被災地からの便り vol.1


はじめまして、FPコーポレーションの門田昌士です。今回は私たちが住宅・建築物省CO2先導事業の「平成23年度 第3回 特定被災区域部門」における〔住宅(戸建住宅)〕採択を受けるまでの経緯とその後の進捗についてご紹介したいと思います。

まず私が所属する「FPコーポレーション」について、簡単にご紹介させていただきます。
FPコーポレーションは、
28年前からFP工法を用いて、高断熱・高気密住宅をつくり続けてきた工務店集団で、全国約350社のボランタリーグループです。
全国を10地区に区分し、地区毎の代表者で組織した全国役員が、基本方針や目標・事業活動内容を決定します。各地区は、全国の基本方針に基づき、地区の方針を決め活動しています。

「FP」とは、フレームアンドパネルの略称です。そして「FP工法」とは、木軸の土台・柱・梁・桁をフレームとし、工場で製作した断熱パネルをこのフレームにはめ込む工法です。パネル工法のため、現場の施工性がアップし、ごみの削減にもつながり、CO2削減にも寄与します。何よりも現場の施工に左右されずに高性能化が図ることが可能です。
FP工法を用いた「FPの家」は、
全国で45千棟の実績のある高性能住宅です。28年前から既に平成11年の省エネ基準を満たし、全棟気密測定を実施し1.0c㎡/㎡を保証しています。また、法律で義務付けられる(H15年)以前から24時間換気システムを標準装備し、引渡し時には全棟換気風量測定を実施しています。

東日本大震災後の環境と共生する住まいづくり

思い出しただけでも身の毛がよだつ東日本大震災の爪痕。震災後、取引先の工務店各社を訪問し、その生々しい現場を体感しTVでは到底伝わらない現場の惨状を目の当たりにして、何とか現地のお役に立てないかと心が奮い立った思いが今でもよみがえります。

また、仮設住宅の建築現場を見て、高性能住宅を造り続けて来たFPグループとして、寒冷地においてこんなところに人を住まわせてはいけないとの思いも湧き上がってきました。

震災後の状況

震災後の状況

130820_monta002

真新しい太陽光発電が更に虚しさを誘う。

130820_monta003

粗悪な仮設住宅。
緊急時とは言え、あまりにも粗悪な箱。
寒冷地と分かっているにも係らず、アルミサッシのシングルガラス。もちろん断熱材は、取るに足らず。

そんな時に国土交通省から特定被災地向けの補助事業があることを知り申請にいたりました。
実は、それ以前にこの補助事業の申請に失敗しており、自信をなくしておりましたところ、現一般社団法人 JBN(当時、一般社団法人工務店サポートセンター)環境委員会にサポートをしていただき、特に副委員長の小山様(エコワークス㈱ 代表取締役社長 小山貴史様)には多大なるご協力を頂戴したことをこの場をお借りして御礼申し上げます。
JBNのサポートを受け無事採択となり、おかげさまで30棟の補助枠を頂戴することが出来ました。

特定被災区域が対象となりますので、地域区分としましてⅡ・Ⅲ・Ⅳ地区が対象となり、被災地を考慮しますと、夏よりも寒さの厳しい冬を主にした建物性能を提案し、夏場は通風の確保や軒・庇による日射遮蔽を考慮しました。(基本躯体性能は、Ⅱ地区とⅢ・Ⅳ地区に分けました)
おおむね気候特性は夏季「やませ」の影響を受けやすい地域です。
もともと、北海道生まれの『FPの家』は寒冷地で威力を発揮します。よって、補助事業も建物性能は標準仕様で対応でき、創エネ・高性能設備機器に補助金を当てることにより省エネで快適に健康に住まう住宅をご提供することができました。

FPコーポレーションの提案概要

FPコーポレーションの提案概要

地域の工務店が活性化することは、その地域における下請け業者さんや建材屋さんも活気づき強いては、その地域全体が活性化するものと考えます。

また、『家づくりは地域密着型であるべき』との信念から、その地域の気候特性も良く理解した、工務店が家造りを担い、建てた後のメンテナンスも含めお客様との信頼関係を築くものとの考え、私が今までの経験を生かし支援できるのはこれだと思い、皆様の協力を得て実現しました。

震災後、住宅技術評論家の南雄三様がいち早くライフラインが断たれた時の暖房と室温低下の実態調査報告をされておりましたが、その結果を見て自分たちが今までやってきたことに間違いは無いと、提案内容に一層の自信が持てました。

しかし、一番悩んだのは設備機器の熱源をオール電化にするガス併用にするかでした。悩んだ末、結論としてオール電化を選択しました。

その理由は、過去の災害を見ても復旧が早かったのは電気であること。電気が無ければ、ガス機器も使用できず、今後の災害対策としては、カセットコンロがあれば十分であるとの結果からオール電化で提案しました。

震災への備え「住まいができること」

話はそれますが、私の住んでいるところは、あの液状化のTV映像(泥が噴出す、マンホールが立ち上がる)で有名な千葉県新浦安(埋立地)のマンションの7階に住んでいます。もちろん、電気・ガス・水道がストップしました。

そこで一番何が不便だったかと言いますと、電気でもガスでもなく「水」です。

水と言っても飲み水も大切ですが、トイレの後始末の水に一番苦労しました。近くの小学校のプールにクーラーボックスを担ぎ、バケツを両手に持って小学校と自宅を3往復したらもう動けません。それなのに、勢い良く流れていくトイレの水を見た時には、空しさを感じました。
そう言った事を鑑みて、タンクのあるエコキュートを提案しました。今後は、浴槽のお湯はもちろん、雨水タンクの設置も考慮・提案していかなければと、身をもって感じました。(ちなみに、今でもまだ復旧工事をしています。)

(左)飛び出したマンホール (右)傾いた交番

(左)飛び出したマンホール (右)傾いた交番

小学校の校庭に用意された給水所にできた行列。 左奥にプールがある。

小学校の校庭に用意された給水所にできた行列。
左奥にプールがある。

 

 

 

 

採択後の進捗

事業の採択を受け、工務店各社も大いに期待し即スタートと意気込みましたが、実際には中々進まなかったのが実情です。
その大きな理由は
1.工務店さんは、地域の住宅・店舗といった手直し改修工事で大忙し。
その間に、大手ハウスメーカーやビルダーに新築工事を取られてしまっている。
2.新築する土地が無い。高台の造成は数年先。
3.全ての業種が忙しく、業者の手配が付かない。
また、資材・原料・商品が入手できない上、資材高騰の状況。
4.お施主様の予算と合わず、とにかく「仮設住宅を出たい」という気持ちが優先。
予算は全て込みで1,500万円程度である上、省エネや高性能住宅に対する意識は無い。

ということでした。こういった理由から、進捗は思うようには行きませんでした。

kkj様にもご心配をかけ、資料の不備もご指導を賜りながら何とか30棟の見通しも立ち、お客様に喜んでいただいている状況です。

岩手県 A邸

事業採択の実例/岩手県 A邸

高窓・天窓による通風排気

福島県 I邸

事業採択の実例/福島県 I邸

茨城県 N邸

事業採択の実例/茨城県 N邸

茨城県 N邸(内観)

茨城県 N邸(内観)

冬編は、建築後の省エネ住宅の見分け方の写真を用意します。お楽しみに。

地域からの便り 特派員

門田昌士(もんた まさし)
1961年生、北海道岩見沢市生まれの道産子。大学卒業後、東京に夢を抱きミニゼネコンで現場監督を経験するも、バブルの渦に飲み込まれ失意の元Uターンし、木造の現場監督として再起。その時、高断熱・高気密住宅のFPの家』に出会う。正直に仕事が出来ることに喜びを感じる。
長年現場を経験し、問題があれば答えは現場にあるとの考えから、建て方はもちろん断熱・気密・換気の施工から、建築後の床下から小屋裏まで、どこまでも潜り込んで原因を追究。
現在、東京都においてパッシブを主としたQ値1.0W/㎡kをきる低炭素型『FPの家』を構築し推進中。
また、一般社団法人JBNと共同で、外国産及び化学畳に押され生産量が落ち込んでいる国産いぐさ及び日本の文化を守るため、真空断熱材を畳床に利用した「VIP和畳」(熊本県推奨畳表仕様)を普及促進に従事。

高知からの便り vol.1 『土佐の夏の住まい』


昔から厳しい土佐の夏

土佐はカサブランカと同じ緯度で、射るような日差しですし、台風が太平洋から直撃する土地です。台風と言っても、山越えの風しか吹いてこない土地とは違い、下から降ると言われてきた激しい風雨にさらされます。梅雨時にはあらゆるものをカビさせそうな蒸せるような高い湿度に見舞われます。

それに加えて、100年に一度とされる、トラフ型の巨大地震とそれに伴う大津浪が予想され、災害列島と言われる日本の中でも格別に荒っぽい風土と言うことができましょう。西日本でも一、二を争う高い石鎚山と剣山を含む四国山地の南側の土佐は、交通の便も昔は海からが中心で、遠流の国でした。
高い山の南側は雨が多く樹がよく育ち、高知県の森林率は84%で全国一位になっています。海の幸、山の幸の国で、平地は少なく、高知城と城下町の高知市の中心部は、そこを流れる鏡川の河内(こうち)に立地しています。県人口の半分を占める県庁所在都市でありながら、何年かに一度、床上浸水を経験し、次の大津浪でも静かに何ヶ月も水没すると予想されています。

昔からの土佐の家づくり

このような危ない土地柄に、我々土佐人は仕事と住まいを営々と組み立ててきました。伝統の家づくりは、高い床、低い棟、深い軒、分棟型で小さい急勾配(5寸)の屋根、外壁は土佐漆喰の白とスギ板壁の黒、開口部はダブルスキンの建具で、雨戸の裏側に敷居の下から風圧を入れて内外を等圧にするなど、100年を越える伝統の家々があちこちに残り、荒い気象への対応の知恵を今に伝えています。
昔からの様式と新しい木の扱い方

100年以上の寿命を保って使われている家々には、荒い風土に対応する知恵が込められています。客間など表座敷まわりの柱や長押などの造作は、一般にツガなど(ヒノキは藩政期禁止されていた)の柾目材が使われることが多く、無地の天井板と共に格式を表していましたが、戦中戦後の過伐で、このような「役もの」と言われる木材は高知でも高価になり庶民のものではなくなりました。

合板にプリントするなど、新建材の時代に入りますが、当然プリントは時と共にインクが薄れ、合板の接着剤は空気を汚し、透湿性がないので高い湿度のもとではカビとダニを呼ぶような、更にはローンが終わる頃にはゴミになって処理費の負担が大きな建材と言うことで、堅実な庶民にはお勧めできるものではありませんでした。

そこで我々(※注)が採った方法は、納屋や蔵や土間部分など、住宅の作業空間の荒い一等材や、丸身、曲り材を使って力強い空間を作る伝統を、居室や表座敷の格式部分にも使うようなデザインでした。丁度、ジーパンを履いてパーティーに出席しても許されるような時代背景になっていたことも幸せなことでした。

130809_tosaha005

東津野村船戸団地

その土地の木材はその土地の菌や虫に抵抗する成分を持っていると言われています。スギ・ヒノキは自然乾燥させて使うことにこだわると、10年経っても木の好ましい香りを失わず、訪問客が褒めてくれる家になります。伝統の木組みの細工を守っていれば、やがて解体して移築することもできます。古い素朴な構造材が骨董品にまでなることを願っています。

130809_tosaha004

東津野村船戸団地 4号棟床の間

130809_tosaha002

県営住宅十市団地 内観

土佐漆喰は雨に強い

強い風雨にさらされながら100年白さを保ち、土佐の家並みを特徴付ける壁材に「土佐漆喰」があります。左官仕事では「水ゴネ10年、糊ゴネ1年」という言い回しがあります。
土や漆喰にツノマタなどの糊材を入れると、10年掛かる左官の修行が1年で済むようになるという意味で、日本中の漆喰の外壁仕事が皆、ツノマタを入れるようになったようですが、伝統的に沖縄と土佐の漆喰だけは水ゴネが生き残っていて、風雨に対する耐久性を伝えてきています。

130809_tosaha006

東津野村船戸団地 全景
「土佐派の家」の設計者10人が外観の表現について合意した。

土佐漆喰は水ゴネであるほか、スサに醗酵させた稲藁を使うので、塗りたての時は少しオフホワイトの素朴な漆喰です。小舞土壁を下地にした「土佐漆喰」塗りは、熱容量も大きく、住まいの温湿度環境の安定に寄与するところが大きく、骨太の木材の調湿能力(年間で含水率の変動は表面から58ミリにまで及ぶようです)とともに、雨漏りや水没に耐え、機械に頼らなくても高い湿度環境を住みやすいものにしてくれる主役になっています。

※注「土佐派の家」土佐派の家PARTⅢなど参照

130809_tosaha001

県営住宅十市団地 東側外観.

130809_tosaha003

県営住宅十市団地木造棟3階建 外観
地域の素材を活かす「土佐派の家」の手法による。

高知からの便り 特派員

yamamoto山本長水(やまもと ひさみ)
略歴
1936年 高知県生まれ
1959年 日本大学工学部建築学科卒業
1959年 (株)市浦建築設計事務所ほか勤務
1966年〜山本長水建築設計事務所開設・主宰
2001年〜高知工科大学客員教授
1999年 日本建築学会賞(作品)県立中芸高校格技場
〃    作品選奨 (株)相愛本社

著書 土佐派の家PARTⅢ

★バックナンバーを読む
・高知からの便りvol.1『土佐の夏の住まい』
高知からの便りvol.2『土佐の冬の住まい』

鹿児島からの便り vol.1


皆様、はじめまして、山佐産業株式会社の森と申します。今回は鹿児島県鹿児島市からの便りをお送りいたします。

鹿児島も夏真っ盛りで熱帯夜が続いています。真夏日(最高気温30度以上)も今年に入って36日を超えています。

ところで、先日、4年に一度の国際火山学地球内部化学協会が鹿児島で行われましたが、鹿児島といえば桜島を思い浮かべられるのではないでしょうか?

社屋から見た桜島

社屋から雄大な桜島を見る

鹿児島のシンボルである雄大な桜島は、錦江湾の中の活火山の島でしたが、大正3年(1914年)の大爆発により、30億トンもの溶岩によって大隅半島と陸続きになって現在に至っています。昨年の1年間の爆発回数は885回と1日に2~3回の爆発をし、風向きの関係から夏場は薩摩半島に冬場は大隅半島に火山灰が降り積ります。

130807_kagoshima002また、鹿児島と言えば「台風銀座」と言われるほど、毎年のように台風が接近したり、時には上陸し、風や豪雨により多大な被害をおよぼします。私が体験した台風では高圧鉄塔が倒れたり、何メートルにもおよび電柱が倒れるほどの被害が発生した時には、瓦は勿論のこと屋根自体が飛び大被害により復旧作業に追われたことを今でも覚えております。

 

 

 

 

その他にも鹿児島はシロアリの繁殖が多く、被害も多い地域と言われている上に、山を造成しての宅地が多いためヤマトシロアリやイエシロアリの生育に適しているようです。

また、日本本土最南端の県として蒸暑地と言われ湿度の高い蒸し暑い地域特性を考慮した住まいづくりが求められています。

まず、はじめに弊社の事業活動を紹介させて頂きます。

総合建設業として昭和23年に創業し、65年を迎えますが、大きく住宅部・土木部・建築部の三部門で活動しております。その中の住宅部を「ヤマサハウス」の称号で県内で木造注文住宅を主に年間200棟前後建築させていただき、地域に根差した家づくりに取り組んでおります。

そんな中、蒸暑地域における省エネで環境にやさしく家計にも優しい住まいづくりに取り組んでおり、平成23年度の国土交通省の補助事業である、『住宅・建築物省CO2先導事業』に「かごしまの地域型省CO2エコハウス」が採択されました。その「かごしまの地域型省CO2エコハウス」提案内容を説明させてもらいながら蒸暑地の住まい方を紹介していきたいと思います。

まず、はじめに、弊社の木造住宅を作りながら環境貢献としての取り組みとしてLCCMプロジェクトを推進しております。

ヤマサハウスのLCCM住宅

LCCM=Life Cycle Carbon Minus(ライフサイクルカーボンマイナス)とは?
住宅のライフサイクル(建設~居住~改修~維持管理~解体)全体を通じて
CO2の排出をマイナスにする取り組みです。

地球環境や地域環境のことを考えると、CO2を削減しなければいけないことや節電が大切なことは分かっているけど実行するのは、難しいのでは?無理をしなければいけないのでは?お金がかかるのでは?などいろいろと考えられるのではありませんか?

だからこそ、私たちは家づくりの時こそ無理なく省エネできる暮らしをを手に入れるチャンスと考え、住むだけでエコ!な、そしてCO2削減&省エネ&家計に優しい住まいを創りました。

地球環境や地域環境のことを考えると、CO2を削減しなければいけないことや節電が大切なことは分かっているけど実行するのは、難しいのでは?無理をしなければいけないのでは?お金がかかるのでは?などいろいろと考えられるのではありませんか?

だからこそ、私たちは家づくりの時こそ無理なく省エネできる暮らしを手に入れるチャンスと考え、住むだけでエコ!な、そしてCO2削減&省エネ&家計に優しい住まいを創りました。

取組みの全体概要

全体概要図

木づくり感のある総合展示場

木づくり感のある総合展示場

それではもう少し具体的に建物の提案内容について紹介いたします。
大きくポイントを4つに絞ってみました。

ポイント1:使うエネルギーが少ない
ポイント2:使うエネルギーは創る
ポイント3:自然エネルギーを使う
ポイント4:エネルギーが見える

それぞれのポイントは如何に無理なく、つくる時も暮らす間も蒸暑地かごしまでエコにつながるかを考えた住まいへの取り組みです。

ポイント1は蒸暑地かごしまに適した、「省エネ」の住まい。気候・風土に合わせた無駄なエネルギーを使わない建物性能向上への取り組み!(※全体図の1~7)

鹿児島の地域特性にあった高性能と長寿命住宅

地域に根差した高気密・高断熱仕様

地域に根差した高気密・高断熱仕様

ポイント2は自然のエネルギーを活用した、「創エネ」の住まい。家づくりは建築費+生活費のトータルコストで考え光熱費ゼロへの取り組み! (※全体図の8~10)

家計にやさしい住まい

ポイント3は風と光、雨水をデザインした、「導エネ」の住まい。自然のエネルギーを上手に取り入れる自然との共存への取り組み! (※全体図の11~13)

自然の恵みをもっと身近に感じる暮らし

夏は日射遮蔽が重要

軒と窓は遮蔽と取り入れとのバランスを考慮

ポイント4はエネルギーの“見える化”と“見せる化”で、「調エネ」の住まい。見えるから、使い過ぎや無駄が一目瞭然になりエコライフへの取り組み! (※全体図の14)

エコライフの実現を助ける

これらのポイントを含めて、建物の環境性能を評価するものとして「CASBEE(キャスビー)」という建築環境総合性能評価システムがあり、環境効率★★★★★Sランクと最高ランクとし、ライフサイクルCO2は緑星4以上で四季折々の豊かな緑と草花に包まれた住まいづくりを通じてまちなみとの調和を図り、長く住み継がれるLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅こそが、地域に根差した住まいであり地域貢献への取り組みであると思います。

CASBEE戸建評価結果

そのために、建設段階で様々な性能・デザインや使い勝手に至るところまで配慮した上で、長持ちする住まいは住み手が家に愛着を持ち、私どもとともに定期的な住まいのお手入れを実施し、いつまでも快適な住まいの性能維持を図ることが大切だと考え、私たちはユーザーメンテナンスセミナーを実施しながら、エコな暮らしの普及・波及活動にも努めております。

メンテナンスセミナーの様子

メンテナンスセミナー実施風景

私たちが提案する「かごしまの地域型省CO2エコハウス」は快適な生活空間を維持するための技術の進化によってエネルギーに頼ったライフスタイルが主流となってきている中、鹿児島の地域特性を生かしながら、暑くない、ちょうどいい心地よい暮らしが地域環境にもやさしいことにつながることを気付いて欲しいと思います。

130807_kagoshima014

モデルハウス

かごしまの地域型省CO2エコハウス モデルハウス

130807_kagoshima_mori

「鹿児島からの便り」特派員
森勇清(山佐産業㈱ 取締役 住宅本部部長)

1968年鹿児島県垂水市生まれ。 一級建築士
2008~2010年「長期優良住宅先導的モデル事業」採択、2011年「住宅・建築物省CO2先導事業」採択、2012年「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2012」特別優秀賞・優秀企業賞受賞

北海道からの便りVol.1


今回は最北の北海道からの便りをお届けします。

この時期、(6月~7月)は、日本の中で最も気持ちよく過ごせる地域と言っても良いのでは?と思うほど、初夏の北海道は清々しい日が続いています。

少し振り返ると、今年の札幌は例年にない大雪で(3月の積雪量は観測史上4位だったとか。)いつもより遅い春を今か、今かと待ちわびながら桜前線の北上を楽しみにしていました。

5月に入ってようやく訪れた待ちに待った春。北海道の春はまるで、過酷な冬を頑張って乗り越えたご褒美のような素敵な季節です。
梅も桃も桜も万を時して一斉に咲き誇ります。
道ゆく人たちの表情も、みんな笑顔に感じます。

そんな北海道のお花見は、短い春を惜しむようにみんなで焼肉をするのが定番です。
こちらでは焼肉といえばそう、ジンギスカン。
この匂いが漂いはじめると、ちょっとでも暖かい日を狙って、桜の綺麗な公園へ繰り出します。

130731_hokkaido002

札幌の桜の名所 円山公園
期間限定で火器の利用が可能になります。寒くても、雨でも、老若男女が集まってきます。
そんな桜の見頃も今年は短くて、1週間ほどで過ぎ去ってしまい、
あっという間に初夏の日差しになってしまいました。
人に会うたびに、「今年の春は来るのが遅くて、あっという間にいなくなってしまったねぇ〜」という話題で持ち切りだったことを思い出します。

このように近年は、積雪量や春の様子で気候の変動を肌で感じることが多くなってきました。私が子どもの頃は10月には寝雪になり、気温ももっと低かったように感じますし、冬の間に雨が降るなんて言うこともありませんでしたが、近年では昔ほどしばれないし、クリスマスにまだ根雪でない年もあったり、1月2月は最も寒い時期なのにお正月に雨が降ったりもします。

また、春先に今までなかった梅雨のようなじめじめした天候が続いたり、(蝦夷梅雨と言ったりもするようです。)お盆を過ぎればすぐに秋の気配が漂うのが普通なのですが、昨年は9月の中旬を過ぎても真夏日が続き、これがいわゆる残暑というものか…と体感することもありました。

私たちの感覚では「夏にエアコン」が欲しいなぁ〜と思うのは7月の中頃からお盆までの1ヶ月の間にほんの数日でしたから、一般家庭にはほとんど必要なくて、扇風機で十分やり過ごせたのです。

130731_hokkaido003

雪の残る羊蹄山を背景に、一斉に芽吹き出したしらかばの林。
6月初めの北海道はこの芽吹きのうつくしい若葉色につつまれます。

北海道の真ん中あたりに位置する旭川市で育った私は、札幌に来るまで「寝苦しい夜」をほとんど体験したことがありませんでした。寝るときに網戸にして寝ると、朝方には寒くて目が覚めます。慌てて窓を閉めて布団をかけて寝直す〜。真夏でもそんな感じでしたから。

北海道の中でも地域差はありますが、「厳しい冬をどう快適に過ごすか。」ということは、建築に携わる諸先輩の努力あって、手厚い断熱ときちんと気密を取ることでほとんど解決できるようになりました。

が、近年は寒冷地である北海道でも年々暑くなってきている夏をどう快適に楽しく過ごすか。ということにフォーカスしていかなくてはならないと、強く感じているところです。

130731_hokkaido004現場帰りでの倶知安町の風景
ジャガイモ畑が満開です。疲れた帰り道にはっと、心洗われます。
ジャガイモは元々食用ではなく観賞用として伝わってきたということを
聞いたことがありますが、納得の綺麗さです。

下川町は道北に位置する環境未来都市です。古くから循環型森林経営を営む森のまちです。北海道でも最も寒い地域で、冬は−30℃、夏は+30℃にもなり、60℃の気温差をいかに快適に過ごせるようにするか、そしていかに素敵なロケーションを取り込みながら、開放的にできるか挑戦しながら、地場の木材で環境負荷を最小限に押さえた設計を心がけました。

雪も、年間降雪量9m(積雪量は1.5m)と、とても多い地域ですから、雪かきしないで使える空間はとても貴重で、冬を楽しむツールにもなります。大きく張り出した庇は夏の日射を遮りながら北海道らしい力強いファサードをつくり出しています。

130731_hokkaido005

今年で竣工後3年を迎える下川町環境共生型モデル住宅美桑

写真は竣工当時のもの。(撮影:KEN五島)現在は、外壁の雰囲気がより周辺環境になじんできました。ぜひ体験宿泊で体感して頂きたいと思います。(体験宿泊については 五味温泉 HP http://gomionsen.jp/mikuwa/ 環境省21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業については http://www.env.go.jp/policy/ecohouse/

130731_hokkaido006

今年の春のエコハウス。
竣工後3年経ってだいぶ周囲になじんできたように思います。
お椀型の裏山の麓、わずかな水流にオタマジャクシがいっぱいでした。
周辺は、カラマツやトドマツの美しい林に囲まれて、鳥の声が響いています。

竣工してから通年で環境測定をして頂いていますが、測定期間中の外気温が高い2週間を取り上げて分析したところ、外気が30℃を超えても室温は25℃前後を保ち、土間のある1階はさらに2,3℃低く保たれており、夏の防暑対策として、壁の300mmのウッドファイバーと、屋根面の500mmのセルロースファイバーの断熱はもちろんのこと、屋上緑化と土間床が有効に働いていることがわかりました。朝は外気温が15℃前後と低くなっても室温はほぼ一定で、ナイトパージを適度に行えば、日中の室温はもっと低めに押さえることも可能でしょう。

130731_hokkaido001

地方独立行政法人北海道立総合研究機構 建築研究本部 北方建築総合研究所と
東海大学 芸術工学部建築・環境デザイン学科の協力を得て、
2010年5月27日〜通年で温湿度測定を実施しています。

また、札幌で暮らしながら道内各地を訪れる機会が多くなってきました。産まれてからずっと北海道にいますが、仕事であちこち走り回っていると、本当に北海道はおっきいなぁ〜。と感じます。住宅の設計の依頼を受け、まずはプランニングのヒントを見つけに敷地に赴きますが、気候の違いに驚きます。

素敵なご縁を頂いて、年間累積で10m以上の降雪がある倶知安町でもお仕事させて頂いています。ここではその豪雪をいかに楽しく暮らしに取り入れられるかがテーマです。冬の風速が 20mを越える歴史深い海辺の町江差町では、その厳しく冷たい風をどのように面白く活かせるか、がテーマです。

困難を克服するのではなく、面白楽しく暮らしに取り入れることで、厳しい気候もその土地ならではの魅力として輝くはずです。今ある技術を最大限に生かしながら素晴らしい北海道の風土を楽しめる、環境に優しく人にも優しい。そんな建築をこれからも設計していきたいと思っています。倶知安と江差の事例は冬の号で改めてご報告できればと思っています。

130731_hokkaido007初夏の下川へ~。遠い山々の残雪と、道ばたのたんぽぽと。
写真に写る赤と白のシマシマ矢印は矢羽根と言って、
冬の猛吹雪でホワイトアウト状態でもここから道路だよと教えてくれる命綱。
冬の現場通いでは、何度も遭難しそうになりましたが(大げさ。笑)これに助けられるのです。

130731_sakurai

北海道からの便り-特派員/櫻井 百子(さくらい ももこ)

1973年北海道旭川市生まれ。北海道東海大学芸術工学部卒業後、都市計画事務所、アトリエ設計事務所を経て2008年アトリエmomo設立。子育てしながら、こころや環境にできるだけ負荷の少ない設計を心がけている。平成22年度 北海道赤レンガ建築奨励賞、2011年度 JIA環境建築賞 優秀賞 (住宅部門) 受賞。

[北海道からの便り バックナンバー]
・北海道からの便り vol.1
・北海道からの便り vol.2
・北海道からの便り vol.3
・北海道からの便り vol.4
・北海道からの便り vol.5
・北海道からの便り vol.6
・北海道からの便り vol.7
・北海道からの便り vol.8

愛媛からの便り vol.1


 

皆様はじめまして。新日本建設株式会社の村上と申します。今回は愛媛県松山市からお届けいたします。

弊社は昨年、国土交通省の補助事業であります「住宅・建築物省CO2先導事業」の採択をうけました。プロジェクト名は「えひめの風土と生きる家~次世代につなぐ地域連携型LCCM住宅※~」です。その弊社の提案内容をメインに夏と冬2回に分けてお伝えしようと思います。
※LCCM住宅(ライフ サイクル カーボン マイナス住宅)住宅の建設時から運用時、廃棄時においてのCO2収支をマイナスにしようとする住宅のこと。

まず、弊社の活動内容ですが、愛媛県全域で木造住宅の新築を主に行っています。年間の新築戸数は40~50戸程度。その特徴は自然素材にこだわった家づくりです。

写真1総合展示場モデルハウス総合展示場モデルハウス

今回の省CO2先導事業の提案の中でいちばん二酸化炭素削減効果が高いのが木材の自然乾燥です。自社保有林で伐採した木は枝葉を残したまま山で寝かしておく「葉枯らし自然乾燥」を行っています。約半年かけて枝葉から徐々に水分が抜けていきます。その後枝葉を落とした丸太は製材所に運ばれ、さらに半年置かれた後製材します。一つ一つの工程でゆっくり乾燥させることで、木の養分が残り、それが強度につながっています。

葉枯らし自然乾燥葉枯らし自然乾燥

製材後の自然乾燥製材後の自然乾燥

日本木材総合情報センターによりますと、人工乾燥製材の場合の製造時炭素放出量は100kg/㎥、それに比べ天然乾燥製材の場合は16kg/㎥となっており、自然乾燥を行うことは人工乾燥するよりはるかに省CO2効果があることがわかります。仮に家一軒で使われる構造木材が40㎥とすると、約3.3tの二酸化炭素排出量を抑制できます。

こういった自然乾燥をはじめて約5年になります。これまでは構造材だけでしたが、今回の提案では造作材や建具・家具といったところまで自然乾燥の木材を使用しています。

また、地元の木を使うことは運搬面での二酸化炭素排出量の削減にもつながっています。海外からの輸入する場合は海洋輸送が多く、特に日本は輸入量と輸送距離を掛け合わせたウッドマイレージが諸外国に比べて圧倒的に高くなっています。

愛媛県は杉や桧の原木生産量が多いため、地元の木を使って家を建てることが容易にできる環境にあります。しかし山にはまだまだ放置林が多く、山の担い手も少なくなっている現状があります。川下である住宅建築において地域材の利用が多くなれば、川上の林業に活気が戻るものと思います。そういった意味においても地産地消の家づくりを今後とも推し進めてまいりたいと思います。

話を戻しまして、次に建物の省エネ措置についてお話しようと思いますが、その前に愛媛の気候特性について少し説明させていただきます。愛媛県は降水量が少なく穏やかな日が多い特徴があります。冬は北風の季節風、夏は南東の季節風が卓越しますが、風上側に中国山地や四国山地があるため、山陰や南四国で雨や雪が落ちます。そのため晴天日数(全国2位)や日射量が多いという特徴があります。

そういった気候風土にあわせた省エネ措置の住宅を提案しております。まず創エネ設備として、太陽光発電システムを5kw、太陽熱利用給湯システム(ハイブリット型)を設置し、晴天日数が多いという気候特性を最大限利用します。その他の設備としまして、HEMS(エネルギーの見える化)、高効率エアコン、ペレットストーブ、LED照明、節湯機器、電気自動車用コンセント、雨水貯留タンク、コンポスターなどを設置します。

省エネ措置の概要省エネ措置の概要

こういった設備に加え、パッシブデザインによる住空間の提案を含めております。具体的には、風圧差を利用して効果的に卓越風を取り込むための窓配置計画であったり、ルーバーやスクリーン、庇による日射遮蔽措置を行います。気候特性上、中間期は穏やかな日が多いので、できるだけ機器に頼らない住空間を提案しています。

断熱性能についてはQ値1.9相当(天井断熱材:高性能グラスウール16K155mm、壁断熱材:高性能グラスウール16K100mm、床下断熱材:フェノールフォーム保温板63mm)として高断熱仕様になっています。

最後にCASBEE(建築物総合環境性能評価システム)のランクですが、「S」ランクとし、ライフサイクルCO2は緑4星以上としています。LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅を目指し、建設段階からの二酸化炭素排出量削減に取り組んでいます。

CASBEE評価シート

 CASBEE評価シート

今回の「住宅・建築物省CO2先導事業」の弊社の提案でもうひとつ大きな柱としまして、地域連携の取り組みがあります。これに関してはまた次回の冬編でお送りしたいと思います。

省CO2モデルハウス(内観) ehime_sum006省CO2モデルハウス(2013年5月完成)

愛媛からの便り特派員(村上敦)愛媛からの便り-特派員
村上敦(新日本建設株式会社勤務)
1975年愛媛県東温市生まれ
一級建築士、一級建築施工管理技士

沖縄からの便りが届きました


沖縄ならではの家づくりを紹介する「沖縄からの便り」の夏編が届きました。

暑さへの対策だけでなく、台風や白アリ等への対策も求められる
蒸暑地域ならではの住まいづくりを研究する、
「NPO蒸暑地域住まいの研究会」の松田まりこさんによるお便りには、沖縄県内にある特徴的な住宅を12戸抜粋し、1年間環境測定を行った結果も記されています。

さらに計測した住宅は木造住宅、コンクリート住宅、木造とコンクリートの混構造住宅と、それぞれ築年数や市街地型/郊外型、家族構成・ライフスタイルの違うものを選び、それぞれの住宅で使用された一年間の光熱費より年間消費エネルギーの計算をして、「どのような暮らし方をすれば、設備に頼らなくても快適な生活ができるのか?」といった検討の結果も示されています。

詳しくは「沖縄からの便り」をご覧ください。

沖縄からの便り Vol.1

2013年夏編


 

[ご挨拶]

平素より一般社団法人 環境共生住宅推進協議会のホームページをご利用いただき、ありがとうございます。

『地域からの便り』は2007年から、日本・世界の各地域にお住まいの方から、環境と共生する暮らしの風景をお寄せいただいて参りました。5年目の今年はブログのリニューアルを行い、国内を限定に新たな連載を開始します。

今回は、日本国内の地域に限定し、また環境と共生する住まいづくりの専門家を中心にご寄稿をお願いしました。

地域は沖縄県那覇市、鹿児島県鹿児島市、山口県下関市、愛媛県松山市、滋賀県近江八幡市、神奈川県横浜市、東京都町田市、東北地方(岩手県、宮城県、福島県)、秋田県能代市、北海道下川町の計10箇所です。

国土交通省による『住宅・建築物 省CO2先導事業』の住宅部門や特定被災区域部門の採択事業者から、環境省による『エコハウスモデル事業』の採択事業者の他、国産材の普及促進やコーポラティブ方式によるエコハウスの居住者等、地域の環境に根ざした住宅づくりのプロフェッショナルからの便りは、2011年まで連載してきた居住者の方からのお便りとはまた違った視点で構成されると思います。

夏は7月~8月、冬は1月~3月と期間を限定してお届けしますので、更新をお楽しみに。

この連載を通じて、環境と共生する住まいづくりを考えていらっしゃる皆さまや、すでに取り組まれている皆さまの情報交流にもつながって行くことを願っております。

沖縄からの便りvol.1


梅雨も明け、沖縄はすでに夏まっさかりです。

さて皆さんは「沖縄の暮らし」と聞いてどんな生活が思い浮かびますか?

伝統的な家屋である、赤瓦の屋根の木造住宅が石垣によって囲まれた住宅を思いつく人も多いのではないでしょうか?

沖縄の伝統的民家沖縄の伝統的民家

実際、建築統計年報によると、沖縄県内において平成20年度までの10年間に新築された戸建て住宅約3万2千戸のうち木造住宅は約1700戸(5.3%)に過ぎず、ほとんどが鉄筋コンクリート造などの非木造であるのが現状です。

現在の那覇市の街並み

現在の那覇市の街並み

現在の那覇市の景観はまさにコンクリートジャングルです。

コンクリート住宅は、冬寒く、夏暑い、湿気によるカビの発生が多いなど健康住宅のイメージが少ないような気がします。

さて、コンクリート住宅は、本当に暑いのでしょうか?木造住宅に暮らせば涼しい生活ができるのでしょうか?

私たちNPO蒸暑地域住まいの研究会では、沖縄県内にある特徴的な住宅を12戸抜粋して1年間環境測定を行いました。

木造住宅、コンクリート住宅、木造とコンクリートの混構造住宅と、それぞれ築年数や市街地型/郊外型、家族構成・ライフスタイルの違う住宅を選びました。

その住宅で使用された一年間の光熱費より年間消費エネルギーの計算をしてどのような暮らし方をすれば、設備に頼らなくても快適な生活ができるかの検討を行いました。

参考までに、自立循環型住宅への設計ガイドラインでは沖縄県那覇市RC造住宅の年間1次エネルギー消費量の合計は66.6GJとされています。

CASE1:築80年の伝統木造VS築浅の混構造住宅

どちらも4人家族ですが、消費エネルギーは約倍近くも変わりました。

伝統木造 46.9GJ

伝統木造 46.9GJ

現代混構造 89.3GJ現代混構造 89.3GJ

伝統木造の方はエアコンがなく、ほぼ扉や建具は開いている状態で生活しています。

エアコンがないからには暑くて快適じゃないでしょう、と言われるかもしれません。実際の温度の変化は以下になりました。

2011年の7月1か月の室温(リビングと居間)とアメダス(外気温)日射量をグラフで示しました。

05

若干エアコンありの方がアメダスの外気温データよりもすずしくなっていますが、そこまで大きな差はありませんでした。

以上の結果をみると、やっぱり木造の方が環境的には有利のように思えます。

CASE2:現代RC造VS現代木造

どちらも築年数の浅い住宅です。こちらも家族構成は同じです。

06現代木造住宅 57.5GJ

07現代RC住宅 42.5GJ

実際の快適性はどうでしょうか。測定した室温は次のような結果になりました。

08

この現代木造は市街地に位置するため、建具を常時開けるわけにはいかず、室内の気温は外に放出できず1か月ほとんど外気温よりも高いという暑い結果になりました。

一方RC住宅は、遮熱塗料や屋根に砂利を敷く等遮熱に関する性能を高めたため、外気温と同程度の室温に保っています。

 

CASE3:現代混構造VS現代RC造

両方とも築30年近い建物です。家族構成もほぼ同じで両方とも密集市街地型です。

0910

(左)現代混構造 94.0GJ (右)現代RC造 59.7GJ

混構造の建物は8年ほど前にコンクリート住宅平屋の二階に木造住宅を増築しました。木造の方が涼しく快適だろうと期待していたそうです。しかし実際は異なりました。

11

二階の居間の気温が木造の室温です。アメダスの外気温よりも高く日射量とほぼ比例して上昇しているのがわかります。屋根の断熱・遮熱が不十分であったことと、開口部による熱の放出ができなかったためだと予想されます。

一方現代RC造も屋根からの熱の伝導の影響があり、最上階の寝室と下階の居間では差がみられました。

CASE4:現代混構造VS現代混構造

次は同じ混構造で同じ家族構成の住宅です。違う点は、一方は設備重視型、一方は自然志向型のライフスタイルという点です。

12

現代混構造(設備重視型)103.2GJ

13

現代混構造(自然志向型)31.3GJ

設備重視型の住宅は、太陽光発電を行っています。高齢者がいるので夏場はほぼエアコンつけっぱなしにしています。よって使っているエネルギーは、103.2GJと大きめです。

一方自然志向型の住宅は、丘の上にあり風通しがいいため、同じように高齢者がいますがエアコンは使わないで生活しています。消費エネルギーは、設備重視型の約1/3以下で生活しています。

ちなみに光熱費は、設備重視型住宅では27000円でしたが売電を行っているため差し引くと145000円で、自然志向型は154000円でした。現在のところ、エネルギーをなるべく使用していない方が高いという結果になっていました。

沖縄の特徴として、文化も同様ですが、多種多様な住まいがあります。それぞれに合ったライフスタイルと住宅の設計が重要視されてくると思います。

特に夏場涼しくなる工夫は、壁の断熱よりも遮熱を重要視すること、不在時の通風が大切なポイントになっているようです。

DSC_0749

「沖縄からの便り」特派員
松田まり子(NPO蒸暑地域住まいの研究会)
1977年沖縄県那覇市生まれ。2000年武蔵工業大学工学部建築学科卒業。卒業後、沖縄県内設計事務所および東京都内の設計事務所、デベロッパー勤務。2010年より特定非営利活動法人蒸暑地域住まいの研究会理事に就任。現在特定非営利活動法人蒸暑地域住まいの研究会理事長。

◇沖縄からの便り 他の記事を読む
・vol.1 2013年夏編
・vol.2 2014年冬編
・vol.3 2014年夏編
・vol.4 2015年冬編
・vol.5 2015年夏編
・vol.6 2016年冬編
・vol.7 2016年夏編
・vol.8 2017年冬編
・vol.9 2017年秋編

ソノマからの便り vol.2 『カルフォルニアの家づくり』


今年の北カリフォルニアの春は雨が多く、寒さが長引きましたが、6月半ばに入り、急に真夏の気候に突入、そしてまたもや大雨、急な天候の変化で体調を崩している人も多いようです。私はこの地に住んで16年経ちますが、6月の大雨は初めての経験です。

さて今回の記事は、住まいづくりにおけるこちらの人々の考えかた、規則などについて書いてみます。

アメリカに来て多く目にしたのは“家を自分たちで修理する光景”でした。修理といっても、家全体の改築から、部屋のペンキ塗り替えまで様々です。ボストン在住時、私たちが引っ越す前に大家さんが部屋のペンキ塗り替えをしていたのを覚えています。家の持ち主によるペンキの塗り替えは、アメリカの文化なのでしょう。家族の週末プロジェクトとして、子供の頃から自然に身につくようです。

私はこれまでの16年間に2度、家の大リフォームを経験しました。1度目はリフォームによって家の価値を上げ売却に貢献できました。2度目は、古家を手頃な価格で購入し、モダンな家に全面リフォームしました。古家を購入し建て替え、価値を上げたところで売却、また別の家を購入してリフォームを繰り返し、リフォームそのものを楽しむこともこちらの文化かもしれません。
また知人である建築家は、15年前に古家を購入し、住みながら少しずつリフォームし続けています。現在は、キッチンを工事中、リフォーム計画が全部終わる頃には、子供たちはみんな巣立ってしまっているだろうと笑っていました。家のリフォームは生活の一部というのもこちらでは決して珍しい話ではありません。

カリフォルニアの場合、1978年施行の建築基準規則「タイトル24」と呼ばれる省エネ対応建築を目的とした法律があります。住居、非住居にかかわらず、新改築の建物全てにおいて従わなければならない法則です。
http://www.energy.ca.gov/title24/enforcement/

この法則は、屋根、断熱材、窓の種類、給水、電気のスイッチ等など、更には電球の種類に至るまで、建物に関わる全てに対し詳細の規則があります。これも年々厳しくなってきており、設計図承認から認可が下りるまで、かなりの忍耐を要します。まず設計図を持参し、役所内の専門職員によるコンサルテーションから始まります。初回通過はほとんど無く「また、直して戻ってらっしゃい。」と設計図面を返却されます。数回のやり取りの後、ようやく受理されてから認可が下りるまで約一ヶ月かかり、その間にも申請費をしっかり取られます。財政困難なカリフォルニアだからでしょうか・・・公共機関にかかる費用は、何でも高価です。
6年前に私が経験した2度目のリフォームでは、申請費用に30万円以上かかりました。申請から一ヶ月以上、ようやく承認の通知が来た時は、お祝いパーティでした!

役所では個人の家の設計図、敷地図も保管されており誰でも閲覧可能になっています。図面内容と実際の建物に違いが見つかれば認可を得ずに勝手に改築したことがわかります。
改築認可は厳しく費用がかさむため、勝手に家を改造してしまう人も珍しくはありませんが、売却時の大きな問題に繋がります。やはり法則に従ってリフォームしたほうが妥当でしょう。

では私が経験した2度目のリフォームについてお話ししましょう。

売主が認可を得ずにガレージを居室に改造してしまったため、私たちは正式に登録された図面通り、元のガレージに戻すことから始めなければなりませんでした。居室を取り壊し、ガレージを再び造り直し、そこがリフォームの本当のスタートラインになるという理解です。私たちの最終的なプランは、この場所はダイニングルームになる予定でしたので、100%無駄作業となるのですが、スタートラインが保管図面通りでないと、巨額な罰金を課せられます。ガレージの改造が無認可であることは図面上わかっていたため、購入時に売り主との折衝により申請料や工事費などの想定額を割引いてもらいました。

さて、認可も無事下り、リフォームスタート!工事中は、決められた各段階ごとに、役所担当者が現場検査をします。各段階でパスしながら、次の工事段階に進むことができるということです。私の家では、完成するまでに、3回ほど、検査員が現場検査にきました。完成後、最終検査に合格したらゴールです。

お役所から承認された、図面をわかりやすいところに置いておく

リフォーム中は、お役所から承認された、図面をわかりやすいところに置いておきます。
役所から渡されたビニール袋に承認図面を入れておき、検査官が来たときに、この図面に基づいて検査をします。

リフォーム工事中

古家を手頃な価格で購入し、モダンな家に全面リフォーム。
リビングは天井をくりぬいて高くしました。

工事中の家でクリスマスパーティー

古い部分を全て取り壊して、新しい組み立てをしたところ。
リフォーム中に、工事現場でクリスマスパーティーを開きました。

リフォーム後のリビングルーム

工事中の外観の様子

リフォーム後の家の外観

ここまで苦労してリフォームするの?と思われるかもしれませんが、リフォームの大きな理由は、自分の好きな住まいをつくりたいということと、リフォームによって家の価値を上げたいという2点です。

最近、面白い記事を目にしました。「お金をかけて苦労しても、家の価値にあまり影響しないリフォーム項目」というものです。いくつかご紹介しましょう。
まず外部仕様から、近所に釣り合わない仕様の住宅には価値がつきません。新築でも改築でも隣地のレベルに合わせることが大切です。たとえ美しい豪邸を建てても、その場所が中流階級の住宅地であれば、家の価値もその場所を基準として決められます。それからプール、アメリカではプールがある家は珍しくありません。プール工事費は大きな金額ですが、プール付き=家の価値とはなりません。逆に安全性から避けられる場合もあります。またガーデンや外構、高級感のあるパティオや噴水、デッキ、芝生の美しい庭を保有していても売却時の価格には関係ないようです。次に家の中では、高級な素材や製品は価値に繋がらないようです。お金をかけて造ったブランドの造り付け電化製品、造付家具、バスタブ、タイルなどは個人の趣味として認識されてしまいます。またカーペット、売却前にカーペットを新しくすることが多いのですが、家の価値には関係ありません。そして残念ながら目に見えない部分のリフォーム、下水管や給排水システムなども努力や金額の割には価値が上がらないのが現実です。

このような話をすると、利益ばかり考え、リフォームが楽しいものではなくなってしまいがちですが、私は自分の住まいを好きなように造る醍醐味が味わえることが何よりも幸せだと思います。プールが家の価値を上げなくとも、自宅の庭で泳げるなんて!ガーデンが家の価値に関係なくとも、素敵な時間を過ごせ、ほっとできる場所があることは本当に幸せなことですよね。

夜はプール沿いで、バンファイアーを楽しみます。

ついでにツリーハウスも作りました!

 

さて話は変わり、友人の陶芸家が手掛けたアートスタジオのリフォームを取材しました。

彼女がそれまでいた借りていたアートスタジオは、大家さんが急に土地を売却することになり、新しいスタジオを探さなければなりませんでした。そして見つけた場所が、なんと鶏小屋!6つある鶏小屋のうち、使っていないひとつを月250米ドル(2万円ほど)で借りられるとの情報でした。大きさは、5.0×8.0=40m2でスタジオとしては適当な大きさなのですが、なんと言っても鶏小屋です。話を聞いた時には、急なことでどこも見つからず切羽詰っているのだろうと思っていました。ところが鶏小屋アートスタジオを訪れてみて、その考えは一転しました。濃い緑色だった小屋は明るい黄色に塗り替えられ、ドアはラベンダー色、友人がひとりで塗装したそうです。

これと同様の鶏小屋を…

アートスタジオに改装

鶏小屋に並んでアートスタジオがあります

遠目からでも、黄色い外観が目を惹きます

壁をくり抜いてドアと窓をつくると内部が明るくなりました。中に棚を造り、テーブルや椅子、冷蔵庫などを配置すると、そこには鶏小屋だったことを忘れさせるようなアートスペースが完成していました。

アトリエ内観

アトリエ内観

リフォームには2500米ドル(20万円)ほどかけたそうですが、友人の手によってボロボロの鶏小屋がとても楽しいアートスタジオに生まれ変わったのです。今では本来のアートスタジオとしての機能だけでなく、彼女の作品を買い求めるお客さんのショッピングのにぎやかな場でもあり、友人知人の集う場所としてパーティを開いたりと、場の使い方が広がってきました。友人は、最初に鶏小屋を見て、既に頭の中でこの楽しいスペースを描いていたのでしょうね。自分の理想のスペースは自分でないと描けない、自分の場所は自分で造りたい、彼女の気持ちが表現された素敵な場所でした。

陶芸作家のニコールさん

豪邸でも小さな家でも、また家族みんなでつくる場合も個人であっても、工事の大きさに関わらず、自分自身がほっとできる場所があることが大切なんだと思います。アメリカで人々の住まいへの思い、愛情を強く感じています。時に忍耐や厳しさもありながら、それでも常に自分の住まいを快適なものにしようとするパワーに脱帽です。

★ソノマからの便り

※この記事は2011年にご寄稿いただいたものです。文中の情報は寄稿当時のものです。
特派員:清水 圭子
ソノマ在住のデザイナーズ家具輸入会社支配人。
(主にヨーロッパより高級モダン家具を直輸入、環境に適した品物をアメリカ市場に提供)

「ソノマからの便り」の他の記事を読む
vol.1 『カルフォルニアの家探し』
Vol.2 『カルフォルニアの家づくり』

ワシントンからの便り vol.2『家づくりに必要な要素』


日本に住んでいた頃は正月三が日をゆっくり過ごし、ここから新年が始まるとゆったりとした気持ちの切り替えの時期があったように思います。アメリカに引越しをして驚いたことの一つに、新年に対して日本人が感じる気持ちの切り替えがあるのだろうか?と感じたことです。

年末に向けてアメリカでは大きなイベントが目白押しでした。10月31日のハロウィン、11月第四週木曜日の感謝祭、12月25日のクリスマス、そして1月1日の新年。新年を迎えると全てのイベントが終わってしまったとでもいうように、通常は翌2日から学校が始まり会社も通常業務となります。(今年は1月2日が日曜日だったため、3日から通常の生活が始まりました。)
新年を迎えてはいるものの、例えば日本の初詣などお正月らしい行為がないこと、さらにクリスマスデコレーションが1月10日前後まで続けられていることも新年気分を感じられない原因かもしれません。

110127_akiyama01

連邦議会堂前のクリスマスツリー

 

手を加える?加えない?

アメリカで家を買う場合、「購入後に修繕が必要か否か」は大きな条件です。新築物件を購入し何も手入れせず入居するか、中古物件を購入し自らの手で自分仕様に家を造っていくか。ワシントンDC近郊の住宅市場(新築物件が少ないこと)が関係している為か、私の周りでは、後者・中古物件を購入し手を加えている人が多くいます。

友人の一人はあえて未施工部分がある家(中古物件)を購入し、家族とプランを立て自分達の使いやすい家を造っています。料理好きで人をお招きするのが好きなご夫婦なので、大きな使いやすいキッチンとダイニングルームをまず先に修繕したそうです。

110127_akiyama02

キッチン 左側扉は冷蔵庫

110127_akiyama03

ダイニングルーム 奥にある作り棚はご夫婦で作られたもの

そしてこれから地下部分に手を加える予定とのこと。ちらりと地下部分を見せてもらいましたが、未施工部分というのは壁を取り付けることから始めなければいけないことに驚きました。部屋の間仕切りをどうするかなど未施工部分は自由度が高くていい反面、本当に家づくりが好きではないと大変な労力とお金を必要とする修繕になるなと感じました。

110127_akiyama04

地下部分へ続く階段

 

別の友人は家を購入後、建物に付随していたガレージを部屋として修繕していました。外側のシャッター部分を閉じ、室内側もシャッター側の壁を塞ぐだけで新しい部屋が家に追加されました。

110127_akiyama05

中央部のレンガが途切れている箇所が元ガレージ入り口

友人は家族と友人達ですべて施工、ひと夏で完成させていました。竣工後、ガレージから部屋へと変更した旨を記載した申請書も自ら作成し役所へ提出していました。家づくりは時間と手間と情熱を注がねば出来ないものだなと、お手伝いに行ったはずが足手まといになって終わった私の感想です。

ワシントンDC近郊では、住宅市場に新築物件が少なく中古物件が多く出ています。家づくりは住みやすさを求めた改築とともに、避けられない修繕も多いのではないかと感じています。そのため、多くの人が修繕の知識を“必要に迫られて”持っているのではないのかな?と感じています。
私が通っていた語学学校の教師は、周辺住民の住宅修繕を行うボランティア団体に所属しています。「配管工事は出来るけど、電気工事は全然ダメでね。だから電気系統は触らないようにしている。」という教師は配管担当で、他の人々が電気担当・ペンキ塗り担当などそれぞれが得意とする分野で修繕のお手伝いをしているそうです。その教師曰く、この地域には教会を中心とした修繕のボランティアが多く存在するとのこと。様々な理由で自ら手を動かすことが出来ない人にとっては大変ありがたい存在だと思います。

雨水利用

別の友人は、一昨年屋根に降った雨を集める雨水タンクを軒下に設置しました。庭の水撒きはほとんどこの水を使うそうです。

110127_akiyama06

右下に映っている白いタンクが雨水タンク

110127_akiyama08

アップで見るとこんな感じです

雨水タンクをどこで買ったの?と聞いてみると、これは友人からの頂き物なので購入場所は分からないとのこと。彼女自身も購入を検討していたことがあり、アメリカの大型量販店コストコでも買えことを教えてもらいました。コストコのホームページで調べてみると、3種類の雨水タンクが販売されていました。私はコストコの会員ですが、これらが売っていることはまったく知りませんでした。

110127_akiyama07

コストコホームページの画面

コストコホームページの画面(http://www.costco.com/
※コストコは、世界中に570以上の倉庫店を持ち、日本サイト(http://www.costco.co.jp/)もあります(編集部)

私が住んでいる地域・北部バージニア(アーリントン郡・フェアファックス郡)では、雨水タンクの設置を推奨するワークショップが毎年開かれています。雨水タンクの設置は、以下四点において利点があると言っています。

1) 庭や地下室に雨水が浸水することを防ぐ
2) 庭の植物に自然な水を与える
3) お金と水を節約する
4) チェサピーク湾を保護する

またこのワークショップでは、蚊の発生を防ぐ方法、落ち葉を雨水タンクへ入れない方法など雨水タンクを設置した後の問題についてもしっかり伝えていました。

良いことが多い雨水タンクですが、ワシントンDCから離れたアリゾナ州・コロラド州などでは最近まで個人で雨水タンクを設置する行為は、『乾燥した地域の貴重な水源である雨水を個人の利益に使用してはならない』という理由で違法とされていました。所変われば考えも法律も変わる。アメリカ国内でも環境が異なれば考え方は大きく違うものだと考えさせられた事柄です。

ゴミの回収

自分で家を改修したはいいが、その時発生したゴミはどうするのかと疑問になりますよね。私が住んでいる市では、電話で予約しておくと回収日に粗大ゴミも回収してくれます。このシステムは日本と似ています。ホームページに予約回収してくれる粗大ゴミの一部例が記載されており、そこには一部例として『取り外したドア、配管備品、建築材』などが挙げられています。これらが例として挙げられているところを見ると、それらが多く粗大ゴミに出されるということでしょう。

家を自ら改築する環境が整っている(材料が手に入る、機材が購入できる、コミュニティーが推奨している・ボランティアがいる、ゴミの回収システムがあるなど)ことは、持ち主の改修意欲とともに家づくりを行う上で重要な要素になるようです。

★ワシントンからの便り

※この記事は2011年にご寄稿いただいたものです。紹介している情報は寄稿当時のものです。
特派員:秋山 優
ワシントンDC郊外在住の“面白いもの探検隊”をやっている主婦。
造園事務所に勤務後、兵庫県立淡路景観園芸学校を卒業。2007年、ワシントンDC郊外に引越し。
夫と二人暮らし。面白いことを探して、いつもカメラを持ち歩いている好奇心の塊。

バックナンバーを読む
ワシントンからの便り vol.1 『アーバンからルーラルまで』
ワシントンからの便り Vol.2『家づくりに必要な要素』

東京からの便り vol.7『東京で家を買う』


 

こんにちは、オザです。

街がきらめく12月。ここ東京も今はクリスマス一色に染まっています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

日本にはクリスマスの後にお正月という大きなイベントが控えているので、風潮としてクリスマスは24日のイブまで。25日には早くもツリーや飾りなどは撤去されて、26日にはツリーに代わって門松が登場します。この変わり身の早さが東京らしいなと毎年思います。

前回のブログでは縁があって、分譲マンションに賃貸で暮らすようになったいきさつを書きましたが、今回はその続きです。

賃貸向けのマンションと分譲マンションではやはり建物の質や設備の充実さが違うと感じました。いずれは両親の住む実家の近くに家を構える予定だったにも関わらず、このまま家賃を払い続けて賃貸生活を続けるよりも、ローンを組んでも持ち家を手に入れたほうがいいのではないかと考え直したのは、快適な生活を覚えてしまったことが一番の要因かもしれません。

マンションの人気設備といえば、床暖房、浴室換気暖房乾燥機、ディスポーザー、宅配ロッカーなどでしょうか。どれも使ってみるととても便利。

足元から温まる快適さを覚えると床暖房のない暮らしは考えられないほど。子どもはごろ〜んと寝転んで、そのままうとうとしてしまうこともよくあります。

ゴミ有料化の市に住んでいるのでディスポーザーで生ゴミを処分できるのはとてもありがたい。ただし便利である分、故障があったときの痛手も大きく、昨年ディスポーザーに誤ってスプーンを絡ませてしまい、動かなくなったので修理を頼んだ時には5万円近くの出費がありました。

最近ではこれらの設備に加えて、PASMOやSuicaといったICカードをマンション共用部のキーとして使うことができ、さらにエントランスを通過した際に、保護者の携帯電話などに帰宅メールが配信されるキッズ向けサービスのあるカードキーも増えてきているようです。すごいなぁと思うと同時に、カード1枚に色んな機能が備わっているので、なくしたら大変だという心配も。もしかしたら、近い将来にドアから鍵穴は消えてしまうかもしれませんね。

マンションを購入するにあたり、週末ごとにたくさんのモデルルームを見に回りました。一番検討したのは、実家に近く子育てのしやすい環境があること。新築だけにこだわらず、築浅の中古物件もかなり見て歩きましたし、一戸建てに住みたいという憧れもあって、建売住宅のモデルハウスにも足を運びました。

でも、田舎で育った私たち夫婦にとって、東京の一戸建ては隣家との距離がとても近く、庭もないことが少し窮屈に思え、また予算面でも折り合いがつかず、自然と一戸建てに住むことは諦めてマンションへと物件探しもかわりました。

いろいろ見る中で気になり始めたのが、共用施設の充実しているマンションです。全体の戸数が300戸ぐらいある大規模なところには、住民が使えるキッチンやライブラリー、中にはマッサージルームやカラオケルーム、遊びに来た方が泊まれる部屋等が備わっているところもありました。

そして、家探しをはじめてから10ヶ月ぐらいしたころ、本当に偶然なのですが、賃貸で住んでいるマンションから、借りているのとは違う部屋が売り出されたのを知ったのです。

学校やスーパーに近く、共用施設も充実しているこのマンションをとても気に入っていたのですぐに部屋を見せてもらい、その場で購入を決めました。

今まで住んでいた東向きの部屋とは違い、南向きで日当たりがよかったことと、リビングの西側にはガラスブロックのはまった出窓がありとても部屋が明るかったことが決め手になりました。ガラスブロックに映る見える秋の夕焼けはすごくきれいなんですよ。

購入した後も、修繕積立費や管理費などは月々かかります。共有施設を使う場合も無料ではなく、決められた使用料を払わなければなりません。うちのマンションは駐車場代が周辺に比べると割高なので、我が家は車を所有することを諦め、必要な時は実家から借るか、レンタカーに乗ることにしました。

それでも購入してよかったなと思うのは、快適な暮らしを手に入れられたことや、マンション内に同世代の子どもがいて、友達や相談相手ができ、安定した環境が整ったことです。

もしかしたら、将来はここを手放して実家に戻ることもありえるのですが、しばらくは今の生活を楽しみたいと思っています。

※この記事は2010年にご寄稿いただいたものです。掲載されている情報は2010年当時のものです。

★『東京からの便り』のバックナンバーを読む
特派員:オザ(東京の郊外に夫と幼稚園児の娘と三人で住んでいる主婦。Lee100人隊のお買いものコラムもやってます。)

vol.1『ゴミの有料化は効果的か
vol.2『秋から冬へ』
vol.3『世田谷ボロ市と冬の過ごし方』
vol.4『春の花便り』
vol.5『梅雨時の生き物たち』
vol.6 『東京の家探し事情』

イタリアからの便り vol.2 『イタリアの家づくり』


今年もあと僅かとなると何故かせわしくなる今日この頃、皆さんお元気ですか?イタリアでも冬の冷たい空気が流れて雪が舞う中、今はクリスマスに向けて大忙しです。イタリアのマンマは何日も前からパーティの用意を始めるのです。イタリア人にとってクリスマスは大切な日、神に感謝し祈ります。また一年幸せでいられますようにと家族でゆっくり過ごします。大切な日に家族みんなで一緒にいるための家もまた大切。今回は彼らの家づくりを取材しました。

101215ambe_001
もうすぐクリスマスパーティの始まりです

アパートメントの一室を内装リフォーム、郊外の古い家屋を購入して全面リフォームが主流ですが、いずれも景観条例が厳しいのもまた事実。アパートメントについては構造を触らなければ、まあだいたいのことはOK!ですが、歴史保存地区内の建物の場合は壁を塗装するにも許可が必要になります。実際は許可を待っていたらお墓に入っちゃうわよ!と黙って塗ってしまう方が多いとか。それでも何百年も前に建てられた家を引き継いで大事に住む文化には脱帽ですね。

101215ambe_002
(左)鎧戸付きの窓が多い中おしゃれな窓の家 (右)廊下がそのままキッチン

少し郊外に行くと、昔は農家だったけど・・・という感じの古い家屋が点在しています。改修は骨組みだけ残して建て替えたり、まっさらな土地にして最初から立て直したりすることもあります。風土を守るための法律が多いイタリアでは、改修に厳しい条例が多いようです。屋根瓦は同じものを使う、出来れば古屋の材をリサイクルして使う、同じ面積は当たり前、同じ仕様、つまり納屋は納屋、倉庫は倉庫など部屋の造りにも規制があります!それでも自分たちの手でリフォームを手掛ける人々は残っていた瓦やテラコッタの床材をひとつひとつ丁寧に磨いて使っています。もちろん壊れてしまったものは新品を足すわけですが、それも似た材を一生懸命探すようです。

101215ambe_003
(左)1600年代の農家の家:購入した時の様子 (右)リフォーム後の姿

101215ambe_004
(左右)キャンティ地区ワイナリー兼住宅:家族所有の土地に建っていた家は崩壊していたため一から造り直した

新築が少ないイメージのイタリアですが、チェントロと呼ばれる歴史保存地区の外では新しい建物が増えています。
新興住宅地と呼ばれる海沿いの町、ぺーザロでは広範囲にわたり1950-60年に開発されました。ここはバカンスを過ごす町としても有名、別荘として使っている家族も少なくはありません。新しい家であっても内装リフォームには規制があります。ある友人は2階建ての屋根裏を部屋に変えてしまいました!本当はNGですが、収納を居住に変えるための変更申請(+役所への寄付金)でOKが出ました!マフィアの国イタリアではお金で解決できることも多いようですよ!!

101215ambe_005
(左)ペーザロの新興住宅地:珍しい宅地開発 (右)屋根裏部屋を改造して居室に

建築業界では天然建材の使用を推奨し、太陽光パネルやパッシブハウスも人々の目に触れるようになってきました。近年、環境配慮型住宅認定制度が法律化されクラスA+、A、B、C〜とレベル付けられるようになっていて、省エネルギーに貢献する設計が求められています。100%義務ではないのですが、審査は国の機関Casa clima(カーサクリマ)が行っており、設計者や施工者に向けてエコハウス計画の情報公開やセミナーも行っています。

Casa clima
http://www.agenziacasaclima.it/it/casaclima/casaclima.html

Casa climaは、まだ限られた州内の制度ですが、このレベル設定もその土地土地の温度、湿度などによって規定数値が異なります。国の建築法規が第一優先、そして州の法規のもと、エコハウスが生まれ始めているのです。それでも既存の石造りの家はそう簡単に改修できなかったり、耐震建築法に基づくと壁厚が大きかったりと苦悩します。例えば以下に挙げる邸宅は地下を掘った時に出た石材を壁に使い、屋根や天井にクリ材を使うなどしてエコに貢献しています。そして外壁厚は何と450mm!レンガ積150、断熱材140、外壁仕上げ材の石160、これによって外部の寒暖さの影響をほとんど受けない断面仕様となっています。耐震は中規模地震対応、断熱はエコロジー計画の大事な要素です。

101215ambe_006
(左)トスカーナの別荘:SPAPLAN設計 (右)漆喰塗装、天然石仕様もエコハウスの要素である

太陽光パネルの設置は大幅なコストアップに繋がるため、まだまだ富裕層の邸宅に限られますが、対応しやすい壁材や屋根材の工夫から徐々に浸透しています。北イタリア、特にオーストリアとの国境近くでは木材を多く利用し、Aクラスを取得できる個人邸、集合住宅やホテルなどが建設されています。ログハウスのように全面的に使う方法と、装飾材として飾柱、ルーバーや手摺りなどのポイントに使う方法に分かれるようです。木材はレンガ積やコンクリート基礎での施工に比べ加工が楽、スピードも速く、二酸化炭素を吸収する天然材料として現在急速に発展しているようです。外部だけでなく、窓枠やドア、家具にも木材を多く使っています。また植栽計画も重要、大気を浄化する樹種や光合成の効果など配慮した庭づくりを勧めています。トレントを中心に活動している建築家グループに最近の作品を紹介してもらいました。この個人低は見事にA+、最高レベルを取得しています。

Burnazzi Feltrin architetti e Paolo Pegoretti architetto
(ブルナッツィ フェルトゥリン アルキテッティ &パオロ ペゴレッティ アルキテット)
http://www.burnazzi-feltrin.it/
http://www.gruppopegoretti.com/

101215ambe_007
(左)トレント(州都)の個人邸 (右)北イタリアの山々と澄んだ青空を臨む

Casa climaでは宿泊施設に対してもエコの適応制度を進めています。住宅と違い、大きな3つの条件をクリアすることが環境に配慮したホテルと言えるのです。ポイント制で100項目中、自然(気候/生態、天然資源)50、生命(快適に過ごす/文化)30、透明性(コスト、品質)20としています。

101215ambe_008
北イタリアのオーストリアとの国境近くの町、ボルツァーノの5つ星ホテル、2件とも健康と快適な滞在を提供する宿泊施設である。
写真はCasaClimaのHPより引用

北イタリアと言うとミラノやヴェネツィアが観光地として有名且つ一般的になっていますよね?日本ではあまり知られていないトレンティーノ・アルタ・アディジェ、トレントやボルツァーノなどドイツやオーストリアとの国境付近への旅行も是非してみたいです。新たな風景に出会えることでしょう。

そしてもうひとつ、新しいエコハウスのお話。今年の初夏、フィレンツェ初!クラスAを取得したアパートメント(17世帯分譲)がドゥオモが見える中心地に誕生しました。新聞や雑誌、地元のメディアでも大きく取り上げられました。取得には多くの書類、図面、相当の時間がかかったようです。自治体やエネルギー庁のバックアップを受け、苦労した結果です。ソーラーパネルを中心の新システムを導入、断熱や通気、換気のスムーズな関係を確保しました。インパクトゼロをうたい町の汚染に繋がる有害物質を排出しない建築物として話題です。

Caccimati社  http://www.cacciamani.it/
竣工写真だけでなく施工中の様子やメディアのインタビューなど配信している(英・伊)

101215ambe_009
(左)通気性の優れるトラバーチン材を採用 (右)カーサクリマのラベル“クラスA”

101215ambe_010
(左)施工中の様子 (右)フィレンツェの中心、花の大聖堂ドゥオモが見える
写真はCacciamani社HPより引用

★『イタリアからの便り』の他の記事を読む
※この記事は2010年にご寄稿いただいたものです。紹介している記事は寄稿当時のものです。

特派員:安部彩英子(AMBE SAEKO 一級建築士/ランドスケープデザイナー)
大手ゼネコン設計部を退職後、イタリア・フィレンツェへ渡り庭園学の専門学校入学。平行してピストイアにある造園事務所にてガーデンデザインのアルバイトの日々。1年後ローマに移住し、在伊日本大使館営繕室に1年ほど臨時職員として勤務。館内のリニューアル工事に関わると共に日本大使公邸の庭園修復を手掛ける。
現在は夫と一緒に会社を立ち上げデザイン業務遂行中。4歳の娘の母、東京暮らし。

イタリアからの便り vol.1  『購入か賃貸か?住まい探しはコネが大事』 
イタリアからの便り vol.2 『イタリアの家づくり』

ドイツからの便り vol.7『手作り家作り』


ベルリンよりこんにちは。
日本では25度の暖冬が記録されるその裏で体感気温マイナス23度という過去80年来で一番寒い12月1日を記録したばかりのドイツです。

クリスマスマーケットも出揃いました

冬になると日照時間が極端に短くなることもあり、まるで人口が減ったかのように街はガラガラ。その分、家にいる時間が長くなるので、自宅の隅々まで目が行き届くのもこの季節。そういえば住まい探しも住まい作りも、こうして目の鋭くなっている寒い時期がいいといいます。
さて今回は秋からの連続テーマ「住まい」について、今回は「住まいづくり」のお話です。

住まい作りの基礎

厳しい目で物件を選んだあとは家作り。とはいえ、すてきなインテリア家具を探したり配置に考えをめぐらせたりする前にしなくてはいけないことがあります。
気に入った物件の気に入らない部分は徹底的に直すことから始めるのがドイツ流。
つまり、家そのものに手を入れていくのです。
ドイツの男性は、機械・乗り物の修理、ペンキ塗り、床の張替え、配水管の修理などは自分でできて当たり前。一家に一台いてくれると本当に頼もしい存在です。
彼らの日曜大工はプロもびっくりのレベルで、中には家を建ててしまうという凄腕もいますが、その話はまたいずれ。
冬になるとスーパーのチラシによく登場するのが大工工具の特売品。

待ってました!とばかりにすぐ売り切れてしまうほど。

ドリルマシーンで壁に穴を開けるのは基本の基本、天井に穴を開けて照明を入れたり、壁を取り壊したり、日本の大家さんなら腰を抜かしてしまうのではないでしょうか。
もちろん大掛かりなものになれば大家さんの承諾が必要になりますが、住居にとってプラスになる工事であれば補助金を出してくれることもあります。

いつ建てられたものなんだろう、と考えてしまうほど古い外観のヨーロッパの建物ですが、築100年、200年と月日が経っても大切にメインテナンスされ、内装も住人によって十人十色、改築されていきます。
外観からは想像できないほどモダンな内装だったり、開けて驚くお宅でいっぱいです。

手作りインテリア

家作りの基本に納得がいくと次にインテリア。
家具は大型家具店、蚤の市、古道具屋で探すか、これまた自分で作ってしまうかです。
近所の人が安く売りに出している家具を探すサイトもあります。

中古家具のオークションサイト

市民大学では「家具お直し講座」があり、脚の折れて使えない椅子や、大きすぎる机などを持ち込んで講師と一緒にまた使えるものにしていこうという企画で、これはいつも人気で受付開始するとすぐに定員オーバーとなっています。

まさに一からドゥーイットユアセルフなドイツの家作りです。

ベルリンに住み始めた頃、一つ驚いたことがありました。
カーテンのついている家がほとんどないのです。
ドイツ人に聞いてみると「そういえばそうだねぇ」という返事しか返ってこないのですが、丸見えでもあまり気にしない文化のようです。
そのわりに冬になると玄関に分厚いカーテンを引いて外気の侵入を防いでいる家も多くあります。人目より寒気が厳しいドイツの冬。一句詠んでしまいました。
我が家の居間にもたしかにカーテンがないのですが、窓からしみいる寒気を防ぐために今年こそ付けようかとまさに検討中の冬の始まりです。

※この記事は2010年にご寄稿いただいたものです。記載されている情報は寄稿当時のものです。

★『ドイツからの便り』の他の記事を読む

特派員:スズキ(フランスで学生をしたり、スイスで時計店に勤めたり、気がつくとヨーロッパ10年目、現在はドイツで再び学生生活中。)

vol.1『エコロジストの正体』
vol.2『明かりの世代交代』
vol.3『寒さとのお付き合い』
vol.4 『待ちに待った春の訪れ』
vol.5『初夏を味わう』
vol.6『引越しは秋の風情』
vol.7『手作り家作り』

ラスベガスからの便り  vol.1『ラスベガスで家を買う』


はじめましてクラトウです。
ラスベガスは皆さんもご存知のとおり、世界中に知れたカジノの町です。

kurato_101118_001

四季はないに等しく、夏が終わったと思ったら、冬と言う感じです。
今はハロウィンが終わり、サンクスギビング、クリスマスと迫り、ホリディシーズン突入です。

kurato_101118_002
kurato_101118_003
kurato_101118_004

私たち家族が、この町に引っ越したのは。5年前の冬です。カリフォルニア、ロサンゼルスはそのころ、不動産ブームで、家の購入がとても難しかったのです。私の妊娠を機に、主人が家の購入を考え、ロサンゼルスで家探しを始めたのですが、私たちの住んでいたベニスビーチは家がとても高かったのです。
他のビーチシティに比べたら安かったのですが、家はほとんどがミリオン(1億円)を越える物件ばかり、1950年建てた、リモデルの2LDK、路上駐車の物件ですら、ミリオンを超えていました。
コンド(日本で言うマンション)もハーフミリオン(5000万円)以上のものばかりでした。
他の地域でもロサンゼルスではほとんど手が出ませんでした。

そんな時、旅行で何度も来たことのあるラスベガスに、また遊びに行くことになり、家の主人は何を思ったか、家を見ようと言い出したのです。
そのとき、主人はこの家を気に入り、即購入を決めたのです。3LDK+Denで、3バス1900スクエアフィート(176.5%uE38EA1)この広さで4000万弱、カリフォルニアに比べるとかなり安い、ローンはかなりの額でしたが、何とかなると思い購入を決めたのです。(家の間取り、写真などは次回紹介したいと思います。)
その頃は、誰も不動産の暴落を予想してませんでした。
もちろん、私は日本でバブルを経験しているので、口をすっぱくして言いましたが、持ち家の夢はあきらめられなかったようです。日本で言うなら、東京で家が買えないから、仙台で買うとか、そういったところでしょうか?

このコラムのテーマ、家探しですが、そのときは不動産屋さんの手を借りて、大体の予算とエリアにあった物件をあらかじめ探してもらい、1軒づつ、見て回るというかんじでした。不動産屋への仲介料は値段の6%売り手が払います。
アメリカでは新築物件を買うよりも中古物件を買うほうが一般的で、おおよそ5−7年周期でみんな引越しをしているようです。日本人のような“終の棲家”を買うという考えはないようです。仕事や家族構成などを考え、住み替えていくのが主流なようです。
もちろんラスベガスは新しい町で、ここ10年ぐらいでどんどん家が建ち、新築物件もたくさんあります。ほとんどが建売住宅で、ハウジング会社が立てているものを買うような形です。古いベニスビーチの、いろいろと家に個性が出ていてとても素敵な町並みとは違い、横も前も同じような家が立ち並んでいる感じです。

kurato_101118_005
近隣のコンドミニアム

kurato_101118_006
近隣の住宅

結婚、出産、家庭を持つまでは、家探しも楽でした。
もちろん賃貸、自分のことのみ考えればよかったのですから。仕事先との距離、アパートの広さ、エリアの良し悪し、家賃で決めればよかったのです。これは日本でも同じではないでしょうか?ただ、日本との違いは、ルームレントやルームシェア、ゲストハウスレントと、アパートレント以外にもいろんな選択肢があると言うことです。もちろんルームレントなどは家具付きも多々あるので、トランク一つで日本から出てきたばかりのときは、とても便利でした。

家族(子供付き)となると、これに学校区というのが絡んできます。購入となると、賃貸以上に引越しも、そう簡単にはできません。学校区が家探しのトップ項目にあがることが多いです。
こちらでは、引越しシーズンは夏です。ちょうど学校のロングサマーブレークがあり、ちょうど学校も学年が変わるので、その頃に引越しが多いようです。(日本で言うと3月末かな)

さて、私たちが買ったものは、2001年建設の中古の物件です。
ここ、ラスベガスはコミュニティー単位の物件が多く、私たちが購入したものも、ゲートコミュニティ内(250件程度)の物件でした。

kurato_101118_007
コミュニティーエントランスゲート

kurato_101118_008
我が家

このコミュニティーにはプール、公園、テニスコート、バスケットボールコートがあり、24時間のセキュリティーがコミュニティー内を回っています。あとは前庭の手入れもしてくれます。(そのかわり自分の好きなようにできませんが)

kurato_101118_009
プール

kurato_101118_010
公園

kurato_101118_011
テニスコート

kurato_101118_012
バスケットボールコート

それで、ホームオーナーアソシエーションフィー(共益費)もそれなりに、高いのですが。他のコミュニティーでは、ゲートがないところ、施設の付いてないところなど、そのコミュニティーによって共益費も変わってきます。

今回のコラム、家探しがテーマでしたが、私たちはこの2005年の家探しは、ほとんど思いつきで引っ越したため、失敗でした。まぁ、時期が悪かったと言えば、それまでですが。この失敗を糧に、また今回、引越しするのですが、
カリフォルニアに戻る計画をしています。今回は購入はあきらめ、また賃貸に戻ります。カリフォルニアでは賃貸でも家賃がこちらのローン以上です。

さて、話は代わり、こちらでの家に関するエコですが
ラスベガスは日差しが強く、太陽熱を電力に代えて使っている家がかなりあります。
私のお友達の家も新築なのですが、地元の電力会社と契約していて、だいぶ助かっているようです。
こちらの夏はとても暑く45℃以上になることもあります。なので夏のエアコン代金は相当なものです。
こちらはセントラルエアコンなので、日本のように1部屋づつ、涼しくすると言うこともできません。
(私たちの感覚で言うと、使っていない部屋も冷暖房するので、とても、もったいないと思うのですが)

屋根にパネルがついている家々
kurato_101118_013
kurato_101118_014

8年ほど前にロサンゼルスの建築事務所に居るときに、家のリモデルをするときに、計算したことがありますが、そのときは、装置をつける費用(電飾会社から補助も出る)と、電気ができていくら節約できるかを計算して15年経っても、もとがとれないということで、オーナーが設置をあきらめることにしました。
今では装置も安くなっているのでしょうか、ラスベガスの日差しはロサンゼルスよりも多いのか、こちらではかなり見かけます。

★『ラスベガスからの便り』
特派員:蔵藤 KAVANDI 奈穂美(一級建築士・1級施工監理技師)
日本でゼネコン設計部を退職後、1999年よりアメリカロサンゼルスにて設計事務所勤務。
娘の出産を機に、専業主婦に。現在はラスベガス在住。4歳と0歳の娘の母。

ソノマからの便り vol.1『カルフォルニアの家探し』


カリフォルニアの青空も、11月の声を聞くと雲や雨も顔を出し始めます。
サンフランシスコ周辺は、ベイ(湾)地区と呼ばれていて、サンフランシスコを中心に、サウスベイ、イーストベイ、ノースベイの3地区に分かれています。西は海、太平洋です。

一年を通して温暖な気候、産業、文化共に世界トップレベルであるカリフォルニアは、アメリカ人にとってもあこがれの場所です。先日ニュースでアメリカの高級住宅地域を郵便番号で表示していました。トップ100のうち、半分がカリフォルニアの郵便番号でした!納得ですね。

マリン郡 ティバロンから見るサンフランシスコ

マリン郡 ティバロンから見るサンフランシスコ

サンフランシスコ周辺地域

サンフランシスコ周辺地域

www.real-estate-us.com/ca/san-francisco

マリン郡 ティバロンから見るサンフランシスコ

サウスベイの中心はIT産業で有名なシリコンバレー、グーグルやヤフーなど世界的規模の企業の本社も多くあります。またスタンフォード大学もここ、世界中の脳が集まり若いエネルギーに溢れた土地です。
イーストベイの中心はカリフォルニア大学バークレイ校があるバークレイ、60年代に始まったヒッピー文化や学生運動の発祥の地であり、今でもその名残があります。

ノースベイはサンフランシスコの都会からゴールデンゲートブリッジを渡った地域、最初にマリン郡と呼ばれる住宅地が見えてきます。もう別世界です!都会に近いのに自然豊かで美しく安全、通勤、通学圏内のすばらしい環境ですよ。このエリアはまさしく高級住宅街で住民の多くはファミリーを中心とした白人です。

1億以下の家はほとんどないに等しいでしょう。マリン郡は10以上の市町村で構成されていますが、その中でもティバロン市は、湾を挟んでサンフランシスコ一望の超人気、超高級住宅地!平均価格3.5億円弱・・・ちょっと庶民には程遠いところですね。

マリン郡 ティバロンの住宅街

 

サウスベイ、イーストベイは、サンフランシスコと電車等の公共交通機関がありますが、ノースベイへの交通手段は海を渡る橋とフェリーだけ、ほとんどの人は橋を渡るマイカー通勤です。なぜノースベイだけ開発から取り残されてしまったの?実はマリン郡の住民による公共交通機関建設の反対運動があるのです。反対運動の大きな理由は、マリン郡の自然とのどかな風景を守りたい、都会・・・特にオークランドのあるイーストベイからのギャング達の侵入を防ぐためのようです。いまだに公共交通がないノースベイ、住民パワーは大きいですね。

さて私が住んでいるソノマはこのノースベイ、マリン郡のさらに北にあります。
ソノマ郡も10以上の市町村で構成されており、私はソノマ郡の中のソノマ市に住んでいます。マリンを過ぎてソノマに入るとまたぐっと風景が変わり、一面ぶどう畑が広がります。大都会サンフランシスコからおしゃれな高級住宅街のマリンを経てソノマへ、景色を変えながらのんびりした田舎の風景へ到着です。ソノマはカリフォルニアワインが有名、世界中からテイステイングにやって来る人々で年中賑わっています。

ソノマのヴィアンサワイナリー。高速からおりてソノマに向けて運転すると、最初に見えるワイナリー

 

shimizu_101116_006

ブドウ畑

ソノマの住民は、81%:白人、主にメキシコ人が占めるヒスパニック系:17%、2%:日本人、黒人他人種です。
歴史の浅いカリフォルニアの中ではソノマは歴史があります。カリフォルニアはソノマで誕生したとも言われています。メキシコ支配下の歴史を持つソノマはメキシコを手本にした街づくりも見られます。

shimizu_101116_015

メキシコの街造りの影響をうけたソノマプラザ

■ソノマの住宅事情

ソノマの住宅事情をお話ししましょう。
現在、ソノマ郡の平均価格は7500万円程度、住宅環境の良いこのエリアは結構高いんですよ。例えば中部の一般的な年オハイオ州コロンバスでは1500万、大都市シカゴは4100万、サンフランシスコは1億です。これと比較するとソノマは田舎なのに!とびっくりされるでしょうか?

ソノマ郡はイーストサイドとウエストサイドに分かれます。イーストサイドは高級層、ウエストサイドは庶民層、ウエストサイドの西側にメキシコ人街があります。
家の大きさ、間取りや利便性、安全性などを考慮するのが基本ですが、子供のいる家庭ではもうひとつ大切な項目、学校区域があります。 人口5万人弱のソノマには公立小学校5、公立中学校2,公立高校1、こんなに小さな町なのに5つの小学校レベルが全然違います。カリフォルニアでは年に1度、共通テストあり個々のテスト結果と学校全体の平均値がだされます。イーストサイド内にある小学校のランクは7(10段階評価)、生徒は白人が70%を占めますが、メキシコ人街にある小学校は何と1!ここはヒスパニック系が77%を占めています。

shimizu_101116_007a
shimizu_101116_007b
www.school-rating.com

同じ教育を受けているにもかかわらず、小さな街の中にこれだけの大きな違いあるのですから、親としては必死!ますます学校区域を考えざるを得ません。この大きな差は生徒の家庭環境が一番の原因のようです。ランキングには各学校の両親の最終学歴まで表記されていて前述ランク7の両親の70%以上が大卒、ランク1は30%弱でした。

こうなると環境の良いイーストサイドに住んだら?と思われるでしょう。しかし金銭的になかなか厳しい現状・・・イーストサイドには住む余裕はないけれど子供はイーストサイドの学校に入れたいという、親の願いが生まれます。住民票システムがないアメリカ、居住証拠は郵便物の提出です。そこで考えついたアイデアはイーストサイドに私書箱を持つこと、数年前には生徒の5人に1人が私書箱住所でした。これが大きな問題となり学校区の職員が一軒一軒、生徒の住宅を回ったそうです。

shimizu_101116_008
イーストサイドの街並

shimizu_101116_009
ウエストサイドの街並

家を借りる際、多くは不動産経由ですが大家さんから直接借りる場合もあります。
住宅の購入、賃貸に関わらず、一般的に家の情報は寝室数とバスルーム数が明記されます。キッチンとリビングルームは必ず含まれているという前提です。バスルームは、通常トイレとシャワールームがセットでひとつのバスルームとして数えます。トイレだけの場合はハーフバスルームと明記されます。

またソノマはサンフランシスコの寒い夏を逃れ太陽を求めるエリート達が集まるウイークエンドハウスエリアとしても人気があります。週末の家を持つファミリーも多いのですが、家具付きのバケーションレンタルハウスもかなり人気です。バケーションレンタル用に建てられた家のほか、一般の家でも長期間留守にする時に貸すことがあります。下の写真は一般の家をバケーションレンタルしている例です。2ベッドルーム、2バスルームで5人まで滞在可。1泊390−440ドル、週単位で借りると割安のようです。


バケーションレンタルハウス
http://www.vacationrentals.com/vacation-rentals/Sonoma-California.html

引越の片付けが大変なのはどこでも同じでしょう。アメリカでは「ガレージセール」が主流。引越時だけでなく年中開催されています。玩具や衣類、本、食器、使わなくなったものは何でも売ります。週末、自宅のガレージ前でオープン!だからガレージセールなんですね。庭でやることもあり別名「ヤードセール」とも。私も子供が大きくなる度にヤードセール・・・今までも何度か開催してきました。

ガレージセールの様子

www.watching-grass-grow.com

ガレージセール新聞広告の例

地元新聞紙を片手にガレージセールめぐりを趣味としている人々も多くいて、土曜の朝が一番の稼ぎ時!7時にはお客さんが集まりだしますので、前夜から用意し6時には開店準備です。私は家の前の木までドレスや服をハンガーにかけて陳列したものです。ついでにコーヒー1杯50セント&手作りマフィンなども一緒に売りました。開催中は娘が習っているチェロを披露したりと色々楽しく工夫しました。週末の早起きはつらいですが、お客さんとの会話を楽しみながら、いらなくなったものを片付け、少しでも収入になる、親子で一緒に楽しめます。

アメリカでは、日本と比べて改築が多く、古い建物を大切に使い続けます。改築費用も新築と同じくらいかかることも!それでも「家」を大切に保存します。次回の「住まいづくり」ではこうした大切にするための改築のお話が出来ればいいなと思っています。

★ソノマからの便り

※この記事は2010年にご寄稿いただいたものです。文中の情報は寄稿当時のものです。
特派員:清水 圭子
ソノマ在住のデザイナーズ家具輸入会社支配人。
(主にヨーロッパより高級モダン家具を直輸入、環境に適した品物をアメリカ市場に提供)

「ソノマからの便り」の他の記事を読む
vol.1 『カルフォルニアの家探し』
Vol.2 『カルフォルニアの家づくり』

イタリアからの便り vol.1 『購入か賃貸か?住まい探しはコネが大事』


日本の四季と似ているイタリア、南北に長い国であることでも共通点はたくさんあります。こちらも紅葉が美しい秋の真最中です。

101102ambe01
(左)トスカーナの秋 (右)アパートメントの中庭

今回、イタリアの住宅事情をレポートいたしますアンベと申します。リラの時代は良心的に感じていた住居費でしたが、ユーロに変換する瞬間に“家賃のいきなり値上げ”がスタートしました。リラ→ユーロへの換算は四捨五入でなく切り上げし、このチャンスに値上げせずにいられるか!ごとく多くの大家さんが告げた金額に借り手の驚きとブーイングは激しかったようです。当時、住居費は切り上げ換算、給料は切り下げ換算などと言われていました。それから約10年、残念ながら未だ住居費は下がらず、特に賃貸に関しては高値が続行中です。

101102ambe02
(左)フィレンツェ郊外のペントハウス (中、左)外から見ても間取りは全く想像できない

数年前までは購入する人が多かったようですが、今は不況も伴い高額でも賃貸に移行。それでも「お金さえあれば賃貸より購入の方がお得な状態、絶対に購入がお勧め!」とみんな口を揃えて言います。賃貸料は高額なままですが、購入に対するローン利率が最近下がってきていて、若いカップルなどは20〜30年でローンを組んでいるようです。
中世都市で有名な町、歴史的中心地(Centro storico)は人気も金額も高い!ミラノ、ヴェネツィア、フィレンツェ、ローマのような素敵な町に住むのは大変なのです。

101102ambe03
(左)フィレンツェ中心地 (中)ローマ中心地 (右)ヴェネツィア住宅地

町の中心部界隈に住居を考える場合はほとんどがアパートメント、一軒家を希望するなら郊外になります。イタリアの建物は建て替え時の規制が厳しく、一軒屋を購入してリフォームしようとしても、部屋それぞれの用途すらも変えられない場合があります。アパートメントも間取り・構造そのものには手を出せず、内装デザインの勝負です。

101102ambe04
(左)主要都市のアパートメント (中)地方都市のアパートメント (右)主要都市近郊、海沿いのアパートメント

101102ambe05
(左)主要都市のテラスハウス(長屋)の専用庭 (左)地方都市の一軒家

賃貸の場合は家具付が定番です。私がローマで借りた時は主な家具類は当然のこと、テレビ、洗濯機、ガスオーブン、アイロンなどの家電、調理器具や食器一式全て込みの上、大家さんのご厚意でシーツや布団類まで借りることが出来ました。賃貸で家具付というとテレビなど娯楽家電やキッチン用具は無いのが普通ですから、今思えばかなりラッキーな物件でした。賃貸では地方から来る大学生や各国からの留学生が一緒に住むシェア用の家が多く存在します。各部屋+キッチン・トイレ・バス共同というものです。イタリアの古い建物は入るまでその間取りが把握できないものが多いのですが、ある友人の部屋を訪れた時、2人部屋1+1人部屋3+屋根裏2人部屋2+トイレ&バス2+キッチンという何人住んでるの!?迷路のような間取り、屋根裏なんて立って歩けないんですよ!安いとはいえ、すごい賃貸物件でした。

101102ambe06
(左、中)ローマで借りたラッキーな賃貸物件(70m2:2部屋+キッチン+バス&WC) (右)ホームステイを受ける一軒家

購入の場合は物件により家具付状況は変わります。“全く無し”はキッチンやシャワーブースすらありませんから 通常ある場合は“キッチン、バス付”と表現します。これらも家具の部類になるのですね。造り付け家具も新たに設置して価格を上げたりする例も少なくないようです。賃貸でも購入でも自分の好みにリフォームをしたいと思う人はあまり家具が無い物件、短期や今すぐ生活をスタートしたいと思う人は家具付を選びますね。もちろん賃貸のリフォームは大家さんの了解が必要です。まあ次の借り手が引く手あまたのデザインならOKサインが出るでしょう。

101102ambe07
(左)トスカーナ地区(購入) (中)フィレンツェ中心部(賃貸) (右)トスカーナ州エルバ島:夏のテラス付別荘(賃貸)

住まい探しのツールは何と言っても知人のつて。誰々の紹介等コネありの所有物件を何とか探しあて、いい条件で借りたい、買いたいのです。その土地の不動産屋さんに飛び込むこともありますが稀です。不動産屋さんを通さず、大家さん直接交渉が金銭的にも得だとわかっているからです。

ネット検索は主に海外からのアクセスが多く、イタリア人は相場を参考にする程度でコンタクトは少ないといいます。学生や留学生は校内の掲示板や学校側の紹介で情報を得ることがほとんど、また帰国する人から引き継ぐ形で住み始めることも多いようです。ある部屋は引き継ぎ続けてずっと同郷の人!ということもあります。大家さんにも探す手間が省けるのだから少し安くして!と値段交渉もあるようです。

その他、情報雑誌や新聞広告を見て電話、実際の家を見るという方法もあります。いずれにしても住居費の高いイタリア、不動産屋さんに払う余裕はない!というところでしょうか?

話は変わりイタリアのエコ事情ですが、現在ようやく住民に浸透中です。数年前からゴミの分別がはじまり、IKEAのエコバックをおしゃれに?使う・・・ただ10年以上前からレジ袋は有料でしたので私も買い物袋は持ち歩いていました。これはエコ先進だったのかも!予算のつく都市部ではエコへの取り組みが活発になり、エコバスや小さな電気自動車が見られるようになりました。自転車のシェアリングもスタートしましたが、残念ながら利用は少ないようです。

車も自転車も絶対に自分自身のものが必要で、シェアは無理だといいます。さて今後どうなるのでしょうか?建築業界ではエコハウス、エコ建材の需要が少しずつ高まってきています。この話は次回「住まいづくり」に続きますのでお楽しみに。

101102ambe08
(左、中)ミラノに点在する電気自転車シェアリングのステーション (右)太陽光電池で作動するパーキングメーター

101102ambe09
(左)電気自動車、バイク、自転車の充電ステーション (右)分別のカラフルゴミ箱

※写真に特記無いものは全て筆者撮影によるもの

★『イタリアからの便り』の他の記事を読む
※この記事は2010年にご寄稿いただいたものです。紹介している情報は寄稿当時のものです。

特派員:安部彩英子(AMBE SAEKO 一級建築士/ランドスケープデザイナー)
大手ゼネコン設計部を退職後、イタリア・フィレンツェへ渡り庭園学の専門学校入学。平行してピストイアにある造園事務所にてガーデンデザインのアルバイトの日々。1年後ローマに移住し、在伊日本大使館営繕室に1年ほど臨時職員として勤務。館内のリニューアル工事に関わると共に日本大使公邸の庭園修復を手掛ける。
現在は夫と一緒に会社を立ち上げデザイン業務遂行中。4歳の娘の母、東京暮らし。

イタリアからの便り vol.1 『購入か賃貸か?住まい探しはコネが大事』
イタリアからの便り vol.2 『イタリアの家づくり』

ワシントンからの便り vol.1 『アーバンからルーラルまで』


アメリカの首都・ワシントンDCは政治色が強い街です。ニューヨークやロサンジェルスのような勢いや華やかさは少なく、政府関連機関、美術館や博物館、アメリカの歴史を伝える記念建造物などが多く存在します。

ワシントンDCで一番有名な建物・ホワイトハウス

転職・教育が引越し理由

衣“食”住よりも、衣“職”住を重視する人が多いアメリカ。多くの人がより条件の良い仕事に就きたいと考えています。そして現在の住まいから通えない職場へ転勤・転職した時、家探しが始まります。また子供の教育に熱心な親が多いワシントンDC近郊。人々は子供に良い住居・学習環境を与えるため引越しをします。特に子供が義務教育(5歳から)に入る前や進学(小学校から中学校へ、さらに高校に)する時期に多くの人が引越しを考えます。

住まいの候補地候補

新しい家を探す条件の一つとして、多くの人が職場に通い易いことを挙げています。しかし、ワシントンDC内に職場がある人がDC内で治安・環境の良い地域で家を探すとなると、賃料はワンルームの部屋で一ヶ月1,500ドル以上、寝室二つあるアパートの部屋での賃料は一ヶ月3,000ドル以上からが相場になります。これらの物件は、日常品の買い物など生活面を考えると不便が生じる。そのため通勤時間・方法、賃料と治安・環境および生活面など様々要素から、人々はDC近郊へと家を探していきます。
就学年齢の子供を持つ家庭では、治安・環境面が良い地区とともに良い学校の地区であることは重要な要素なります。公立学校へ通わせる場合、住居地域で子供が通学する小学校から高校まで決まります。家を購入した方に何故その地区を選んだのか訪ねると、就学年齢の子供がいる家庭は大抵「学校で選んだ」と答えが返ってきます。子供の教育に熱心な土地柄ゆえ、住まいの候補地を選ぶ際、職場への近さよりも子供の学校が優先されるようです。

住まいの形態
ワシントンDCおよび近郊の住宅の形態には、一軒家、タウンハウス、コンドミニアム/アパートメントなどがあります。ワシントンDC内には、3階建てのタウンハウス、コンドミニアム/アパートメントが多く存在します。
築年数が古いタウンハウスは外壁にレンガを使っており、改修時にペンキを塗り重ねていくため、レンガ表面が見えない家が多くあります。これらの家は、夏は涼しく冬は暖かいという利点がある反面、築年数が古いため隙間風・配管などの痛み、改修が頻繁に必要など問題点も多くあります。

ワシントンDCにあるタウンハウス

ワシントンDC寄りのメリーランド州・バージニア州にある地下鉄駅周辺では大きなショッピングモールと高層住宅(コンドミニアム/アパートメント)が密集し、徒歩圏で生活が成り立つような街づくりが行われています。

徒歩圏で生活が成り立つような街づくり

車社会と考えられているアメリカですが、開発された地下鉄駅近くに住む人の中には車を持たない生活を選択している人もいます。ただし、これが出来るのはワシントンDCとその近郊では本当に限られた地域になります。

DC郊外で地下鉄の駅から離れた地域では、一軒家、タウンハウスが多い傾向があります。この地域はDC内や地下鉄駅近くの商業地域にある住居地域とは周辺の雰囲気が変わり、より自然豊かな環境になります。この地域の古い一軒家は、DC内のタウンハウスと同じくレンガを外壁に使っています。

地域により住居形態が大きく異なるため、候補地を選ぶ上で住居形態も決めての一つとなります。私がアメリカへ引っ越してきて始めて住んだアパートの部屋には洗濯機が付いておらず、各棟に共有のランドリーが設置されていて、そこで毎回使用料を払って洗濯する決まりになっていました。洋服もスニーカーも洗濯機で洗ってしまう、ベランダに洗濯物を干すことが禁止されているなど、洗濯に関しては驚くことが多くありました。

通勤時間をより短縮することを考え地下鉄駅近くのコンド/アパートを選ぶか、通勤時間は気にせず環境の良い一軒家を選ぶか。ワシントンDCとその近郊では、賃料さえ気にしなければ住まいの選択肢は多様にあります。

近隣確認は重要要素

候補地を絞り込んだ後、候補地内で住まいを探していきます。主な探し方として、インターネットで検索する、不動産会社を通す、自分の足で探す方法などがあります。
家の探し方は日本とほとんど変わりがありませんが、インターネットに掲載されている賃貸物件は、不動産会社を通さず個人(大家)対個人(借主)での契約が多いという違いがあります。

候補地が見つかったら、現地へ行って近隣状況を確認します。道を一本裏手に入るだけで周辺の雰囲気が大きく変わるため、住まいを決める前の近隣確認は重要な要素になります。遠くから引っ越してくる場合、しばらくホテルに仮滞在し、ある程度住まいの目星をつけた住まいの近隣確認をしてから入居を決める方が多くいます。

一軒家の売り出し看板

街並みを美しく

購入や賃貸により一軒家やタウンハウスに入居した日から、庭のお手入れが始まります。休みの日に芝刈り機でこまめに庭の芝の刈り取りをしている風景が初夏から秋にかけてよく見られます。

ワシントンDC郊外へ引っ越した当初、どのお宅も庭のお手入れを綺麗にされており、『どの家もきちんと前庭の手入れしており、住居環境に対する意識が高い地域』と考えていました。しかし前庭の芝生は綺麗に刈り込まれているが、鉢植えを置く・花壇を作るなど芝以外は手を加えない家が多く、本当に意識が高いのか?と疑問に思い始めました。

その後、街並みが美しく保たれている理由に、“ホームオーナーズ・アソシエイション(Homeowners association)”という組織と決まりごとがそれぞれの地域にあることを知りました。街並みを美しく保つ条文が大抵明記されており、手入れを怠ったまま前庭を放置しているときちんと手入れをするようにと通達される為、人々はこまめにお手入れをせざるを得ないのです。

庭の様子

前庭は条文により自分の好きなように出来ないため芝生のみになっているが、裏庭は菜園になっているというお家は郊外へ行くほど多くなります。裏庭とは思えない家庭菜園を持っているお友達の家では、夏の間はスーパーで野菜を買わないと言っていました。

街並み

彼らの悩みは、庭へやってくる動物の対策とのこと。何か視線を感じるなと思ったら後ろに鹿がいた、なんてことがよくあるそうです。通勤には少し不便ですが、郊外に住むと様々な生活の楽しみが見つけられます。

住む地域によってアーバンからルーラルまで様々な楽しみが得られる、それがワシントンDC近郊の特徴だと思います。

★ワシントンからの便り
※この記事は2010年にご寄稿いただいたものです。紹介している情報は寄稿当時のものです。
特派員:秋山 優
ワシントンDC郊外在住の“面白いもの探検隊”をやっている主婦。
造園事務所に勤務後、兵庫県立淡路景観園芸学校を卒業。2007年、ワシントンDC郊外に引越し。
夫と二人暮らし。面白いことを探して、いつもカメラを持ち歩いている好奇心の塊。

ワシントンからの便り vol.1 『アーバンからルーラルまで』
ワシントンからの便り Vol.2『家づくりに必要な要素』

東京からの便り vol.6 『東京の家探し事情』


こんにちは、オザです。
今年の夏は歴史的な猛暑で、毎日うんざりするほどの暑い日が続きました。10月も例年に比べると気温の高い日が続いていましたが、最近になってやっと朝晩はぐっと涼しくなり秋めいてきました。
猛暑の影響はいろいろなところに出ており野菜の価格が高騰したり、花不足が深刻だったり。紅葉も例年より遅れているようです。

空はすっかり秋の様子。日が暮れるのもだいぶ早くなりました。

今回のテーマは「住まい探し」ですが、我が家は今までに2回引越しをしました。
最初に住んだ部屋は東京23区外にあるC市の木造アパート。新築だったので部屋がきれいで交通の便もよく、とても気に入っていたのですが、私の妊娠を機にもう少し広くて、実家に近い場所に引っ越すことになりました。

次に住んだ部屋は今住んでいるのと同じマンションの別の部屋です。
マンションが完成して2ヶ月しか経っていないほぼ新築状態の分譲マンションでしたが、部屋を購入された方が中国へ転勤になってしまったので、戻ってくるまでの間、部屋を賃貸に出されたのです。急な転勤だったせいか、日本ではめずらしく家具付きで貸してくれました。
C市のアパートに住んでいた時は部屋が狭かったので、必要最低限の家具しか持っていなかった私たちにとってこの部屋は魅力的でした。しかも持ち主のお宅には1歳の女の子がいたので、出産を控えていた我が家はラッキーなことに、ベビーバスやベビーベッドなどの用品も使わせてもらうことができました。本当に運が良かったと思います。

東京で賃貸物件を探す方法としては、インターネットや住宅情報誌で情報を得るか、不動産屋さんに足を運び条件にあった物件を探してもらうのが主流だと思います。我が家は実際に部屋や環境を見て選びたかったので、不動産屋さんに通い何軒もの物件を見て回りました。

私たちの部屋探しの条件は主に、
1.最寄りの駅から徒歩10分圏内であること
2.家族が増えるので70m2ぐらいの広さはほしい
3.家賃が払える額であること。

主人は通勤に便利な都心に住みたがっていましたが、70m2以上の部屋となると家賃がかなり高額になってしまいます。会社から多少家賃の補助はあるものの、無理のない範囲で支払うとなると金額に妥協はできません。条件に見合うところがなかなか見つからず、週末ごとにいろいろな部屋を見て探しました。

東京で部屋を借りる場合、最初にかかる金額には敷金と礼金、仲介手数料などがあります。

敷金とは、家賃の保証のために貸主に預けておくお金のことで、特に問題なく住んでいた場合は部屋を退去する際、戻ってくるお金のこと。
礼金とは貸主に対してお礼として支払うお金なので戻ってくることはありません。
仲介手数料とは仲介業者を通して部屋を借りた場合に業者に対して支払う報酬のことで、業者によって設定している金額に差はありますが、敷金と礼金は家賃の2か月分、仲介手数料は1か月分が一般的なようです。
そのほかに更新料というのもあり、部屋を借りて2年ごとに家賃の約1か月分を支払うのが相場。驚いたことに戦後の住宅難の時代からずっと続いている慣習だとか。

引越しってけっこうお金がかかるんですよね。

欧米などでは、賃貸住宅でも自由に手を入れてリフォームを楽しんでいるようで、うらやましく思います。
東京では賃貸住宅の契約を結ぶ際、『賃貸住宅紛争防止条例』通称「東京ルール」にもサインをすることになっています。平成16年10月から施行されているこの条例は、退去時の原状回復をめぐって敷金返還トラブルが増えたため、退去時の復旧と入居中の修繕に関する費用負担などを事前に決めておくことで、トラブルを未然に防ぐのがねらい。かつてはあいまいだった通常使用によるクロスや畳の変色などの費用負担は、借主が負担する必要はなく、貸主がもつことと明確にされています。

賃貸住宅でも工夫をこらしてインテリアを楽しんでいる人は大勢いますが、壁に穴をあけないように、クロスや床を傷つけないようにと気を使うことが多いのも事実。次の人にもきれいな部屋を貸したいと思う大家さんの気持ちも分からないではありませんが、海外の部屋の借り方とはずいぶん違うなと感じるところです。

今住んでいるところの近所には、かつて公団と呼ばれたUR都市機構の賃貸住宅もたくさん建っています。この界隈は50年前に多摩初の大規模団地として整備され、その後の団地のモデルにもなった場所。

当時人気のあった団地も50年がたち、建物が老朽化したため次々と立替の作業がすすんでいます。

ここに引っ越してきたばかりのころは、古い団地が暗くてあまりいい印象をもてなかったのですが、次々と取り壊されていく姿をみると、少しさびしい気もします。新しい棟は目の前に公園や街路樹などがあり、美しく整備されているのですが、ここも50年後にはどんな姿になっているんだろう?

UR賃貸のメリットは礼金、仲介手数料、更新料がなく、敷金3か月分だけで入居できるので初期費用を安く抑えられること。あとは、独り暮らしの人にも家族向けにも対応できる幅広い間取りが用意されていることや、その他の賃貸に比べて占有面積が広めにできていること。近くに公園やスーパーなどの環境が整っているところも多く見られます。ただ、家賃はやや高めに設定されているようです。

結婚した当初は、いずれ双方の両親が年老いた時には実家近くに家を構える予定だったので、賃貸生活を続けるつもりでいたのですが、分譲マンションに運よく定期借家として入居することができてからは考えが変わりました。
当分の間、東京で暮らすのならこのまま家賃を払い続けるよりもマンションか一戸建てのどちらにせよマイホームを買ってローンを支払うほうがいいのではないかと。
次の機会には今の部屋を購入するに至った経緯をお伝えしようと思います。

※この記事は2010年にご寄稿いただきました。紹介している情報は2010年当時のものです。

★『東京からの便り』のバックナンバーを読む
特派員:オザ(東京の郊外に夫と幼稚園児の娘と三人で住んでいる主婦。Lee100人隊のお買いものコラムもやってます。)

vol.1『ゴミの有料化は効果的か
vol.2『秋から冬へ』
vol.3『世田谷ボロ市と冬の過ごし方』
vol.4『春の花便り』
vol.5『梅雨時の生き物たち』
vol.6 『東京の家探し事情』
vol.7『東京で家を買う』

ドイツからの便り vol.6『引越しは秋の風情』


残暑お見舞いをしようとしていたらすっかり秋のベルリンです。季節の変わり目、なんとなく落ち着かないのは日本もドイツも同じでしょうか。8月ですでに秋の気配でしたが、晴れたり曇ったり、昨日今日で10℃も違うと健康管理も大変です。

晴れてももう夏の空の色ではなくなりました。

新生活のはじまり

冷たい風が吹いて身が引きしまる頃、新学期が始まります。小中高校は8月末、大学は9月末に夏休みが終了。そんな秋の始まりに移動が多いのが大学生たち。地元の大学に通うのは稀で、新しい環境を求めて故郷を離れるのがほとんどです。本格的に親元を離れた生活が始まるのもこの機会。そして日本ではあまり聞きませんが新学期に大学を移る学生も多いのでまさにドイツの学生引越しラッシュとなるのが今です。

ドイツ学生のライフスタイル

さて、そのライフスタイルとは。
ベルリンではアパート暮らしが普通です。すぐに一人暮らしを始めるのでなく、多いのがフラットシェア。ドイツ語でWG(ヴェーゲー)といい、居間、キッチン、バスルームは共同で、それぞれ各自の部屋を持つといったもの。日本でも増えてきているそうですね。経済的なメリットだけでなく、新しい同居人を通じてネットワークが広がったり、楽しい魅力が多いのが人気の理由。

新居の探し方の一つとしてよく見かけるのが電柱に貼られた「同居人募集」のビラ。

住みたい界隈を散策して電柱やカフェの掲示板をチェック。

一般的なのがインターネットで探す方法。簡単にフラットが検索できるサイトがあり、希望項目をチェックしていき、理想の住まいを見つけていきます。

あとは友達の口コミだったりで、不動産屋へ行って探す、というのは買い家に限られるようです。

理想の新居の条件

決め手となるのは何でしょうか。
まずは地域の雰囲気。
若者が多くて遊び場所の多い地区、若いファミリーの多い地区、お金持ちが多い閑静な地区、高齢者の多い落ち着いた地区、地域によって表情をガラッと変えるベルリンではエリアの選択はとても重要なポイント。

さらに建築様式。建てられたのが第二次大戦の前か後か。
前に建てられたものをAltbau(アルトバウ)、後に建てられたものをNeubau(ノイバウ)とよびます。

こちらがAltbauの外観

Altbauは天井の高さが3〜4mもあり、大きなドイツ人でも見上げるほど。
古くて未修繕なら家賃は安く、プロの手できれいに直されていれば家賃に加算されています。ここでついでに家賃ですが、ベルリンは他のヨーロッパの都会、旧西ドイツに比べて家賃が驚くほど安く、学生が払う家賃の相場は平均して月200〜300ユーロ(円高の今でしたら2、3万円)といった具合です。これで20m平米の個室と共有空間がもてるのですから贅沢なものだと思いませんか?

Neubauの集合住宅の外観。

後者Neubauの作りは日本のアパートのような新建築。
こちらは全てがシステマチックにできていますが、Altbauを見てしまうとどこか味気なさを感じてしまうのか、人気なのはAltbauです。

それから決め手となる3つ目の条件は半年以上お世話になる暖房のシステム。
セントラルヒーティング、ガス暖房、石炭暖房のどれかで暖房費が驚くほど変わってくるのでここも重要なポイントです。

あとは、一つの贅沢としてほしいバルコニーがあるかないか。

こうして気になる物件が見つかったら品定めの下見に出かけます。
ここで未来の同居人と面接です。これから生活を共にしていくのに充分気の合う仲間かお互い品定めにかけられるのです。

晴れて新居が決まると次は引越しですが、ここで引越し屋さんの出る幕はなし。それほど荷物のない学生は引越しは自分でしてしまいます。レンタカー屋さんでミニバンを借りるか、車を持っている友達に頼みます。ダンボールをかかえたグループを見るのは月末になるとよくある光景。手伝ってくれた友達にはビールでお礼。ちょっとしたホームパーティーの口実にもなったりして。

日曜大工は国民的趣味

借りているアパートでもどんどん手をいれていくのがドイツ流。
床板を取り替えたり、壁の色を塗り替えたりするのは当たり前、壁を作ったり、穴を空けたりしてとことん自分のスタイルに変えていきます。

 白い壁が基本ですがこんな大胆な塗り替えももちろんありです

この趣味がやみつきになって、自分の家を建ててしまう、というアマチュア大工も少なくありません。

次回はドイツ人の住まいづくりについてレポートしようかと思います。
その頃にはきっともう冬、ですね。
※この記事は2010年にご寄稿いただいたものです。記載されている情報は寄稿当時のものです。

★『ドイツからの便り』の他の記事を読む

特派員:スズキ(フランスで学生をしたり、スイスで時計店に勤めたり、気がつくとヨーロッパ10年目、現在はドイツで再び学生生活中。)
vol.1『エコロジストの正体』
vol.2『明かりの世代交代』
vol.3『寒さとのお付き合い』
vol.4 『待ちに待った春の訪れ』
vol.5『初夏を味わう』
vol.6『引越しは秋の風情』
vol.7『手作り家作り』

秋冬連続のテーマが始まります


地域からの便りでは、今回から2季連続で「家探しと住まいづくり」について、様々な地域の方からお便りをいただくことになりました。
秋のテーマ「住まい探し(10〜11月)」、冬のテーマ「住まいづくり(12〜1月)」。
今回からは、ドイツと東京にアメリカの3都市とイタリアが加わり、計6か所からの便りで構成されます。
(なお残念ながらデンマークの林さんとベトナムのカラさんはご参加いただけません。)

所変われば違ってくる、「家」をめぐる問題。
それを「住む」という立場で、家を探したり、さらに居心地良くしたりするために、各地域ごと、各家庭ごとにどんな工夫をしているのか、特派員の皆さまに執筆していただきます。

順次皆さまにお届けしますので、更新をお楽しみに!

ベトナムからの便り vol.2『暑い夏の風物詩』


越南よりシンチャオ(こんにちは)!

ハノイには一応四季らしきものが存在するのですが、春と秋は有って無いような季節です。そんなわけで、前回の『寒い冬の風物詩』から春をスキップして、今回は『暑い夏の風物詩』についてお便りします。

今年の冬はそれほど寒さが厳しくなかったせいか、暑くなる時期が去年より早いようです。体も気持ちも準備できないまま猛暑に突入!かと思うと、また雷雲が発生し、土砂降りの雨と共に更なる湿気を運び込み、・・といった日々です。

この時期、いくつかの季節を行ったり来たりしているかのようなハノイの天候に体を慣らすのは容易ではありません。ハノイっ子でさえ、体調を崩しがちだと聞きます。

ベトナムでは気分屋さんのことをハノイのこの時期の天候になぞって「朝は晴れでも午後は雨」と(もちろんベトナム語で)言うそうです。さしずめ日本語の「女心と秋の空」といったところでしょう。

風物詩1 『 雨 』

寒い冬が過ぎテト(旧正月)が明けると、そこに待っているのは春!ではなく、雨です。

一年を通して多湿な土地ですが、日本で春を迎える頃は際立って湿度が高くなります。

南部ホーチミンの雨季は一日数回、局地的に降って1〜2時間でやむというのが一般的で、慣れてしまうととても気持ちの良いシャワーです。ところが、ハノイの雨はしつこいタイプです。寒さが和らいだと同時に雨、そして湿度と共に気温も上昇しあっという間に夏に突入です。

水たまりを避けながら歩くと同時に、おかまいなしに通り過ぎていくバイクから跳ね上げられる泥水を如何によけるか・・・経験だけがものを言います。
傘は周囲の動きが見えづらくなりますし、避雷針にもなりかねませんから危険です。
降水量によっては下水も溢れ出すので、衛生的に一番良いのはすぐに洗い流せる裸足、もしくはビーサン!

雨季の道の様子

風物詩2 『 食中毒 』

この時期は食あたり(下痢、吐き気、腹痛、発熱等)に注意が必要です。

特に消化系疾患や感染病が流行していなくても、外気温の上昇とともに、食品も傷みやすい環境になりますから、衛生管理を心がけなければいけません。

症状が出たら、脱水に至らぬように十分な水分補給が必要不可欠です。

悪化すると現地の病院では対応できないケースも有りますから、そこに至らぬよう自分の体は自分で守るしかありません。

季節の移り変わりを味わう心の余裕が無いのは、そんなことで気忙しいからでしょうか?

サトウキビ(写真に見える棒状の物体)のジュース屋さん。水分&糖分補給に欠かせません。

風物詩3 『 カビ 』

ハノイでは一年中湿気に悩まされます。更に湿度が高くなるこの時期はもう太刀打ち出来ません。靴、バッグ、洋服、木製製品、ありとあらゆる物にカビが発生します。

何と!犬にまで!(カビから皮膚疾患に繋がります。)

湿気対策は風通しと日光消毒が基本ですが、エアコンのフルタイム稼働なんていう外国人宅も多くみられます。我が家でも毎日除湿をするようにしていますが、カビの勢力には勝てません。

犬の場合は薬用シャンプーとドライヤー(熱風消毒)が効果的ですが、そんなケアーをしてもらえないローカルドックは、この時期見るも無残な毛並みとなります。

雨季のカビ被害は、なんと犬にまで及びます。

風物詩4 『 蓮の花 』

ハノイでは6月上旬から7月中旬までが蓮のシーズンです。

この時期、蓮の花を自転車に積んで売り歩く花売りや、乾燥前のフレッシュな蓮の実を売るかつぎ売りが目につきます。

蓮の花はお茶として(蓮の実はお菓子として)食されます。蓮茶には安眠、体バランス調整(リラックス)などの効用があるそうです。

ハノイで咲き乱れる蓮の花を見られるのはこの時期だけです。

ベトナムの生活に欠かせない蓮の花

風物詩5 『 移動式果物屋さん 』

寒さが和らいでくると、旬のフルーツを籠に山ほど積んで売り歩く移動式果物屋さんの登場です。南部から来るものが殆どですが、マンゴスチン、ライチー、ドラゴンフルーツ、スイカ、パイナップル、マンゴ-、etc。

通年市場でも手に入りますが、国内(ベトナム)産が安価で旬のものは何より美味です。

体を涼しくする果物はスイカやオレンジ、野菜ではゴーヤや冬瓜が夏向きで暑い時に好まれます。夏場に出回ることの多いマンゴ-やパイナップルは体を温める果物だそうですが、糖分が多いことで夏バテ防止になるのだとか・・・。

ベトナムでは、東洋医学に言われる、体を冷やす食べ物、温める食べ物についての知識が生活に溶け込んでいるように思います。

風物詩6 『 ビアホイ 』

夏!といえば何といってもBIA HOI=ビアホイ(ベトナム版ビアガーデン)です。

ドラフトビアが一杯6,000ドン(約40円)もちろん美味い食事も注文可。

BIA HOIは街角のあちこちに有ります。湖を通る風に当たりながら、なんていう立地から旧市街の真ん中で、行き交うバイクを見ながらグイっなんていう処まで。

冬にはここで鍋をかこみますが、やっぱり暑い時のビールは格別です。

店先の歩道もビアホイで占領されます。

風物詩7 『 過酷な夏の過ごし方 』

まだまだエアコンが無い家も多いハノイでは、外に出て涼を取ります。
ただし、外出時間は早朝と夕方以降に限ります。日中暑い時は外に出ないのが基本。
それでも昼時に外で過ごす場合、日陰で休み体力温存を心がけるのが最良策といえます。

湖畔の遊歩道も休憩所に早変わり。あちらこちらにシートを張ってゴザを敷き日陰を作って休みます。

湖畔の遊歩道も休憩所に早変わり。あちらこちらにシートを張ってゴザを敷き日陰を作って休みます。

日中静かに家で過ごせない若者は、バイクで疾走。湖の周りをグルグル回って風を満喫します。ベトナム名物『バイク散歩』暴走族ならぬハノイ族。

日中静かに家で過ごせない若者は、バイクで疾走。湖の周りをグルグル回って風を満喫します。ベトナム名物『バイク散歩』暴走族ならぬハノイ族。

人っ子一人、犬一匹見かけない日中の様子が一変し、夕方からの公園はどこも大混雑です。

歩道や空き地は路上バトミントン・路上バレーボールの試合会場に早変わり。太極拳・マラソンを始め、思い思いに体を動かす人々でごったがえします。公園が多いハノイだからこその風景です。

ビーチバレーならぬ、夕方の空き地バレー

日没後のウォーキング

涼しくなったら、家族連れで夕涼み

ハノイの観光名所、ホーチミン廟の前の公園の夜の様子です。

祭りでも有るのかと思えるほどの人、人、人、人、人・・・老若男女、人だらけ。

ホーチミン廟の前の公園の夜の様子

ハノイでも冷房が効いた場所が増えています。

でも、過半数のベトナム人は昔ながらの手段で厳しい夏を乗り越えているように見えます。

文明社会の恩恵を被り、それに慣れてしまった人間が忘れてしまった労力と順応性を再認識させられるハノイ人の暮らしぶり。見習うところが有るのかもしれませんね。

※この記事は2010年にご寄稿いただいたものです。紹介されている情報は2010年当時のものです。

◆ベトナムからの便り バックナンバー
No.1『ハノイ、冬の景色』

東京からの便り vol.5『梅雨時の生き物たち』


こんにちは。オザです。東京はジメジメ、ムシムシした梅雨を迎えています。
この季節になるとくせっ毛な私の髪はもしゃもしゃになってしまうので、出かけるのも憂鬱。一年の中でもっとも苦手な季節です。

梅雨の季節を彩る花といえばアジサイですよね。青や紫、白にピンクと色とりどりの花が雨にぬれてしっとりと咲く姿は鮮やかで、うっとうしい気分を和らげてくれます。

アジサイの葉っぱの上にカタツムリや小さな緑色のカエルを見かけることもあります。私が住んでいるところは都心の郊外にあるため、小さな生き物たちもまだまだ生息しているようで、水辺のある公園からは、夕刻になるとカエルの合唱が聞こえてきます。

昨年まで娘が通っていた幼稚園ではカマキリやバッタ、ダンゴムシなどを虫かごに入れて飼育していました。先日も公園で子どもと遊んでいたら、男の子がカナヘビを発見。残念ながらこういうときに限ってカメラを持っていなくって、写真に収められなかったのですが(写真が載っていたら、虫が苦手な人は嫌な思いをしたでしょうから、なくってよかったのかも?)、子どもたちが小さな生き物と触れ合える環境が残っているというのは嬉しいことだと思います。

 公園で四葉のクローバーも発見!

幼稚園での飼育といえばこんなこともありました。父が趣味で育てている無農薬のキャベツをもらったときのこと、葉っぱの間にアオムシが1匹付いていました。いつもならば「キャ〜」という悲鳴とともに、サヨナラをしてしまうのですが、その時はたまたま虫好きな子どもたちのことが頭をよぎり、アオムシを虫かごに入れて娘に幼稚園へ持って行かせました。おいしいキャベツをたくさん食べたせいか、それとも育つ環境が良かったのか、アオムシはその後さなぎになり、子供たちが見ている前で蝶に羽化したそうです。あまり虫が得意ではない娘もこのときは感動したようで、何度もその話を聞かせてくれました。

父の家庭菜園ではなくご近所のキャベツ畑にて撮影

またあるとき、住宅地を自転車で走っていたらこんなポスターを発見しました。

へぇ〜。モグラがいるんだ!と驚いてしまいました。木の下や周辺を見回してみましたが、もちろんモグラの姿は見えませんし、土を掘ったような後も見られなかったのですが、きっとどこか近くに生息しているのでしょう。モグラはエサとなるミミズや昆虫の幼虫などがいる肥えた土を好むそうです。

先日テレビを見ていて娘に「ホタルって何?」と聞かれました。ホタル=光る虫という認識はあるものの、どこがどんな風に光るのか疑問に思った様子。娘はまだ一度もホタルを見たことがありません。私も子供の頃は何度か見たことがありますが、大人になってからは一度もホタルを見たことがありません。調べてみると東京や近郊の県でもホタル鑑賞ができる場所があるようなので、いつか見に出かけてみたいと思います。曇っている日で、湿度が高く、風のない日の午後7時〜9時ごろがホタルを見つけやすい条件だそうです。

また、夏が近づくにつれて厄介なのが「虫刺され」。特に子どもはすぐに刺されてしまいます。市販の虫よけスプレーを使うこともあるのですが、スプレーした時のむせる感じや強い香りが好きではないので、なるべく、蚊を寄せ付けない効果のある天然成分のアロマオイルを使った虫よけスプレーを使うようにしています。市販の物よりも効き目は弱いかもしれませんが、何度か付け直しても香りがよく、肌にも優しい。体だけでなく網戸にスプレーしたり、アロマオイルを焚いてベランダに置いたりして対策をしているのですが、蚊もかなり手ごわくこの程度では攻撃から逃れることはできません。これからのシーズンの悩みの種です。

北半球で、昼の時間がもっとも長くなる夏至。今年は6月21日でした。
「夏至と冬至の夜、午後8時〜10時の間は電気を消してキャンドルの灯りでスローな夜をすごそう」というスローガンを掲げた『1000000人のキャンドルナイト』。数年前から我が家でも実施しています。今年も子どもの就寝時間に合わせた短い時間ではありましたが、電気を消してキャンドルをともし、静かな夜をすごしました。地球のためにできるとっても、とっても小さなことですが、年々、キャンドルナイトに賛同する人や企業が増えているようで各地でイベントが実施されているのは素敵なことだと思います。この日を通じて、より多くの人が地球温暖化やエコについて考えるきっかけになってくれるといいなと思います。

※この記事は2010年のご寄稿いただいたものです。紹介している情報は2001年当時のものです。

★『東京からの便り』のバックナンバーを読む
特派員:オザ(東京の郊外に夫と幼稚園児の娘と三人で住んでいる主婦。Lee100人隊のお買いものコラムもやってます。)

vol.1『ゴミの有料化は効果的か
vol.2『秋から冬へ』
vol.3『世田谷ボロ市と冬の過ごし方』
vol.4『春の花便り』
vol.5『梅雨時の生き物たち』
vol.6 『東京の家探し事情』
vol.7『東京で家を買う』

ドイツからの便り vol.5『初夏を味わう』


暑い…涼しい中いかがお過ごしですしょうか?
今年は例年にもまして衣替えのしづらいベルリンよりお便りです。
セーターは一年中しまうことがないのですが、今年はマフラーと手袋すらもしまえないまま6月を迎えることになりました。
ヨーロッパでは日本のようにはっきりとした季節の変化が順序良くやってくることはなく、寒い寒いと言っていた翌日に突然快晴の夏日がやってくることが多い気がします。数日前には32度を越え突然真夏かと思っていたら今日はこうしてセーターを羽織って執筆しています。

春を待ち続けていたら夏になっていた、といったドイツの初夏、気候や気温で感じるより、街の変化で気がつくことが多い気がします。

ドイツの初夏
ドイツの夏といえばビアガーテン、を想像されるかと思います。
太陽が沈むと肌寒さを通り越してけっこう寒いのですが、用意された毛布を羽織ながらもビールを飲んでいるドイツ人で賑わいます。
ちょうど今年は4年に一度のサッカーワールドカップがあり、小さなカフェにもテレビやスクリーンが置かれ、即席のビアガーテンでサポートする姿があちこちでみられます。涼しいながらも夏らしい活気があふれています。

広めの道にゆったりとテーブルを広げて

そして週末となると公園はバーベキューをするグループで大賑わい。
最近公園として開放になったベルリン市内の旧飛行場の滑走路も新しいBBQスポットとして大人気です。

テンペルホーフ空港の滑走路でピクニック

暖かく晴れの日を逃すと次はいつかまったくわからないこちらの気候では太陽への思い入れは並ではありません。

視覚で感じる季節
さて、暖かい季節の訪れを喜ぶのは人間だけではありません。
冬の間は影をひそめていた植物たちが活気づきます。

裏庭の木を観察していたら20日間でこうして見事な緑をつけました。

食する初夏
目にも味覚にも楽しいハーブ、バジルやパセリは定番ですがその他ドイツではイタリアやフランスとは一味違ったハーブが見られます。

ハーブを育てることは趣味というよりも日常のごく一部。
キッチンの出窓で小さな家庭菜園コーナーをかまえ、少しずつ摘んで食します。

特に栽培が簡単なGartenkresse(クレス)はドイツ家庭の常備野菜。ハーブというより小さな青野菜。サラダにふりかけたりお皿のデコレーションにしたり、なかなか重宝するのです。

これがドイツ人の常備野菜クレス

そして暖かい風が吹き始めて楽しいのはマーケットめぐり。

季節ものが週変わりにお目見えします。冬野菜と違って色とりどりでにぎやかさを増します。春先にはイチゴや白アスパラが特に目を惹きます。

地下鉄構内にまで季節限定でイチゴ売りのお店が登場。

最初に出回る大粒のイチゴはスペインなどからの輸入物、それから数週間後の小粒はドイツ国産のイチゴ。

白アスパラを食べたか、まだか、もこの時期の話題のひとつです。

「アスパラガス」をテーマに友達と集まってちょっとしたホームパーティーを開いたり。

四季の変化があいまいな土地では新鮮な季節の素材で味わう四季の移り変わりも楽しいものです。
みなさんはどんな初夏を味わってらっしゃるでしょうか?

※この記事は2010年にご寄稿いただいたものです。記載されている情報は寄稿当時のものです。

★『ドイツからの便り』の他の記事を読む
特派員:スズキ(フランスで学生をしたり、スイスで時計店に勤めたり、気がつくとヨーロッパ10年目、現在はドイツで再び学生生活中。)

vol.1『エコロジストの正体』
vol.2『明かりの世代交代』
vol.3『寒さとのお付き合い』
vol.4 『待ちに待った春の訪れ』
vol.5『初夏を味わう』
vol.6『引越しは秋の風情』
vol.7『手作り家作り』

デンマークからの便り vol.10 『デンマークの春』


春から初夏にかけて、花々の美しい時。
デンマークに暮らしていると、週単位で変化している自然の今を堪能しなければ、またあの寒い季節がやってくる!と少し焦ってしまうのは、私だけなのでしょうか?

春の始めには木立の足下に小さな花々が咲き始めます。これは森の中に咲くアネモネ

ようやく長かった冬の終わりの気配を感じるのは、外から聞こえてくる鳥の声と、日に日に感じられる太陽の光。デンマークの春は微笑みが多くなる季節です。

コペンハーゲンの町中にあるローゼンボー王立公園。クロッカスのカーペット

特に例年にない雪に見舞われた今年の冬の後では、この春の気配は最高の自然の贈り物。
「前回のデンマークの便り9」にも書きましたが、長い冬の暗さの後では、 「太陽の光を浴びたい!」欲求は高まります。
仕事をしていてもランチの時間などは、ベランダや中庭で太陽を浴びながらちょっと一息。

ランチタイム

公園のベンチなどでも、なにをするでも無く目を閉じて口元は微笑み、太陽に向けて顔をあげて光を満喫している人々はよく目にする光景です。

ローゼンボー王立公園

家の中にいるよりも、少しでも外に出て今を堪能するちょっとした工夫。週末はコーヒーを魔法瓶にいれて新聞をもって近くの公園や、アパートの共同の中庭、あるいは自分の庭でのんびりする。そこに友達家族なども加わっておしゃべり。のんびりしたデンマークの時間が流れていきます。

中庭でくつろぐ、日常の風景

日常生活に身近な外部空間が、自然の森や草原、から、公園、中庭といった都市のパブリック空間、そして個人の庭にいたるまで、いいバランスと距離感で計画、実現され、人々も日常生活のなかでそれらの使い方のセンスを心得ている。
外部空間に携わる仕事をしている私には、デンマークの日常生活から学べることがたくさんあります。

※この記事は2010年にご寄稿いただいたものです。紹介している情報は2010年当時のものです。

★『デンマークからの便り』バックナンバーを読む
特派員:林 英理子(デンマーク在住のランドスケープデザイナー)
vol.10 『デンマークの春』
vol.9 『デンマークの冬/コントラストのある生活』
vol.8 『地域性とエコロジカル』
vol.7『物を大切にする暮らし』
vol.6 『社会に蓄積していくデザイン』
vol.5『Jorn Utzon』
vol.4『デンマークのクリスマス』
vol.3『デンマークの住宅、建築事情』
vol.2『デンマーク、自転車生活』
vol.1『10回目の夏』

東京からの便り vol.4 『春の花便り』


 

こんにちはオザです。
東京からの便りも4回目になりました。今回は東京の春の花便りをお伝えしようと思います。

冬の間は空気の乾燥した晴天の日が多く安定していた天気ですが、春が近づいてくると一変。ぽかぽかと暖かい日があるかと思えば、急に風向きが変わってコートが手放せないような寒い日に戻ったり、雨が降ったり、強風が吹き荒れる日があったりして、天気は変わりやすくなります。気温の変化も激しいので体調の管理もいつも以上に気をつけなければなりません。

今年は春分の日ごろ、急速に発達した低気圧の影響で全国的に強風が吹き荒れ、各地で交通が乱れたり、けが人が出たり、西日本を中心に黄砂が舞ったりと猛威を振るいました。
このような変わりやすい天気を繰り返しながらも季節は着実に暖かな春へと向かっていきます。

梅の花が散り、ミモザが黄色くてかわいい花をつけると春の訪れを感じます。

私はミモザが大好きで、いつか一戸建てに住むことができたら庭先にこの樹を植えたいと夢を見ているのですが、花粉症の夫はこの黄色い花を見ると鼻がむずむずとしてくるそう。スギ・ヒノキのアレルギーなので影響はないはずですが、イメージなのでしょうか。友だちの家で咲いた花をお裾分けしてもらったので、部屋に飾ったところぱっと明るく華やぎました。

マンションに植えられているクリスマスローズも2月から3月にかけて花が咲きました。うつむき加減に咲く姿が可憐ですが、わりと丈夫なようであまり手をかけられていない花壇にあっても毎年たくさんの花を咲かせています。

近所の公園には比較的自然が残されていて、春になるといろんな木々の花や草花を見ることができます。
3月中旬、この公園へ春の花を探しにカメラを持って出かけました。そのうちのいくつかを紹介します。

まずは入口付近にあるオオカンザクラ(大寒桜)が見ごろを迎えていました。撮影をしたのは3月18日。
今年のソメイヨシノの東京での開花は3月23日と発表されましたが、それよりも一足先に満開になっていました。ソメイヨシノと比べるとやや花の色が濃く華やかさがあるような気がします。

園内を歩いているとふと甘い香りがします。香りを辿っていくとジンチョウゲ(沈丁花)の花が咲いていました。この香りで春を感じる人もいるのではないでしょうか。つぼみのピンクのものと白いものの2種類が植えられていました。

ユキヤナギも小さな白い花を枝いっぱいに咲かせていました。その名の通り雪のように白い花は清楚な感じがします。

青空に映えるコブシの花。春の到来をつげる花のひとつですね。別名を「田花桜」ともいい、花が咲く頃を田植えの目安としたそうです。
1羽の鳥(ヒヨドリかな?)が飛んできて花をついばんでいました。

足元に目を向けるとツクシが顔を出していました。
この公園では毎年たくさんのツクシを見つけることができます。

他にもオオイヌノフグリやタンポポといったおなじみの植物も花を咲かせはじめていました。

園内ではサンシュユやボケ、モクレン、パンジーなどの花もきれいに咲いていました。また、この公園では見かけませんでしたが、ハナニラやスミレ、ムラサキハナナなども界隈でよく見かけます。

まだ枯れた色をしている芝生ですが、もうしばらくすると緑色一面に覆われます。子どもたちの好きな虫も冬眠から覚めることでしょう。公園で遊ぶのが楽しい季節がもうすぐそこまで来ています。子どもたちにはなるべく外で自然と触れて季節の変化を感じ、遊んで欲しいなと思います。

3月30日現在、5分咲きのソメイヨシノです。

今年の東京での開花は3月23日でした。開花した後、気温の低い日が続いたので、満開まではあと少し。今年はいつもよりも長く花見が楽しめそうです。

年々ソメイヨシノの開花が早くなってきているのはやはり、地球温暖化の影響でしょうか? 入学式のイメージのある桜ですが、このままいくと近い将来は卒業シーズンの花として定着してしまうかもしれません。ソメイヨシノは一定期間、冬場の低い気温にさらされないと開花しないため、地球の温暖化が進むと、今世紀末には咲かない地方が出てしまうというシミュレーション結果もあるそうです。また、戦後一斉に植えられたソメイヨシノの樹々が弱ってきていて、寿命を迎えているという話も聞きます。

ぱっと華やかに咲いて、はかなく散ってしまうソメイヨシノは日本人の大好きな花。いつまでも鑑賞できることを願ってやみません。

※この記事は2010年にご寄稿いただいたものです。紹介している情報は2010年当時のものです。

★『東京からの便り』の他の記事を読む
特派員:オザ(東京の郊外に夫と幼稚園児の娘と三人で住んでいる主婦。Lee100人隊のお買いものコラムもやってます。)

vol.1『ゴミの有料化は効果的か
vol.2『秋から冬へ』
vol.3『世田谷ボロ市と冬の過ごし方』
vol.4『春の花便り』
vol.5『梅雨時の生き物たち』
vol.6 『東京の家探し事情』
vol.7『東京で家を買う』