ドイツからの便り vol.7『手作り家作り』


ベルリンよりこんにちは。
日本では25度の暖冬が記録されるその裏で体感気温マイナス23度という過去80年来で一番寒い12月1日を記録したばかりのドイツです。

クリスマスマーケットも出揃いました

冬になると日照時間が極端に短くなることもあり、まるで人口が減ったかのように街はガラガラ。その分、家にいる時間が長くなるので、自宅の隅々まで目が行き届くのもこの季節。そういえば住まい探しも住まい作りも、こうして目の鋭くなっている寒い時期がいいといいます。
さて今回は秋からの連続テーマ「住まい」について、今回は「住まいづくり」のお話です。

住まい作りの基礎

厳しい目で物件を選んだあとは家作り。とはいえ、すてきなインテリア家具を探したり配置に考えをめぐらせたりする前にしなくてはいけないことがあります。
気に入った物件の気に入らない部分は徹底的に直すことから始めるのがドイツ流。
つまり、家そのものに手を入れていくのです。
ドイツの男性は、機械・乗り物の修理、ペンキ塗り、床の張替え、配水管の修理などは自分でできて当たり前。一家に一台いてくれると本当に頼もしい存在です。
彼らの日曜大工はプロもびっくりのレベルで、中には家を建ててしまうという凄腕もいますが、その話はまたいずれ。
冬になるとスーパーのチラシによく登場するのが大工工具の特売品。

待ってました!とばかりにすぐ売り切れてしまうほど。

ドリルマシーンで壁に穴を開けるのは基本の基本、天井に穴を開けて照明を入れたり、壁を取り壊したり、日本の大家さんなら腰を抜かしてしまうのではないでしょうか。
もちろん大掛かりなものになれば大家さんの承諾が必要になりますが、住居にとってプラスになる工事であれば補助金を出してくれることもあります。

いつ建てられたものなんだろう、と考えてしまうほど古い外観のヨーロッパの建物ですが、築100年、200年と月日が経っても大切にメインテナンスされ、内装も住人によって十人十色、改築されていきます。
外観からは想像できないほどモダンな内装だったり、開けて驚くお宅でいっぱいです。

手作りインテリア

家作りの基本に納得がいくと次にインテリア。
家具は大型家具店、蚤の市、古道具屋で探すか、これまた自分で作ってしまうかです。
近所の人が安く売りに出している家具を探すサイトもあります。

中古家具のオークションサイト

市民大学では「家具お直し講座」があり、脚の折れて使えない椅子や、大きすぎる机などを持ち込んで講師と一緒にまた使えるものにしていこうという企画で、これはいつも人気で受付開始するとすぐに定員オーバーとなっています。

まさに一からドゥーイットユアセルフなドイツの家作りです。

ベルリンに住み始めた頃、一つ驚いたことがありました。
カーテンのついている家がほとんどないのです。
ドイツ人に聞いてみると「そういえばそうだねぇ」という返事しか返ってこないのですが、丸見えでもあまり気にしない文化のようです。
そのわりに冬になると玄関に分厚いカーテンを引いて外気の侵入を防いでいる家も多くあります。人目より寒気が厳しいドイツの冬。一句詠んでしまいました。
我が家の居間にもたしかにカーテンがないのですが、窓からしみいる寒気を防ぐために今年こそ付けようかとまさに検討中の冬の始まりです。

※この記事は2010年にご寄稿いただいたものです。記載されている情報は寄稿当時のものです。

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特派員:スズキ(フランスで学生をしたり、スイスで時計店に勤めたり、気がつくとヨーロッパ10年目、現在はドイツで再び学生生活中。)

vol.1『エコロジストの正体』
vol.2『明かりの世代交代』
vol.3『寒さとのお付き合い』
vol.4 『待ちに待った春の訪れ』
vol.5『初夏を味わう』
vol.6『引越しは秋の風情』
vol.7『手作り家作り』