北海道からの便りvol.10


春の北海道からお届けします。

新型コロナウイルスの影響で、世界中がざわついて、オリンピックもついに延期になってしまいましたね。いつも通りの毎日を過ごせずに、歯がゆい日々を送られている方々もたくさんいらっしゃると思います。また、亡くなられた方々には心からご冥福をお祈り致します。

そんな状況ですが、いつもより早めに北海道にも春の足音が聞こえて来ました。社会の状況は不安でいっぱいですが、いつもと変わらない日差しが日に日に暖かくなって来ているのを感じてホッとする思いです。

ようやく春めいて来た北海道から2019年冬に寄稿させていただいた、「南幌町みどり野きた住まいるヴィレッジ」*1の引き続きその後をご案内したいと思います。

2019年10月から始まった第2期募集も、おかげさまで着々と建設希望者さんが決まり、第3期の準備も始まっているようです。

「南幌町みどり野きた住まいるヴィレッジ」第2期募集HP

ヴィレッジのプロジェクトが始まった時は本当に周りにお家が少なかったのですが、気がつけばすっかり住宅地の雰囲気です。ヴィレッジ内は千鳥に配置計画されているので隣家との距離が取れてゆったりしています。

おかげさまで、第1期に「てまひまくらし」というモデルハウスを武部建設*1さんとのコラボレーションで建設させていただいてから、「てまひまくらし」を気に入ってくださったお客様から依頼をいただき、隣地を空けてお隣に住宅を建設中です。

最近の「南幌町みどり野きた住まいるヴィレッジ」
長沼南幌線側から街区に入ったところ

武部建設さんとのコラボレーションで2棟目を計画するにあたり、
・1棟目「てまひまくらし」で得た経験を最大限生かし、さらに合理的に無駄なく良いものを作る。
・階高、間口寸法、屋根勾配、地域材の外壁については「てまひまくらし」踏襲して、町並みとしての統一感を図る
・プラン、配置計画はクライアントの暮らしに寄り添いフィットする提案をする。

というテーマを決めて、1棟目での反省点をお互いに確認し会って2棟目に生かしながら計画を進めました。

おかげさまで、その後3棟目(2020年7月着工予定)4棟目(2020年秋着工予定)と、つぎつぎお声かけいただき、次なる3期目を視野に入れて頑張っているところです。

武部建設さんとアトリエmomoのコラボレーション2棟目が建設中
奥に見えるのが第1期のモデルハウス「てまひまくらし」

現場監理でしょっちゅうヴィレッジに行きますが、第1期の住まいを購入された方々、ヴィレッジ周辺の住まいの方々と次第に良好なコミュニティができつつあることを肌で感じます。
ご近所の小学校高学年くらいのお兄ちゃんやお姉ちゃんが、小さな子達を面倒見ながら一緒に遊んでくれていたり、ほほえましい光景を垣間見たりします。

北海道、南幌町主催で住民の方々の懇談会も数回開催されて、すでにお住いの方々、これから移住される方々が集まり、ヴィレッジでのこれからの暮らし方を話し合う場も設けられ、「ガーデニングをしたいけれど、わからないことだらけ。詳しい方を呼んで、みんなで教えてもらう機会があったらいいね。」「隣地の草刈りは、みんなでヤギを飼って食べてもらったらいいよね。」「今年は雪が少なかったけど、敷地内のマウンドがいい滑り台になって楽しめた。」などなど、楽しいヴィジョンや南幌暮らしを楽しまれている雰囲気が伝わる懇談会でした。

産官学で協働しているからこそその後のサポートもしやすいメリットもあるのではないでしょうか。プロジェクトの枠組みの押し付けではなく、
趣旨を理解くださっている方々が住まわれることで、共有意識も芽生えて、他力本願ではなく純民の方々の当事者意識も高まりながら良好なコミュニティが育っていくきっかけになっていけば良いと思っています。

ちょうど、新たな北海道における住宅のスタンダードを目指す「北方型住宅2020」*3の基準が正式に北海道庁より発表されました。「南幌町みどり野きた住まいるヴィレッジ」では全棟この新基準が適用されます。これまでの北方型住宅基準に比べ、断熱性能がさらに向上し、
耐震性能を強化させることで、より快適で安全な暮らしを手に入れることができます。

また機会があればぜひ3期目の様子もレポートできればと思います。

「北方型住宅2020」HP

<関連サイトのご紹介>
*1 南幌町みどり野きた住まいるヴィレッジ
https://www.kita-smile.jp/kitasmilevillage

「南幌町みどり野きた住まいるヴィレッジ」は、北海道、南幌町、北海道住宅供給公社、(一社)北海道ビルダーズ協会、(公社)日本建築家協会北海道支部が主催し、北海道がおススメする地域工務店と建築家(きた住まいるメンバー)が、南幌らしい暮らしとまちづくりを提案するプロジェクトです。
このような取り組みが、南幌町にとどまらず同じような課題を持った市町村にも波及していく可能性を探りながら、さらなるモデルプロジェクトとしての役割を果たせればと思っています。

*2 武部建設株式会社
https://www.tkb2000.co.jp/story/temahima/

*3 北方型住宅2020
https://www.kita-smile.jp/north2020
https://www.kita-smile.jp/img/north2020.pdf

130731_sakurai櫻井 百子(さくらい ももこ)

1973年北海道旭川市生まれ。北海道東海大学芸術工学部卒業後、都市計画事務所、アトリエ設計事務所を経て2008年アトリエmomo設立。身近な材料を使いながら、こころや環境にできるだけ負荷の少ない設計を心がけている。平成22年度 北海道赤レンガ建築奨励賞、2011年度 JIA環境建築賞 優秀賞 (住宅部門) 受賞。

[北海道からの便り バックナンバー]
・北海道からの便り vol.1
・北海道からの便り vol.2
・北海道からの便り vol.3
・北海道からの便り vol.4
・北海道からの便り vol.5
・北海道からの便り vol.6
・北海道からの便り vol.7
・北海道からの便り vol.8
・北海道からの便り vol.9