カリフォルニアの青空も、11月の声を聞くと雲や雨も顔を出し始めます。
サンフランシスコ周辺は、ベイ(湾)地区と呼ばれていて、サンフランシスコを中心に、サウスベイ、イーストベイ、ノースベイの3地区に分かれています。西は海、太平洋です。
一年を通して温暖な気候、産業、文化共に世界トップレベルであるカリフォルニアは、アメリカ人にとってもあこがれの場所です。先日ニュースでアメリカの高級住宅地域を郵便番号で表示していました。トップ100のうち、半分がカリフォルニアの郵便番号でした!納得ですね。
www.real-estate-us.com/ca/san-francisco
サウスベイの中心はIT産業で有名なシリコンバレー、グーグルやヤフーなど世界的規模の企業の本社も多くあります。またスタンフォード大学もここ、世界中の脳が集まり若いエネルギーに溢れた土地です。
イーストベイの中心はカリフォルニア大学バークレイ校があるバークレイ、60年代に始まったヒッピー文化や学生運動の発祥の地であり、今でもその名残があります。
ノースベイはサンフランシスコの都会からゴールデンゲートブリッジを渡った地域、最初にマリン郡と呼ばれる住宅地が見えてきます。もう別世界です!都会に近いのに自然豊かで美しく安全、通勤、通学圏内のすばらしい環境ですよ。このエリアはまさしく高級住宅街で住民の多くはファミリーを中心とした白人です。
1億以下の家はほとんどないに等しいでしょう。マリン郡は10以上の市町村で構成されていますが、その中でもティバロン市は、湾を挟んでサンフランシスコ一望の超人気、超高級住宅地!平均価格3.5億円弱・・・ちょっと庶民には程遠いところですね。
サウスベイ、イーストベイは、サンフランシスコと電車等の公共交通機関がありますが、ノースベイへの交通手段は海を渡る橋とフェリーだけ、ほとんどの人は橋を渡るマイカー通勤です。なぜノースベイだけ開発から取り残されてしまったの?実はマリン郡の住民による公共交通機関建設の反対運動があるのです。反対運動の大きな理由は、マリン郡の自然とのどかな風景を守りたい、都会・・・特にオークランドのあるイーストベイからのギャング達の侵入を防ぐためのようです。いまだに公共交通がないノースベイ、住民パワーは大きいですね。
さて私が住んでいるソノマはこのノースベイ、マリン郡のさらに北にあります。
ソノマ郡も10以上の市町村で構成されており、私はソノマ郡の中のソノマ市に住んでいます。マリンを過ぎてソノマに入るとまたぐっと風景が変わり、一面ぶどう畑が広がります。大都会サンフランシスコからおしゃれな高級住宅街のマリンを経てソノマへ、景色を変えながらのんびりした田舎の風景へ到着です。ソノマはカリフォルニアワインが有名、世界中からテイステイングにやって来る人々で年中賑わっています。
ソノマの住民は、81%:白人、主にメキシコ人が占めるヒスパニック系:17%、2%:日本人、黒人他人種です。
歴史の浅いカリフォルニアの中ではソノマは歴史があります。カリフォルニアはソノマで誕生したとも言われています。メキシコ支配下の歴史を持つソノマはメキシコを手本にした街づくりも見られます。
■ソノマの住宅事情
ソノマの住宅事情をお話ししましょう。
現在、ソノマ郡の平均価格は7500万円程度、住宅環境の良いこのエリアは結構高いんですよ。例えば中部の一般的な年オハイオ州コロンバスでは1500万、大都市シカゴは4100万、サンフランシスコは1億です。これと比較するとソノマは田舎なのに!とびっくりされるでしょうか?
ソノマ郡はイーストサイドとウエストサイドに分かれます。イーストサイドは高級層、ウエストサイドは庶民層、ウエストサイドの西側にメキシコ人街があります。
家の大きさ、間取りや利便性、安全性などを考慮するのが基本ですが、子供のいる家庭ではもうひとつ大切な項目、学校区域があります。 人口5万人弱のソノマには公立小学校5、公立中学校2,公立高校1、こんなに小さな町なのに5つの小学校レベルが全然違います。カリフォルニアでは年に1度、共通テストあり個々のテスト結果と学校全体の平均値がだされます。イーストサイド内にある小学校のランクは7(10段階評価)、生徒は白人が70%を占めますが、メキシコ人街にある小学校は何と1!ここはヒスパニック系が77%を占めています。
同じ教育を受けているにもかかわらず、小さな街の中にこれだけの大きな違いあるのですから、親としては必死!ますます学校区域を考えざるを得ません。この大きな差は生徒の家庭環境が一番の原因のようです。ランキングには各学校の両親の最終学歴まで表記されていて前述ランク7の両親の70%以上が大卒、ランク1は30%弱でした。
こうなると環境の良いイーストサイドに住んだら?と思われるでしょう。しかし金銭的になかなか厳しい現状・・・イーストサイドには住む余裕はないけれど子供はイーストサイドの学校に入れたいという、親の願いが生まれます。住民票システムがないアメリカ、居住証拠は郵便物の提出です。そこで考えついたアイデアはイーストサイドに私書箱を持つこと、数年前には生徒の5人に1人が私書箱住所でした。これが大きな問題となり学校区の職員が一軒一軒、生徒の住宅を回ったそうです。
イーストサイドの街並
ウエストサイドの街並
家を借りる際、多くは不動産経由ですが大家さんから直接借りる場合もあります。
住宅の購入、賃貸に関わらず、一般的に家の情報は寝室数とバスルーム数が明記されます。キッチンとリビングルームは必ず含まれているという前提です。バスルームは、通常トイレとシャワールームがセットでひとつのバスルームとして数えます。トイレだけの場合はハーフバスルームと明記されます。
またソノマはサンフランシスコの寒い夏を逃れ太陽を求めるエリート達が集まるウイークエンドハウスエリアとしても人気があります。週末の家を持つファミリーも多いのですが、家具付きのバケーションレンタルハウスもかなり人気です。バケーションレンタル用に建てられた家のほか、一般の家でも長期間留守にする時に貸すことがあります。下の写真は一般の家をバケーションレンタルしている例です。2ベッドルーム、2バスルームで5人まで滞在可。1泊390−440ドル、週単位で借りると割安のようです。
バケーションレンタルハウス
http://www.vacationrentals.com/vacation-rentals/Sonoma-California.html
引越の片付けが大変なのはどこでも同じでしょう。アメリカでは「ガレージセール」が主流。引越時だけでなく年中開催されています。玩具や衣類、本、食器、使わなくなったものは何でも売ります。週末、自宅のガレージ前でオープン!だからガレージセールなんですね。庭でやることもあり別名「ヤードセール」とも。私も子供が大きくなる度にヤードセール・・・今までも何度か開催してきました。
地元新聞紙を片手にガレージセールめぐりを趣味としている人々も多くいて、土曜の朝が一番の稼ぎ時!7時にはお客さんが集まりだしますので、前夜から用意し6時には開店準備です。私は家の前の木までドレスや服をハンガーにかけて陳列したものです。ついでにコーヒー1杯50セント&手作りマフィンなども一緒に売りました。開催中は娘が習っているチェロを披露したりと色々楽しく工夫しました。週末の早起きはつらいですが、お客さんとの会話を楽しみながら、いらなくなったものを片付け、少しでも収入になる、親子で一緒に楽しめます。
アメリカでは、日本と比べて改築が多く、古い建物を大切に使い続けます。改築費用も新築と同じくらいかかることも!それでも「家」を大切に保存します。次回の「住まいづくり」ではこうした大切にするための改築のお話が出来ればいいなと思っています。
★ソノマからの便り
※この記事は2010年にご寄稿いただいたものです。文中の情報は寄稿当時のものです。
特派員:清水 圭子
ソノマ在住のデザイナーズ家具輸入会社支配人。
(主にヨーロッパより高級モダン家具を直輸入、環境に適した品物をアメリカ市場に提供)
「ソノマからの便り」の他の記事を読む
vol.1 『カルフォルニアの家探し』
Vol.2 『カルフォルニアの家づくり』