北海道からの便り Vol.3


前回の冬のお便りから早いもので半年以上が過ぎ、北海道は1年のうちで最も清々しくて気持ちのいい季節を迎えています。

今年は梅雨のないはずの北海道ですが、観測史上に残る長雨の記録を更新したと思ったら、ずーっと雨の降らない日が続いたり、お天気とともにお仕事されている方々は本当に大変な思いをされていることと思います。夏の初めにはなんと40度にもなるような猛暑日があったりもしました。(北海道が全国の中で1日の最高気温と最低気温のランキングをジャックしていて、思わずびっくり!)気候の変動が大きくなっていると肌で感じます。

気候変動の原因はご存知の通り、諸説ありますが、それはどうあれ私たちは「エネルギーを使いすぎない」暮らしを身につけることが急務だと感じます。それには「住」という営みはものすごく貢献できる可能性があると信じています。

先日行われた、千歳ありがとうファームでのマルシェ

先日行われた、千歳ありがとうファームでのマルシェ。
エネルギーのこと、衣食住のこと、地球環境のことを自然農法の美しい畑に囲まれて、美味しいものを食べながら考える初夏のひととき。私は前回からソーラークッカーを持って行ってお湯を沸かしながら、子供たちとお日様の話をしたりしています。
昨年秋から進めていたコミュニティスペースもすっかり形になり、今年の秋にみんなで仕上工事を行う予定です。

「エネルギーを使いすぎない」暮らしは、それぞれの地域の気候風土や生活文化を熟知してそれに寄り添ってこそできるのではないかと思っています。そしてそれは、ぱっと見てとても過酷な自然環境もその土地の魅力として享受して楽しむことにつながるのだと考えます。

札幌から北海道各地へ出向くとき、北海道の中では札幌がとても中庸な気候に感じます。(なにかと札幌を基準に考えてしまうせいもあると思いますが)札幌で身体感覚をリセットして、それぞれの地域の気候環境や文化を吸収して噛み砕き、自分なりにエッセンスを抽出して反芻して再度組み立てて設計に活かす。そのようなことを地道に繰り返しているように思います。そして同時に感じるのは、誰が見ても過酷だな〜と思えるような自然環境を、何事もないようにしなやかに受け止めて暮らしている方々の営みが楽しみや喜びにあふれていることです。大変なことも楽しんじゃう暮らしの達人にたびたび出会うと、その土地が輝いて見えてきてすっかりファンになってしまいます。

そんな中、3月に竣工した倶知安の家に外構工事の完了を見届けに行ってきました。

南側に開いた雁木空間と吹抜けの大開口は羊蹄を愛でるだけではなく、1層分が雪に埋まっても室内にお日様の光を届けてくれる装置です。一気に降雪して一気に落雪しても急いで雪かきしなくていいように(週末まで待って、家族みんなで雪かきをイベント化しようというアイディア)時間稼ぎのできるデザインです。どんどん降る雪を眺めて、憂鬱にならずにワクワク楽しむことができたら、豪雪も冬を楽しむアイテムになります。)

南側に開いた雁木空間と吹抜けの大開口は羊蹄を愛でるだけではなく、1層分が雪に埋まっても室内にお日様の光を届けてくれる装置です。一気に降雪して一気に落雪しても急いで雪かきしなくていいように(週末まで待って、家族みんなで雪かきをイベント化しようというアイディア)時間稼ぎのできるデザインです。どんどん降る雪を眺めて、憂鬱にならずにワクワク楽しむことができたら、豪雪も冬を楽しむアイテムになります。)

断熱や換気のことをいっぱい話し合いながら進めてきました。機械的な換気を施せばボタンひとつで快適性を得られるのはご存知の通りですが、ここでは自然換気に取り組みました。クライアントが冬の間どうしたら一番有効に空気がまわるのか、逆に夏はこうしようなど、敏感に肌で感じながら調節してくださっている様子に非常に共感したのと、人間の皮膚感覚で関与できる余地があることの素晴らしさ、それをひと手間かけて楽しみながら享受されている姿に、これから設計に携わって行く方向性に気づきのあったひとときでした。

そして同じく、冬のお便り(記事はこちら 「北海道からの便り Vol.2」)で紹介させていただいた江差の家も無事お引き渡しが済み、どう過ごされているか会いに行きたくてうずうずしているところです。

こちらは暴風吹きすさぶ冬を少しでも楽しむための装置が中庭です。当初、南側にガレージと物置を持ってくるなんて。とクライアントのご友人がおっしゃっていたそうですが、風速20mのたば風を受け止めて、受け流す配置計画になっています。また、大開口を解放すれば短い北海道の夏を満喫できる外のリビングとなります。完全に囲われたコートハウスも考えましたが、地域とのつながりがなくなるのは残念なので、気候と気分によって開閉可能なスタイルにしました。開ければ光り輝く日本海も望めます。

こちらは暴風吹きすさぶ冬を少しでも楽しむための装置が中庭です。当初、南側にガレージと物置を持ってくるなんて。とクライアントのご友人がおっしゃっていたそうですが、風速20mのたば風を受け止めて、受け流す配置計画になっています。また、大開口を解放すれば短い北海道の夏を満喫できる外のリビングとなります。完全に囲われたコートハウスも考えましたが、地域とのつながりがなくなるのは残念なので、気候と気分によって開閉可能なスタイルにしました。開ければ光り輝く日本海も望めます。

最後に、NHKの朝ドラの撮影で盛り上がっている余市からエコカレッジの取り組みをお伝えして終わりにしようと思います。

3年ほど前から動き出した、果樹園の中のエコビレッジに学び舎を建設するプロジェクトです。たくさんのミーティングを重ねながらさまざまな可能性を探りながら進めてきました。果樹園の魅力探しから、それを活かして自然エネルギーの仕組みをわかりやすく暮らしに取り入れることや、実験的なコンポストトイレの導入、北海道らしい木質バイオマスを活用したかまどとそれを利用した暖房装置を構想したりと限られた予算の中で、小さな学び舎ですが想いは大きく詰まったものとなりました。建設が始まってからさまざまなトラブルに見舞われながらも、それを力に変えて仲間とともに前向きに進めてきました。

余市らしい、先進的な環境に優しい仕組みはなにかと、ずいぶん議論しましたが、結局、奇をてらわずに徹底的に外皮性能を上げてエネルギーを使いすぎないことが、もっとも安価でもっとも効果があり、厳しい冬も暑い夏も快適に学べるコンパクトな学び舎はとてもシンプルなものとなりました。セルフビルドも含めて9月の完成を目指して進行中です。また冬のお便りで詳しくお知らせできればと思っています。

派手な新しい技術を見せるのではなく、基本的なことをしっかり地道に積み重ねて行くことが形になりました。この学び舎で繰り広げられる学びのプログラムもとても興味深いです。本当は今頃すっかり上棟していたはずなのですが、完成した基礎が大工さんの乗り込みを待っています。

派手な新しい技術を見せるのではなく、基本的なことをしっかり地道に積み重ねて行くことが形になりました。この学び舎で繰り広げられる学びのプログラムもとても興味深いです。本当は今頃すっかり上棟していたはずなのですが、完成した基礎が大工さんの乗り込みを待っています。

130731_sakurai北海道からの便り-特派員/櫻井 百子(さくらい ももこ)

1973年北海道旭川市生まれ。北海道東海大学芸術工学部卒業後、都市計画事務所、アトリエ設計事務所を経て2008年アトリエmomo設立。子育てしながら、こころや環境にできるだけ負荷の少ない設計を心がけている。平成22年度 北海道赤レンガ建築奨励賞、2011年度 JIA環境建築賞 優秀賞 (住宅部門) 受賞。

[北海道からの便り バックナンバー]
北海道からの便り Vol.1
北海道からの便り Vol.2