東京からの便り vol.6 『東京の家探し事情』


こんにちは、オザです。
今年の夏は歴史的な猛暑で、毎日うんざりするほどの暑い日が続きました。10月も例年に比べると気温の高い日が続いていましたが、最近になってやっと朝晩はぐっと涼しくなり秋めいてきました。
猛暑の影響はいろいろなところに出ており野菜の価格が高騰したり、花不足が深刻だったり。紅葉も例年より遅れているようです。

空はすっかり秋の様子。日が暮れるのもだいぶ早くなりました。

今回のテーマは「住まい探し」ですが、我が家は今までに2回引越しをしました。
最初に住んだ部屋は東京23区外にあるC市の木造アパート。新築だったので部屋がきれいで交通の便もよく、とても気に入っていたのですが、私の妊娠を機にもう少し広くて、実家に近い場所に引っ越すことになりました。

次に住んだ部屋は今住んでいるのと同じマンションの別の部屋です。
マンションが完成して2ヶ月しか経っていないほぼ新築状態の分譲マンションでしたが、部屋を購入された方が中国へ転勤になってしまったので、戻ってくるまでの間、部屋を賃貸に出されたのです。急な転勤だったせいか、日本ではめずらしく家具付きで貸してくれました。
C市のアパートに住んでいた時は部屋が狭かったので、必要最低限の家具しか持っていなかった私たちにとってこの部屋は魅力的でした。しかも持ち主のお宅には1歳の女の子がいたので、出産を控えていた我が家はラッキーなことに、ベビーバスやベビーベッドなどの用品も使わせてもらうことができました。本当に運が良かったと思います。

東京で賃貸物件を探す方法としては、インターネットや住宅情報誌で情報を得るか、不動産屋さんに足を運び条件にあった物件を探してもらうのが主流だと思います。我が家は実際に部屋や環境を見て選びたかったので、不動産屋さんに通い何軒もの物件を見て回りました。

私たちの部屋探しの条件は主に、
1.最寄りの駅から徒歩10分圏内であること
2.家族が増えるので70m2ぐらいの広さはほしい
3.家賃が払える額であること。

主人は通勤に便利な都心に住みたがっていましたが、70m2以上の部屋となると家賃がかなり高額になってしまいます。会社から多少家賃の補助はあるものの、無理のない範囲で支払うとなると金額に妥協はできません。条件に見合うところがなかなか見つからず、週末ごとにいろいろな部屋を見て探しました。

東京で部屋を借りる場合、最初にかかる金額には敷金と礼金、仲介手数料などがあります。

敷金とは、家賃の保証のために貸主に預けておくお金のことで、特に問題なく住んでいた場合は部屋を退去する際、戻ってくるお金のこと。
礼金とは貸主に対してお礼として支払うお金なので戻ってくることはありません。
仲介手数料とは仲介業者を通して部屋を借りた場合に業者に対して支払う報酬のことで、業者によって設定している金額に差はありますが、敷金と礼金は家賃の2か月分、仲介手数料は1か月分が一般的なようです。
そのほかに更新料というのもあり、部屋を借りて2年ごとに家賃の約1か月分を支払うのが相場。驚いたことに戦後の住宅難の時代からずっと続いている慣習だとか。

引越しってけっこうお金がかかるんですよね。

欧米などでは、賃貸住宅でも自由に手を入れてリフォームを楽しんでいるようで、うらやましく思います。
東京では賃貸住宅の契約を結ぶ際、『賃貸住宅紛争防止条例』通称「東京ルール」にもサインをすることになっています。平成16年10月から施行されているこの条例は、退去時の原状回復をめぐって敷金返還トラブルが増えたため、退去時の復旧と入居中の修繕に関する費用負担などを事前に決めておくことで、トラブルを未然に防ぐのがねらい。かつてはあいまいだった通常使用によるクロスや畳の変色などの費用負担は、借主が負担する必要はなく、貸主がもつことと明確にされています。

賃貸住宅でも工夫をこらしてインテリアを楽しんでいる人は大勢いますが、壁に穴をあけないように、クロスや床を傷つけないようにと気を使うことが多いのも事実。次の人にもきれいな部屋を貸したいと思う大家さんの気持ちも分からないではありませんが、海外の部屋の借り方とはずいぶん違うなと感じるところです。

今住んでいるところの近所には、かつて公団と呼ばれたUR都市機構の賃貸住宅もたくさん建っています。この界隈は50年前に多摩初の大規模団地として整備され、その後の団地のモデルにもなった場所。

当時人気のあった団地も50年がたち、建物が老朽化したため次々と立替の作業がすすんでいます。

ここに引っ越してきたばかりのころは、古い団地が暗くてあまりいい印象をもてなかったのですが、次々と取り壊されていく姿をみると、少しさびしい気もします。新しい棟は目の前に公園や街路樹などがあり、美しく整備されているのですが、ここも50年後にはどんな姿になっているんだろう?

UR賃貸のメリットは礼金、仲介手数料、更新料がなく、敷金3か月分だけで入居できるので初期費用を安く抑えられること。あとは、独り暮らしの人にも家族向けにも対応できる幅広い間取りが用意されていることや、その他の賃貸に比べて占有面積が広めにできていること。近くに公園やスーパーなどの環境が整っているところも多く見られます。ただ、家賃はやや高めに設定されているようです。

結婚した当初は、いずれ双方の両親が年老いた時には実家近くに家を構える予定だったので、賃貸生活を続けるつもりでいたのですが、分譲マンションに運よく定期借家として入居することができてからは考えが変わりました。
当分の間、東京で暮らすのならこのまま家賃を払い続けるよりもマンションか一戸建てのどちらにせよマイホームを買ってローンを支払うほうがいいのではないかと。
次の機会には今の部屋を購入するに至った経緯をお伝えしようと思います。

※この記事は2010年にご寄稿いただきました。紹介している情報は2010年当時のものです。

★『東京からの便り』のバックナンバーを読む
特派員:オザ(東京の郊外に夫と幼稚園児の娘と三人で住んでいる主婦。Lee100人隊のお買いものコラムもやってます。)

vol.1『ゴミの有料化は効果的か
vol.2『秋から冬へ』
vol.3『世田谷ボロ市と冬の過ごし方』
vol.4『春の花便り』
vol.5『梅雨時の生き物たち』
vol.6 『東京の家探し事情』
vol.7『東京で家を買う』