コペンハーゲンは小さな街です。
私のもっぱらの移動手段は自転車。どこに行くのも自転車で30分も走ると着いてしまいます。仕事場へも、毎日、自転車で10分。友達の家へお食事に行っても、終電を気にせず、自転車で。デンマークは平らな国なので、坂道もないので快適です。
街には自転車道が整備され、自転車の運転ルールもしっかりあります。右側通行、手旗信号、夜間はライトの点灯を義務付けるなど、守らないと警察に罰金を取られるものもあるのです。
自転車の種類もいろいろなものがあって、見ていても楽しいものです。
特に街を走っていてよく目にするのが、子供を乗せて保育園や幼稚園に行くお父さんやお母さんの姿。ほとんどが共働きのデンマーク人、朝の自転車ラッシュのなか、自転車に揺られてゆく子供達。ですから、自転車の形も工夫されています。
自転車のワゴンに入っているデンマークの子供達。コペンハーゲンの街に、微笑ましい雰囲気を与えます。
コペンハーゲンの街の中には、観光客用の自転車スタンドが街の要所、要所に配置されています。自転車に20クローネコインを入れると、鍵がはずれます。同じ場所のスタンドに返さなくても、どこかのスタンドにまた鍵をかけて返すと、20クローネコインが手元に戻ってくるシステム。なかなか良いアイデアです。
この自転車普及率は、デンマークは車に掛かる車両税がとても高いので車を所有しにくい背景もあります。でも、街へ住んでいる限り、車を持たなくても自転車があれば不便ではありません。
コペンハーゲンの街の中にある国会議事堂。自転車置き場はもちろん入り口のすぐ脇にあり、国会議員さん達も自転車通勤。
デンマークの郵便配達も自転車です。この自転車、かっこいいのです。
デンマークの電車、地下鉄の車両へは,ラッシュアワーを除いて、自転車も乗せることができるので、少し遠出のサイクリングや通勤もできるのです。夏休みに見かけた風景で、国境を越えて自転車ツーリングなんて、日本ではすこし考えられないことですね。
自転車を電車に持って入る料金は、ちなみに12クローネ(約240円)。
ある、週末に見かけた、二酸化炭素排出量を削減するキャンペーン。こんな光景を見かけました。
1トンの二酸化炭素のボリュームだそうです。なるほど、実感がわきますね。
都市の移動手段を考えるときに、確かに車は現代の都市生活に欠かせない手段となっています。ですが、人間的都市空間を考えるとき、車などの時間的効率を優先させる手段だけでなく、
都市の中でさまざまな移動手段が可能な、幅のある都市交通システムを作り出していく事が、これから益々必要になるのではないでしょうか。
コペンハーゲンの街を通っているハーバー。黄色い船は水上バス。このバスにも自転車を乗せることができます。
馬のひずめの音が街に響くと、街のストレスもフッとなくなるような気がするのです。
ちなみに、これが私の愛車です。
※この記事は2007年にご寄稿いただいたものです。紹介している情報は2007年当時のものです。
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特派員:林 英理子(デンマーク在住のランドスケープデザイナー)
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vol.9 『デンマークの冬/コントラストのある生活』
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vol.7『物を大切にする暮らし』
vol.6 『社会に蓄積していくデザイン』
vol.5『Jorn Utzon』
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vol.3『デンマークの住宅、建築事情』
vol.2『デンマーク、自転車生活』
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