被災地からの便り Vol.2


住宅・建築物省CO2先導事業 (平成23年度 第3回 特定被災区域部門)
〔住宅(戸建住宅)〕採択を受けて

前回は、当時の震災状況と本事業に採択された建物性能についてご紹介させていただきました。今回は、冬編ということで本物の省エネ住宅(高性能住宅)が、震災時にどのような性能を発揮し、また健康に対しても影響を持ち、そして性能の差を目で見ることができることをお伝えしたいと思います。

本事業に提案しました提案住宅は「FPの家」をほぼ標準仕様のままで採択となりました。全国に約45,000棟の実績があり、もちろん震災地域にも数多くの「FPの家」が建っています。

震災時に性能を発揮した点については前回でも南雄三様のお話を交えご紹介しましたが震災当時、帰宅困難の小学生が近所のお宅に分散して泊まったそうですが、省エネ住宅とそうでない住宅とで暖房が無い中、家の中の暖かさがはっきりと違ったそうです。もちろん「FPの家」に泊まった生徒たちは皆口をそろえて暖かかったといってくれました。

省エネ住宅は、災害時にも威力を発揮してくれることを証明しました。

省エネ住宅は更に健康にも良い影響を与えてくれます。

交通死亡事故が年間5千人を下回っている現在、いまだに家庭内死亡事故が1万件を超えています。その死亡原因の殆どが住宅性能を悪さから来る温度差による「ヒートショック」が原因といわれています。健康維持増進住宅研究委員会(国土交通省主幹)が2009年に行った2万人のアンケート調査では、断熱性能が高くなるほど、諸症状(15項目)がよくなるといた結果がでました。そこで「FPの家」にお住まいのユーザー様から同じアンケートを4千件強実施し、2万件に上乗せしました。その結果、2万件のときよりも更に良い改善率の結果となりました。この結果から、省エネ住宅は光熱費の削減だけではなく医療費の削減にも役立ちます。

エネルギー資源を海外に頼り、そして高齢化社会が加速し、医療費負担が増大していく日本にとって、高性能な省エネ住宅は、今後益々不可欠となってくるでしょう。

一般社団法人 健康・省エネ住宅を推進する国民会議による「暮らしと住まいの健康講習テキスト」表紙

一般社団法人 健康・省エネ住宅を推進する国民会議による「暮らしと住まいの健康講習テキスト」の表紙

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一般社団法人 健康・省エネ住宅を推進する国民会議による「暮らしと住まいの健康講習テキスト」の中で示された「高断熱の健康改善効果」。

建築業界と医療業界が一体となって、住宅と性能について調査を始めました。「一般社団法人 健康・省エネ住宅を推進する国民会議」
http://www.kokumin-kaigi.jp/

高性能住宅といっても計算された数値では、その性能を車や家電製品のように簡単に比較や体感できないのが住宅です。更には、造ったときは良くても住宅は20年・30年、この資源の無い日本において、今では100年以上移り住んでいかなければならなくなってきました。家を腐らせず経年変化をさせないことが、高性能住宅の必須条件の一つであります。

FPグループ会員工務店では現在全棟気密測定を行って相当隙間面積1.0c㎡/㎡以下での、お引渡しを行っていますが、現在5年以上経ったFPの家の気密の経年変化を調べるため再測定を全国から物件を抜き出して行っております。

更には、サーモカメラを使った経年変化も調査しようと考えております。建物が完成したときは良くても、地震や風力、その他の諸条件による振動等による断熱材の脱落等や壁体内結露など経年変化を起こしていないか、気密測定・サーモカメラによる断熱変化を調査し始めます。

災害の多い日本において、地震や台風、最近は水害に強い住宅づくりはもちろん、省エネ性・耐久性・耐火性、もちろんデザイン性も大切です。それらがそろって、そこに住まう家族の幸せが生み出せると信じています。

地震国日本において耐震性は欠くことはできません。造った時は丈夫でも10年後、腐っていては地震に耐えられません。ですから経年変化を追及するのです。

津波に耐えたFPの家

津波に耐えたFPの家

津波に耐えたFPの家

津波に耐えたFPの家。全てが残ったわけではありませんが、周りの住宅が全て流された中、1棟のFPの家だけが残り、改修しお客様が住み続けております。

特に湿度の高い日本において湿気・結露は木造を腐らせる原因となり、耐久性を著しく損ないます。日本で木造建築が始まったときからの課題でもあります。

それに対し、現在では室内側に防湿層が設けられ、通気層工法が標準的な施工方法となっております。更に「FPの家」では、断熱材に透湿抵抗のお高い硬質ウレタンフォームを使用し、ユーザー様に「無結露50年保証」(ウレタン素材内部)を実施しております。

更には、全棟気密測定を実施し、相当隙間面積1.0c㎡/㎡でのお引渡しを実施しております。

現在では全国平均0.48c㎡/㎡にまで技術レベルが上がってきましたので、本事業では、0.5c㎡/㎡以下の高い性能で提案いたしました。

気密がよくなれば、室内結露が発生しやすくなります。しかし、気密の性能が良いほど計画換気がしやすくなります。「FPの家」では換気が義務化になった平成15年以前の、今から30年も前から24時間計画換気システムを実施してきました。そして、計画したとおりに換気がなされているか、風量測定も実施しております。そのおかげで結露はほとんど無縁です。

また、お引渡し前にホルムアルデヒド及び5種類のVOCを測定し、お引渡し前に基準値以下であることも実施しております。

さてここで、高性能住宅の性能や経年変化を目で見る方法を伝授いたします。(というほどのことでもありませんが)

ひとつは、サーモカメラを使った方法ですが今回サーモカメラが無くても、断熱性能を見分ける方法があります。

これは自然現象の協力が必要です。

それは、雪です。雪が降ったときに近所の屋根を見てください。雪が残っているか、融けているか。屋根だけではなく、基礎周りも意外ときれいに除雪しているなと思ったら建物のから熱が逃げて家の周りの雪を融かしていることがあります。

どちらが高性能住宅か一目瞭然!(わかりますよね?)

どちらが高性能住宅か一目瞭然!(わかりますよね?)

雪が降ったら是非、周りのお家を観察してみてください。

現在札幌にQ値0.44W/㎡kのモデルハウスが完成し体験宿泊をすることができます。今年は寒さが厳しいので体験宿泊し快適さを満喫するにはもってこいの時期です。また、東京でもQ値0.97W/㎡kの建物が完成予定です。こちらもお客様のご好意により5月頃まで見学が可能です。

体験宿泊・見学をご希望の方は下記までご連絡ください。
㈱FPコーポレーション 東京本社 FP営業部
東京都千代田区岩本町2丁目18-3 NBS岩本町ビル4F
TEL:03-6891-7812
担当:門田昌士(モンタマサシ)

今回をもって私のお話は終わりますが、また機会がありましたサーモカメラや気密の経年変化などのデーターをお見せしたいと思います。

皆様の家づくりに少しでもお役に立てましたら幸いです。

門田昌士(もんた まさし)
1961年生、北海道岩見沢市生まれの道産子。大学卒業後、東京に夢を抱きミニゼネコンで現場監督を経験するも、バブルの渦に飲み込まれ失意の元Uターンし、木造の現場監督として再起。その時、高断熱・高気密住宅のFPの家』に出会う。正直に仕事が出来ることに喜びを感じる。
長年現場を経験し、問題があれば答えは現場にあるとの考えから、建て方はもちろん断熱・気密・換気の施工から、建築後の床下から小屋裏まで、どこまでも潜り込んで原因を追究。
現在、東京都においてパッシブを主としたQ値1.0W/㎡kをきる低炭素型『FPの家』を構築し推進中。
また、一般社団法人JBNと共同で、外国産及び化学畳に押され生産量が落ち込んでいる国産いぐさ及び日本の文化を守るため、真空断熱材を畳床に利用した「VIP和畳」(熊本県推奨畳表仕様)を普及促進に従事。