福島からの便り Vol.2


“かわまた「結の家」”訪問取材

この冬はエルニーニョ現象の影響で全国的に暖冬となり、各地のスキー場などでは雪不足に悩まされていましたが、年が明けて一転、週末毎に南岸低気圧が猛威をふるい、1月18日には日本各地で大雪に見舞われ、1月24日には奄美大島では115年ぶりとなる降雪が観測されました。福島も例にもれず毎年の冬の傾向がつかめず、地球規模での環境の変化に戸惑うばかりです。

そんなおり、南岸低気圧の到来により積雪が予想される1/30に、前回の夏編で紹介した“かわまた「結の家」”に取材を依頼し訪問してきました。

川俣へ向かう道中

川俣へ向かう道中

天気予報の通り、1/30は前日からの降雪により、私の住む福島市では10cm程度の積雪がありました。福島市の東南に隣接する伊達郡川俣町でも同じような積雪があり、“かわまた「結の家」”に向かう道中は積雪と渋滞により通常の1.5倍くらいの時間を要しました。

雪の中の“かわまた「結の家」”

雪の中の“かわまた「結の家」”

到着すると、“かわまた「結の家」”は借景の小山と一体となって一面銀世界に包まれていました。

薪小屋

敷地の東側と南側に設けた薪小屋は生け垣を兼ねており、春が近づくにつれて薪が減り隙間が増えていきます。母屋が薪小屋の隙間から見えてくるようになると春の到来となります。薪ストーブの冬の営みが感じられる“薪小屋兼生け垣”です。

薪小屋兼生け垣

薪小屋兼生け垣

薪ストーブ

“かわまた「結の家」”の暖房設備は薪ストーブ一台のみです。玄関から入ってすぐの土間スペースに鎮座しており、全館を緩やかに温めています。背面のコンクリート壁は外断熱の蓄熱体です。

“かわまた「結の家」”の暖房設備は薪ストーブ一台のみ

“かわまた「結の家」”の暖房設備は薪ストーブ一台のみ

温度・湿度の測定

普段の薪ストーブの生活をご主人に伺ったところ、夜の9時頃に最後の薪をくべてから就寝、朝は5時頃に起床して、まずは薪をくべるところから一日が始まるとのことでした。

薪をくべるご主人

薪をくべるご主人

ということで、ご家族の協力のもと1/30~1/31の室内と室外の気温と湿度を測定し、“かわまた「結の家」”の室内環境の性能を実証してみることにしました。

2016年1月30日~1月31日の室内と室外の気温

2016年1月30日~1月31日の室内と室外の気温

起床時の1/31の朝5時に氷点下1℃まで外気温が下がったにもかかわらず、1/30の就寝時の夜9時の24.7℃から21.4℃までしか下がらず、かなり蓄熱性のあることが分かりました。

断熱材

夏編でも触れましたが、“かわまた「結の家」”では蓄熱性と吸放湿性に優れている、木質繊維系の断熱材を採用しています。

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蓄熱性のある断熱材で建物を包んであげれば、薪ストーブで緩やかに温められた建物が夜間に冷えてしまうことを防いでくれるので、薪ストーブと相性が良いだろうと判断しこの断熱材を採用しました。測定の結果、ねらい通りの効果を発揮していました。

016年1月30日~1月31日の室内と室外の湿度

016年1月30日~1月31日の室内と室外の湿度

一方で、冬の結露対策の為にこの断熱材の吸放湿性に期待していましたが、かなりの乾燥状態にあることが分かり、薪ストーブが室内を乾燥させていることがうかがえます。
長男はより暖かい2階の子供部屋の乾燥になじめず、離れのアトリエで寝泊まりしているそうです。諸条件を整理する必要はありますが、薪ストーブを採用する場合の課題も見えてきました。
申し訳ないと思いつつ長男には離れでの寝泊まりを楽しんでもらうことに期待します。

離れのアトリエ

離れのアトリエ

離れのアトリエ

離れのアトリエと母屋の「結の家」


saitohirofumi@kkjkkj特派員

齋藤史博(さいとう ふみひろ)

1973年福島県福島市に生まれる
1997年に新潟大学工学部建設学科卒業後、組織事務所を経て2006年に「さいとう建築工房」を設立。
無理をしない、素直な家づくりを目指して地元福島で頑張っています。
2013年に“かわまた「結の家」”にて、第6回JIA東北住宅大賞2012「優秀賞」、第8回木の建築賞「木の建築賞」を受賞。

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福島からの便り Vol.1