ワシントンからの便り vol.2『家づくりに必要な要素』


日本に住んでいた頃は正月三が日をゆっくり過ごし、ここから新年が始まるとゆったりとした気持ちの切り替えの時期があったように思います。アメリカに引越しをして驚いたことの一つに、新年に対して日本人が感じる気持ちの切り替えがあるのだろうか?と感じたことです。

年末に向けてアメリカでは大きなイベントが目白押しでした。10月31日のハロウィン、11月第四週木曜日の感謝祭、12月25日のクリスマス、そして1月1日の新年。新年を迎えると全てのイベントが終わってしまったとでもいうように、通常は翌2日から学校が始まり会社も通常業務となります。(今年は1月2日が日曜日だったため、3日から通常の生活が始まりました。)
新年を迎えてはいるものの、例えば日本の初詣などお正月らしい行為がないこと、さらにクリスマスデコレーションが1月10日前後まで続けられていることも新年気分を感じられない原因かもしれません。

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連邦議会堂前のクリスマスツリー

 

手を加える?加えない?

アメリカで家を買う場合、「購入後に修繕が必要か否か」は大きな条件です。新築物件を購入し何も手入れせず入居するか、中古物件を購入し自らの手で自分仕様に家を造っていくか。ワシントンDC近郊の住宅市場(新築物件が少ないこと)が関係している為か、私の周りでは、後者・中古物件を購入し手を加えている人が多くいます。

友人の一人はあえて未施工部分がある家(中古物件)を購入し、家族とプランを立て自分達の使いやすい家を造っています。料理好きで人をお招きするのが好きなご夫婦なので、大きな使いやすいキッチンとダイニングルームをまず先に修繕したそうです。

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キッチン 左側扉は冷蔵庫

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ダイニングルーム 奥にある作り棚はご夫婦で作られたもの

そしてこれから地下部分に手を加える予定とのこと。ちらりと地下部分を見せてもらいましたが、未施工部分というのは壁を取り付けることから始めなければいけないことに驚きました。部屋の間仕切りをどうするかなど未施工部分は自由度が高くていい反面、本当に家づくりが好きではないと大変な労力とお金を必要とする修繕になるなと感じました。

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地下部分へ続く階段

 

別の友人は家を購入後、建物に付随していたガレージを部屋として修繕していました。外側のシャッター部分を閉じ、室内側もシャッター側の壁を塞ぐだけで新しい部屋が家に追加されました。

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中央部のレンガが途切れている箇所が元ガレージ入り口

友人は家族と友人達ですべて施工、ひと夏で完成させていました。竣工後、ガレージから部屋へと変更した旨を記載した申請書も自ら作成し役所へ提出していました。家づくりは時間と手間と情熱を注がねば出来ないものだなと、お手伝いに行ったはずが足手まといになって終わった私の感想です。

ワシントンDC近郊では、住宅市場に新築物件が少なく中古物件が多く出ています。家づくりは住みやすさを求めた改築とともに、避けられない修繕も多いのではないかと感じています。そのため、多くの人が修繕の知識を“必要に迫られて”持っているのではないのかな?と感じています。
私が通っていた語学学校の教師は、周辺住民の住宅修繕を行うボランティア団体に所属しています。「配管工事は出来るけど、電気工事は全然ダメでね。だから電気系統は触らないようにしている。」という教師は配管担当で、他の人々が電気担当・ペンキ塗り担当などそれぞれが得意とする分野で修繕のお手伝いをしているそうです。その教師曰く、この地域には教会を中心とした修繕のボランティアが多く存在するとのこと。様々な理由で自ら手を動かすことが出来ない人にとっては大変ありがたい存在だと思います。

雨水利用

別の友人は、一昨年屋根に降った雨を集める雨水タンクを軒下に設置しました。庭の水撒きはほとんどこの水を使うそうです。

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右下に映っている白いタンクが雨水タンク

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アップで見るとこんな感じです

雨水タンクをどこで買ったの?と聞いてみると、これは友人からの頂き物なので購入場所は分からないとのこと。彼女自身も購入を検討していたことがあり、アメリカの大型量販店コストコでも買えことを教えてもらいました。コストコのホームページで調べてみると、3種類の雨水タンクが販売されていました。私はコストコの会員ですが、これらが売っていることはまったく知りませんでした。

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コストコホームページの画面

コストコホームページの画面(http://www.costco.com/
※コストコは、世界中に570以上の倉庫店を持ち、日本サイト(http://www.costco.co.jp/)もあります(編集部)

私が住んでいる地域・北部バージニア(アーリントン郡・フェアファックス郡)では、雨水タンクの設置を推奨するワークショップが毎年開かれています。雨水タンクの設置は、以下四点において利点があると言っています。

1) 庭や地下室に雨水が浸水することを防ぐ
2) 庭の植物に自然な水を与える
3) お金と水を節約する
4) チェサピーク湾を保護する

またこのワークショップでは、蚊の発生を防ぐ方法、落ち葉を雨水タンクへ入れない方法など雨水タンクを設置した後の問題についてもしっかり伝えていました。

良いことが多い雨水タンクですが、ワシントンDCから離れたアリゾナ州・コロラド州などでは最近まで個人で雨水タンクを設置する行為は、『乾燥した地域の貴重な水源である雨水を個人の利益に使用してはならない』という理由で違法とされていました。所変われば考えも法律も変わる。アメリカ国内でも環境が異なれば考え方は大きく違うものだと考えさせられた事柄です。

ゴミの回収

自分で家を改修したはいいが、その時発生したゴミはどうするのかと疑問になりますよね。私が住んでいる市では、電話で予約しておくと回収日に粗大ゴミも回収してくれます。このシステムは日本と似ています。ホームページに予約回収してくれる粗大ゴミの一部例が記載されており、そこには一部例として『取り外したドア、配管備品、建築材』などが挙げられています。これらが例として挙げられているところを見ると、それらが多く粗大ゴミに出されるということでしょう。

家を自ら改築する環境が整っている(材料が手に入る、機材が購入できる、コミュニティーが推奨している・ボランティアがいる、ゴミの回収システムがあるなど)ことは、持ち主の改修意欲とともに家づくりを行う上で重要な要素になるようです。

★ワシントンからの便り

※この記事は2011年にご寄稿いただいたものです。紹介している情報は寄稿当時のものです。
特派員:秋山 優
ワシントンDC郊外在住の“面白いもの探検隊”をやっている主婦。
造園事務所に勤務後、兵庫県立淡路景観園芸学校を卒業。2007年、ワシントンDC郊外に引越し。
夫と二人暮らし。面白いことを探して、いつもカメラを持ち歩いている好奇心の塊。

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ワシントンからの便り vol.1 『アーバンからルーラルまで』
ワシントンからの便り Vol.2『家づくりに必要な要素』