はじめまして、シンチャオ!
ベトナムの首都ハノイより初めてお便り申し上げます。
家族のお伴をして地球のあちらこちらに移動生活を続け、今はハノイに暮らすカラと申します。どうぞよろしくお願いします。
本題ハノイの冬の様子をお伝えする前に、まずは地図をご覧頂きましょう。
白っぽく見えるところがベトナムです。さて、この地図を見てハノイの冬を予想してみて下さいね。
東南アジアといえば年中暑いと思われがちですが、ベトナムの国土は日本の9割程度で南北に長く、ご覧の通り日本列島に似た形をしています。ですから日本と同様、ベトナム国内でもその土地によって気候も大きく変わります。ハノイは北部に位置し中国そしてラオスと接します。そして南部に位置するホーチミン(旧サイゴン)のすぐお隣はカンボジアです。気候はもちろんのこと、言葉、生活習慣、人柄など全てにおいて同じ国とは思えない程違うのです。
つまり皆さんの予想を覆し(ましたか?)北部ハノイの冬は寒いのです!
私ども家族にとっては、数年ぶりの四季の有る土地。ここに来る前は乾季と雨季しかない年中暑い国に居りましたので、寒さが身にしみました。おまけに更に北部の中国に近い山岳地帯に行かない限り雪は降りませんので、寒いだけで大好きな雪遊びもできません。
日本で冬といえば乾燥している季節ですが、ベトナムは多湿です。最低気温は10℃を下ることも有り、体感気温はそこからマイナス10度かと思われます。
さて、ここまでは去年の冬の話。
なんと!!!今年の冬は暖かく1月には嘘のような天候が続き、暖かさを通り越して30℃近くまで上がった夏日?も有ったほどです。Tシャツ一枚かと思えば翌日はダウンジャケットといった具合ですから、体の対応が追いつきません。
そんなハノイの冬の様子といえば・・・祝日が少ないベトナムにおいて、一年で最大の祝日=テトと呼ばれる旧正月をご紹介しないわけにはいきません。
2010年!今年のベトナムは2月に新年を迎えました!
初詣に向かいます。写真の通り、四輪車も随分増えたとはいえ、相変わらずハノイの足は何処に行くのもバイクが主流です。
旧暦にのっとっているので、毎年元旦にあたる日付は違います。
今年の元旦はバレンタインデー2月14日。(因みに去年は1月26日でした。)テトの期間は一週間ほど多くの店や公共機関が休みとなり不便な事もあって、海外脱出を図る在越外国人が多いのですが、加えて帰郷するベトナム人も多いですから、交通機関の予約手配を急がないと陸の孤島に取り残されることになります。つまり盆暮れ正月を一緒にしたお江戸といった具合です。
お菓子等がセットになって綺麗にラッピングされて売られています。
新年が明けると跡形もなく消える年末限定ショップ!
テト前はどこもそこも慌ただしく、市場価格も上がります。街のあちこちに無許可私設花市植木市が並び、見た目は綺麗だけれど、そのために各所渋滞悪化。
正月飾り用の金柑や桃の木輸送中のバイクや車が行き交います。
金柑や桃の木は日本の松飾りのように飾ります。幸運を呼ぶと言われています。
ベトナム人は普段からお花が大好き。テトに向けての時期は金額が倍になろうとも、少しでも質の良い花を積んだ移動販売屋を見つけて(もちろん値切って)買い求めます。
寒いハノイには育たないので、この時期はホーチミンから運ばれてきます。
テトの少し前に購入し、テトに満開になると吉兆とされていますが、今年は暖冬で販売中に開花してしまったようですね。
テトの期間は久しぶりに普段の喧騒から逃れることが出来ます。家々の軒先には国旗が揚げられ、金柑や桃の木が門松のように飾られます。
親族一同でヨソユキを着て初詣をする元旦の様子。
元旦に寺に出向くと、そこだけは人々があふれかえり、手に手にお線香とお供え、そして赤い紙幣(500ベトナムドン)の束=お賽銭を持ち、新年に向けての健康と安全を祈願しています。
新年が始まるテトの間は、皆で幸せを共有する為に、始終おだやかに笑顔を忘れず過ごすべし!というルールが有るのだとか。この時期には皆やさしそうな顔つきに見えるのですが、終わったとたんに愛想のない表情に戻るハノイ人との付き合いが再開し、日々市場のおばちゃんとの戦いに挑むばかりなり!!!
最後に、ハノイの冬の風物詩としてこれまた欠かせない食べ物をご紹介します。
ハノイでも冬は鍋!
だしの味と鍋の形は違えども、ふたを取ると美味しいスープがグツグツ、周りに置かれた食材を放り込んで待つ間はハノイウォッカで乾杯!食材豊かなベトナム鍋、冬には欠かせません。
冬の風物誌、所変われば様々ですね。ハノイ編はどのように目に映りましたか?
何処に暮らしていようとも、人間はそれなりに適応していけるものですけれど、厳しい気候を工夫するというよりも、自然に身を任せてそのまま取り入れ、なるようにしてしまうハノイ人の強さしたたかさにアッパレです。
彼らの強さは認めますが、寒すぎるから勉強できないという理由で、気温が7度を下ると休校になるハノイのローカルスクールの校舎をはじめ、いくら夏が暑すぎるからといって、壁が薄くて隙間風が入り底冷えがする=夏仕様しか念頭にない=防寒について全く考えていないと思える建物の構造について、もう少し工夫を施そうと思わないのは何故なのでしょうか?
寒いなら着込んで家に居ろ!皆で鍋を囲み、犬で栄養をつけ(ベトナムでは犬を食べます。これも食文化の違いですね。)アルコール度数の高い酒飲んで寝ろ!と何処からか聞こえてきそうなので、彼らに疑問を持つのはやめておきます。
年中どんよりと曇りがちなハノイの空模様は今年も相変わらず・・・だというのに、そんな空を見て青空だと思えるようになってしまったのは、ただの錯覚か、ハノイに慣れたのか、肝が据わったのか、諦めたのか、それとも私の目の衰えなのでしょうか???
寒くても雲ひとつない冬の青空夢にみて・・・今日も今日とて憤慨したとて泣こが笑おが、なるようにしかならんハノイより・・・。
※この記事は2010年にご寄稿いただいたものです。紹介している情報は2010年当時のものです。
◆ベトナムからの便り バックナンバー
vol.1『ハノイ、冬の景色』
vol.2『暑い夏の風物詩』