みなさん、こんにちは。今回は「春」をテーマに暖かい便りをお届けできるはずだったのですが、前号ベトナムの冬よりも寒そうなベルリンの春がちょうど始まったばかりでのお便りとなります。
今年の冬は本当に長く、最後に(本当に最後だといいのですが・・・)雪が降ったのは3月14日でした。
ということで今回は春の到来のシンボルでもあるイースターについて少し書いてみたいと思います。
クリスマスのお菓子が店頭から姿を消すと間もなく卵やウサギを象ったチョコレートが並び始めます。ヴァレンタインデーのチョコレート・・・を贈る習慣はありません。このお菓子たちはもうすぐやってくるイースターのお祭り用です。
春を知らせるイースター
イースターはキリストの復活を祝うお祭りです。日本人にはあまり馴染みのない祝日ですがキリスト教徒にとってはクリスマスと同じくらい大事な一日。クリスマスのように毎年日にちが決まっていれば覚えやすいのですが、イースターは移動祝日です。
春分の日の後にくる最初の満月の日(今年は3月30日)の次の日曜日ということで今年は4月4日。ちなみに去年は3月23日、来年は4月24日と1ヶ月も違いがでることがあるのです。
このイースターを基に、さらにいくつかの祝日があります。
たとえばイースターから46日前に始まる四旬節。食事の節制が行われるこの期間の1週間前には謝肉祭、つまりカーニバルが行われます。特に有名なのはリオのカーニバル、ヴェネツィアのカーニバル、ドイツではカトリックの多いケルンで一番盛大なものが行われますがベルリンはプロテスタント系なので静かなもの。
カーニバル最終日の火曜日はマルディ・グラ(肥沃な火曜日)とよばれ特に盛大なお祭りが開催されます。このお祭りがさかんなアメリカのニューオーリンズ出身の友人の元にはこの日のために小包が届いていました。
いっぱい食して、宴を開いていざ節制に臨むのですね。
イースター休暇
イースター直前の金曜日は聖金曜日Karfreitagとなりキリストの受難と死を記念する祝日です。イースターの1週間前から子供たちは2週間の春休みに入り、大人たちもこの金曜日から4日間の長週末で日本のお盆のような 日々を家族で過ごします。
この休暇を室内から雪を眺めて過ごすか、バーベキューをして過ごすか。
毎年違ってくるわけです。
日にちが移動するだけでなく、月の満ち欠けや日数計算が複雑で覚えにくいこともあり、この習慣になれているはずのドイツ人でさえ、カレンダー片手に過ごすイースター関連の祝日です。
イースターの主役
さて、宗教色の薄いベルリンではこの時期をシンプルに、春そのものの到来をお 祝いします。ゲルマン族はキリスト教とは関係なくずいぶん昔から春の到来を祝っていました。寒い地域だけに春の訪れは本当に喜ばしいものなのでしょう。このお祭りは豊壌のシンボル、卵とウサギが盛り上げます。
卵を使った遊びもいろいろ。茹で卵を転がして壊れなければ食べてよし!という遊びや、公園や庭に卵を隠して子供たちに探させる遊びなどがあります。イースター前の卵の色づけ、学校がお休みになった子供たちの楽しみの一つです。
春の始まり
さてその春の到来を祝うイースターに向かってようやく少しずつ暖かくなり始めているベルリンです。
まだコートは手放せないものの、お昼休みに日向の公園でテイクアウトランチをする姿やご近所さんとのんびりおしゃべりする姿も見かけました。
大晦日からずっと雪に覆われていた地面もやっと姿を現し、元気な植物にはすでに花が咲いていました。枯葉と隣合っているのが春の始まりらしいですね。
3月の最終日曜日には冬時間から夏時間へと切り替わります。時計の針を1時間進めることで夏は夜の10時になっても明るい空が楽しめるのです。この日は1時間睡眠時間が短縮されてしまいますが、暖かい春を思うと早起きも嬉しいもの。
これからぐんぐんと色をつけてくる街の木々や花に負けないくらい元気に暖かい季節を満喫したいと思います。
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特派員:スズキ(フランスで学生をしたり、スイスで時計店に勤めたり、気がつくとヨーロッパ10年目、現在はドイツで再び学生生活中。)
※この記事は2010年に寄稿していただいたものです。紹介している情報は寄稿当時のものです。
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vol.1『エコロジストの正体』
vol.2『明かりの世代交代』
vol.3『寒さとのお付き合い』
vol.4 『待ちに待った春の訪れ』
vol.5『初夏を味わう』
vol.6『引越しは秋の風情』
vol.7『手作り家作り』