北海道からの便り Vol.5


こんにちは、櫻井です。夏の北海道からお届けします。

今年の北海道の春から夏にかけては、とてもめまぐるしい天候だった記憶が新しいところです。
いつもより早く、とっても早くやってきた春。
暖かかった5月。まだ春の気配も残っているのに真夏のような陽気が続いて、まさしく冬頑張った分のご褒美だよと神様から降ってきた陽気にみんなウキウキしていたのもつかの間、6月はとっても寒い日が続いて、日照時間も少なく、どんよりと気分の中で「これは*リラ冷えだ」とか、「蝦夷梅雨だ」とか言いながらおきまりの天気の話題が始まるといった感じでした。

*リラ冷え:北海道(特に札幌だけ?)では6月初旬の寒い日を、その頃開花するリラ(ライラックになぞらえてリラ冷えと言います。今年は5月の陽気で早々に開花してしまって、この頃はもうライラックは散ってしまっていました。

札幌市新川通りの桜並木

札幌市新川通りの桜並木
今年ご縁あってこの並木の見える敷地で店舗併用住宅の計画が進んでいます。
改めてご報告できれば幸いです。

毎回、何をお知らせしようかと悩むのですが、今回は下川町で進んでいるリノベーションのお仕事の話を少し。お店につながる住居と、その裏側の工場を繋ぐ動線の整理、ご両親の暮らしが1階で完結できること。2階に娘さんご家族が適度な距離感で暮らせること。という条件のもと、築50年近い建物を外観は変えずに内部をリノベーションするプロジェクト。
ご両親の先代からの建物で、家族構成や暮らし方が変わるにつれて何度もなんどもリフォームを重ねてきたことがわかります。

解体が進んで骨組みがあらわになった。とても驚いたのは家の中から屋根が出てきたこと。

解体が進んで骨組みがあらわになった。とても驚いたのは家の中から屋根が出てきたこと。

比較的新しかった店舗の2階の床下にはびっちりグラスウールが入っていた。 きちんと床を作りなおすため一度撤去して左側に積み上げられている。もちろんまた敷き直して気密を取る。

比較的新しかった店舗の2階の床下にはびっちりグラスウールが入っていた。
きちんと床を作りなおすため一度撤去して左側に積み上げられている。もちろんまた敷き直して気密を取る。

 

せっかくリノベーションするのだから、今までより冬暖かく過ごしていただきたいと真っ先に思うわけです。なので、断熱改修は重要でどこまでをどのように改修するか、全体のバランスを見ながらできるだけ無駄のないように計画を進めます。今回は施工業者さんが既に決まっていたので、初めの段階から相談しながら仕様を決めました。お店部分とつながる住居は、できるだけ外観の雰囲気を変えずに残し、内側から断熱補強をします。既存の軸内に105mmの高性能GW16kgと、さらに垂木で下地を組み、50mmの高性能GW16kgを付加し、ポリフィルムでしっかり気密を取ります。1階の床は床梁の下をネットで受けてGW24kgを200mmその上にポリフィルムで壁同様気密をとります。ここで大事なのは、床と壁、壁と屋根面で気密が切れないことです。

床のポリフィルムはあらかじめ壁面に立ち上げ、壁のポリフィルムとしっかり貼り合わせます。

梁の周りは、新築工事では梁をかける時に先張りしたフィルムと屋根面、壁面をしっかり貼り合わせます。改修工事では先張りが難しいところも出てきますので、梁周りを念入りに気密テープ処理します。

1階の床の断熱工事。この上にポリフィルムを敷いて気密テープで止め、下地の構造用合板を敷き、仕上げする。

1階の床の断熱工事。この上にポリフィルムを敷いて気密テープで止め、下地の構造用合板を敷き、仕上げする。

1階の壁の断熱工事。GWが入ったところ。どうしても壁量が不十分なところは軸内側から構造用合板で補強をする。(写真左)このあと垂木下地をして、さらに50mmGWを付加して気密を取る。

1階の壁の断熱工事。GWが入ったところ。どうしても壁量が不十分なところは軸内側から構造用合板で補強をする。(写真左)このあと垂木下地をして、さらに50mmGWを付加して気密を取る。

2階壁の気密工事。給気口のパイプの周りもしっかりシートとテープで気密を取る。忘れてはいけないのがコンセント。コンセント周りの気密を取る専用のBOXをはさめて、ポリフィルムとしっかり張り合わせる。このあと天井下地にポリフィルムを張り、ブローイングGW300mmを吹き込む。天井のポリフィルムと壁のポリフィルムはもちろんしっかり貼り合わせる。

2階壁の気密工事。給気口のパイプの周りもしっかりシートとテープで気密を取る。忘れてはいけないのがコンセント。コンセント周りの気密を取る専用のBOXをはさめて、ポリフィルムとしっかり張り合わせる。このあと天井下地にポリフィルムを張り、ブローイングGW300mmを吹き込む。天井のポリフィルムと壁のポリフィルムはもちろんしっかり貼り合わせる。

エコハウスが出来てから丸5年、なんだかんだとご縁をいただいて下川には通い続けさせていただいています。7月14日には私が下川のエコハウスを設計させていただいたきっかけになった、ヨーロッパエコツアーを主宰されている、エコロジストの松本英輝さんが下川に来てくださいました。(http://www.miyazaki-catv.ne.jp/~ecohideki/)

英輝さんは世界中約100カ国を自転車で周り、その間かいま見る地球環境の変化やそれと寄り添いながら生きているそれぞれの地域の暮らし、そして地球環境に起こっている様々な変化を私たちはどう受け止めて行動していくか、そんな示唆をいつも下さる私のエコ師匠なのですが、この日もまたさらに進化した世界のお話はとても共感できて、ますます環境に負荷をかけない建築や暮らし、生き方が大事だと胸に刻んで帰ってきたのでした。

右上:会場となった下川町にある旧共立木材事務所。北国らしく美しいガーデンと共に大事に管理されている。 右下:お話会の様子。下川町で環境に興味のある方々が雨の中集まってくださった。 下川町で、これからどんな暮らしを目指したらよいのか、とても具体的な質疑が飛び交い、 充実した時間を過ごした。 左下:旧共立木材事務所前で英輝さんと、北大水産学部の拓磨くん。 左上:前日富良野から自転車でなんと160kmの道のりを来てくださった。そしてまた爽やかに自転車で出発する二人。かっこいい。

右上:会場となった下川町にある旧共立木材事務所。北国らしく美しいガーデンと共に大事に管理されている。
右下:お話会の様子。下川町で環境に興味のある方々が雨の中集まってくださった。
下川町で、これからどんな暮らしを目指したらよいのか、とても具体的な質疑が飛び交い、
充実した時間を過ごした。
左下:旧共立木材事務所前で英輝さんと、北大水産学部の拓磨くん。
左上:前日富良野から自転車でなんと160kmの道のりを来てくださった。そしてまた爽やかに自転車で出発する二人。かっこいい。

 

最後に、印象深かった初夏の出来事を一つ。

北海道大学の構内にある重要文化財「札幌農学校第2農場」
(http://museum-sv.museum.hokudai.ac.jp/exhibition/modelbarn/)

耐震改修工事が済んで、一般公開が再開されたと聞いて、見に行ってきました。

しっくりと緑に馴染んだ佇まいもさることながら、バルーンフレームに代表される地元の大工さんが建てられるように考えられた合理的な軸組や、ほんの些細なディティールまで職人さんの真心を感じる、まさに北国の精神の象徴のようなところに(大げさですが)改めて感銘を受け、歴史の浅い北海道ですが、自由な心意気のルーツのようなそんな気さえしながらハッとした体験でした。札幌にお越しの際にはぜひ。オススメのスポットの一つです。

初夏の重要文化財「札幌農学校第2農場」通称モデルバーン

初夏の重要文化財「札幌農学校第2農場」通称モデルバーン

 

130731_sakurai北海道からの便り-特派員/櫻井 百子(さくらい ももこ)

1973年北海道旭川市生まれ。北海道東海大学芸術工学部卒業後、都市計画事務所、アトリエ設計事務所を経て2008年アトリエmomo設立。子育てしながら、こころや環境にできるだけ負荷の少ない設計を心がけている。平成22年度 北海道赤レンガ建築奨励賞、2011年度 JIA環境建築賞 優秀賞 (住宅部門) 受賞。

[北海道からの便り バックナンバー]
北海道からの便り Vol.1
北海道からの便り Vol.2
北海道からの便り Vol.3
北海道からの便り Vol.4