の薪ストック

薪ストーブの難点は、一般的に薪の確保でしょう。我が家も薪ストックが多くあります。性能はハニカムスクリーンを考慮するとちょうど省エネ基準程度ですが、断熱性能を向上させていくと薪の消費量もそこまで多くありません。
家の中が暖かいと、体も暖まっていて、薪の補充に外に取りに行くのも苦痛は感じず、サウナから外に出た気持ちいい感じです。

薪ストーブで焼いたピザ。

薪ストーブで焼いたピザ。

さらに、薪ストーブ調理定番のピザも、当然トライしています。今回は、自家製の天然酵母のパン生地にこれも自家製トマトソースとベーコンを乗せています。

このように、楽しみながらエネルギーを抑えた暮らしが実現できます。

160812_tsuji辻 充孝(つじ みつたか)
岐阜県立森林文化アカデミー准教授
Ms建築設計事務所を経て現職。共著に「木の家リフォームを勉強する本」「省エネ・エコ住宅設計究極マニュアル」。2013年~環境共生住宅パッシブデザイン効果検討委員、2014年 岐阜県人口問題研究会「空き家等活用部会」議長、2015年 カミノハウスにて地域住宅賞奨励賞受賞(建築研究所主催)。一級建築士。

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・岐阜からの便りVol.1 岐阜南部の夏の暮らし