暖冬と言われていますが、皆さまはどんな冬をお過ごしですか?
今年の沖縄のお正月は、気温20℃を超える暖かさで、日中は日差しを浴びて外を歩くと汗ばむほどでした。
観光客の方は、あったかい!と言った直後に暑い!と言っている方もいました。
そんな沖縄ですので暖房は必要ないと言われていますが、実際沖縄に住んでみると使っている人は多いと思います。
実際に、沖縄では気温が18℃以下になると暖房を使用するという方が多いようです。
沖縄人は、寒がりが多いのでしょうか。
ただ、やはり暖房については初心者で、どんなものを使えばいいのか、何がお得なのか知っている人は少ない気がします。
皆さんは、沖縄ではどんな暖房器具が省エネだと思いますか?
おすすめは、こたつ、ホットカーペット、エアコンです。
夏の暮らしを主体とした沖縄の住まいでは、伝統的間取りに倣った、仕切りをあまり設けないワンルームのような平面プランが好まれています。
また、リゾートホテルのような高い天井、吹き抜け空間を住宅に取り入れるケースも少なくありません。
そんな空間では、空間全体を暖めるよりも実際にいる局所で暖めた方が合理的です。
こたつやホットカーペットは直接肌がふれるので室内温度が低くても体感温度は快適です。
室内温度も下がりすぎないので、乾燥もそこまで感じず、天井が高い空間では特におすすめです。(この時に、床が冷たいと熱は逃げるので断熱シートを敷いてからカーペットを置くと更に熱を逃しません。)
空間を温めたいときは、やはりエアコンが一番安価です。
夏よりも冬の方がエアコンは高くなると聞いたことがあるかもしれませんが、これは沖縄では当てはまりません。
エアコンは、気温と設定温度差が大きければ大きいほど消費電力は高くなります。
夏のエアコンで、気温が32℃を25℃にするのと、冬のエアコンで気温18℃を25℃にするのは、同じ7℃しか差がなく、変わりがありません。
外気温が0℃を25℃にするのとは、話が違うからです。
ただ、エアコン(暖房)を嫌う人も少なくありません。温風が直接当たるのが不快だとか、乾燥してしまうから、とかが原因でしょうか。
・不快な風
エアコンをつけているときに足下が寒く感じることがあります。これは、自然対流が起こっているためです。建物内に温度差が生まれると、気流は温度の低いところから高いところへ動き対流していきます。あったかい空気は上に向かっていくので、下から上に気流が移動しているからです。
エアコンであたためられた空気は、残念ながら天井にたまっているので床付近まで到達するのに時間がかかります。
そんなときは、エアコンの吹き出し口を下に向ける、天井ファンもしくは扇風機を天井や壁にあてて空気を撹拌するとより早く部屋全体が暖かくなり、自然対流も起こりにくくなります。
・乾燥
また、エアコンを使用すると乾燥するように感じます。
これは単に温度があがっているから湿度が下がっている状態で、実際は空気中の水分量が減っているわけではありません。
冷たい廊下やクローゼット納戸は湿気があふれ、結露することが多々あります。
そんな中、部屋が乾燥するからと言って加湿器をつけるとどうなるでしょう。
一方で加湿、一方では多湿による結露。
一体家の中で何が起こっているのでしょうか。
湿気ときくと、嫌なものに聞こえる方もいると思いますが、決して悪いものではありません。一か所に留まることが問題です。
風や気流のコントロールは、夏だけの話と思われがちですが、気流の制御はむしろ冬の方が大切かもしれません。
気流、すなわち風は心と体に自然の恵みを与えてくれます。
一般的に、風は気圧差のあるところに吹くものです。気圧の高いほうから低い方へ移動します。これは、外部に限ったことではなく、室内でも同じです。
温度が低い部屋から、高い部屋に移動する。温度差が大きければ大きいほど、風量も大きくなります。
沖縄では、そこまで温度差が生まれないので室内では気流が発生しづらい状態になります。
空気を循環させてくれるものとして考えると、扇風機は夏だけでなく冬でも活躍してくれます。沖縄でのエコライフに扇風機は欠かせませんね。
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「沖縄からの便り」特派員
松田まり子(NPO蒸暑地域住まいの研究会)
1977年沖縄県那覇市生まれ。2000年武蔵工業大学工学部建築学科卒業。卒業後、沖縄県内設計事務所および東京都内の設計事務所、デベロッパー勤務。2010年より特定非営利活動法人蒸暑地域住まいの研究会理事に就任。現在特定非営利活動法人蒸暑地域住まいの研究会理事長。
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