被災地からの便り Vol.1


はじめまして、FPコーポレーションの門田昌士です。今回は私たちが住宅・建築物省CO2先導事業の「平成23年度 第3回 特定被災区域部門」における〔住宅(戸建住宅)〕採択を受けるまでの経緯とその後の進捗についてご紹介したいと思います。

まず私が所属する「FPコーポレーション」について、簡単にご紹介させていただきます。
FPコーポレーションは、
28年前からFP工法を用いて、高断熱・高気密住宅をつくり続けてきた工務店集団で、全国約350社のボランタリーグループです。
全国を10地区に区分し、地区毎の代表者で組織した全国役員が、基本方針や目標・事業活動内容を決定します。各地区は、全国の基本方針に基づき、地区の方針を決め活動しています。

「FP」とは、フレームアンドパネルの略称です。そして「FP工法」とは、木軸の土台・柱・梁・桁をフレームとし、工場で製作した断熱パネルをこのフレームにはめ込む工法です。パネル工法のため、現場の施工性がアップし、ごみの削減にもつながり、CO2削減にも寄与します。何よりも現場の施工に左右されずに高性能化が図ることが可能です。
FP工法を用いた「FPの家」は、
全国で45千棟の実績のある高性能住宅です。28年前から既に平成11年の省エネ基準を満たし、全棟気密測定を実施し1.0c㎡/㎡を保証しています。また、法律で義務付けられる(H15年)以前から24時間換気システムを標準装備し、引渡し時には全棟換気風量測定を実施しています。

東日本大震災後の環境と共生する住まいづくり

思い出しただけでも身の毛がよだつ東日本大震災の爪痕。震災後、取引先の工務店各社を訪問し、その生々しい現場を体感しTVでは到底伝わらない現場の惨状を目の当たりにして、何とか現地のお役に立てないかと心が奮い立った思いが今でもよみがえります。

また、仮設住宅の建築現場を見て、高性能住宅を造り続けて来たFPグループとして、寒冷地においてこんなところに人を住まわせてはいけないとの思いも湧き上がってきました。

震災後の状況

震災後の状況

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真新しい太陽光発電が更に虚しさを誘う。

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粗悪な仮設住宅。
緊急時とは言え、あまりにも粗悪な箱。
寒冷地と分かっているにも係らず、アルミサッシのシングルガラス。もちろん断熱材は、取るに足らず。

そんな時に国土交通省から特定被災地向けの補助事業があることを知り申請にいたりました。
実は、それ以前にこの補助事業の申請に失敗しており、自信をなくしておりましたところ、現一般社団法人 JBN(当時、一般社団法人工務店サポートセンター)環境委員会にサポートをしていただき、特に副委員長の小山様(エコワークス㈱ 代表取締役社長 小山貴史様)には多大なるご協力を頂戴したことをこの場をお借りして御礼申し上げます。
JBNのサポートを受け無事採択となり、おかげさまで30棟の補助枠を頂戴することが出来ました。

特定被災区域が対象となりますので、地域区分としましてⅡ・Ⅲ・Ⅳ地区が対象となり、被災地を考慮しますと、夏よりも寒さの厳しい冬を主にした建物性能を提案し、夏場は通風の確保や軒・庇による日射遮蔽を考慮しました。(基本躯体性能は、Ⅱ地区とⅢ・Ⅳ地区に分けました)
おおむね気候特性は夏季「やませ」の影響を受けやすい地域です。
もともと、北海道生まれの『FPの家』は寒冷地で威力を発揮します。よって、補助事業も建物性能は標準仕様で対応でき、創エネ・高性能設備機器に補助金を当てることにより省エネで快適に健康に住まう住宅をご提供することができました。

FPコーポレーションの提案概要

FPコーポレーションの提案概要

地域の工務店が活性化することは、その地域における下請け業者さんや建材屋さんも活気づき強いては、その地域全体が活性化するものと考えます。

また、『家づくりは地域密着型であるべき』との信念から、その地域の気候特性も良く理解した、工務店が家造りを担い、建てた後のメンテナンスも含めお客様との信頼関係を築くものとの考え、私が今までの経験を生かし支援できるのはこれだと思い、皆様の協力を得て実現しました。

震災後、住宅技術評論家の南雄三様がいち早くライフラインが断たれた時の暖房と室温低下の実態調査報告をされておりましたが、その結果を見て自分たちが今までやってきたことに間違いは無いと、提案内容に一層の自信が持てました。

しかし、一番悩んだのは設備機器の熱源をオール電化にするガス併用にするかでした。悩んだ末、結論としてオール電化を選択しました。

その理由は、過去の災害を見ても復旧が早かったのは電気であること。電気が無ければ、ガス機器も使用できず、今後の災害対策としては、カセットコンロがあれば十分であるとの結果からオール電化で提案しました。

震災への備え「住まいができること」

話はそれますが、私の住んでいるところは、あの液状化のTV映像(泥が噴出す、マンホールが立ち上がる)で有名な千葉県新浦安(埋立地)のマンションの7階に住んでいます。もちろん、電気・ガス・水道がストップしました。

そこで一番何が不便だったかと言いますと、電気でもガスでもなく「水」です。

水と言っても飲み水も大切ですが、トイレの後始末の水に一番苦労しました。近くの小学校のプールにクーラーボックスを担ぎ、バケツを両手に持って小学校と自宅を3往復したらもう動けません。それなのに、勢い良く流れていくトイレの水を見た時には、空しさを感じました。
そう言った事を鑑みて、タンクのあるエコキュートを提案しました。今後は、浴槽のお湯はもちろん、雨水タンクの設置も考慮・提案していかなければと、身をもって感じました。(ちなみに、今でもまだ復旧工事をしています。)

(左)飛び出したマンホール (右)傾いた交番

(左)飛び出したマンホール (右)傾いた交番

小学校の校庭に用意された給水所にできた行列。 左奥にプールがある。

小学校の校庭に用意された給水所にできた行列。
左奥にプールがある。

 

 

 

 

採択後の進捗

事業の採択を受け、工務店各社も大いに期待し即スタートと意気込みましたが、実際には中々進まなかったのが実情です。
その大きな理由は
1.工務店さんは、地域の住宅・店舗といった手直し改修工事で大忙し。
  その間に、大手ハウスメーカーやビルダーに新築工事を取られてしまっている。
2.新築する土地が無い。高台の造成は数年先。
3.全ての業種が忙しく、業者の手配が付かない。
  また、資材・原料・商品が入手できない上、資材高騰の状況。
4.お施主様の予算と合わず、とにかく「仮設住宅を出たい」という気持ちが優先。
  予算は全て込みで1,500万円程度である上、省エネや高性能住宅に対する意識は無い。

ということでした。こういった理由から、進捗は思うようには行きませんでした。

kkj様にもご心配をかけ、資料の不備もご指導を賜りながら何とか30棟の見通しも立ち、お客様に喜んでいただいている状況です。

岩手県 A邸

事業採択の実例/岩手県 A邸

高窓・天窓による通風排気

福島県 I邸

事業採択の実例/福島県 I邸

茨城県 N邸

事業採択の実例/茨城県 N邸

茨城県 N邸(内観)

茨城県 N邸(内観)

冬編は、建築後の省エネ住宅の見分け方の写真を用意します。お楽しみに。

地域からの便り 特派員

門田昌士(もんた まさし)
1961年生、北海道岩見沢市生まれの道産子。大学卒業後、東京に夢を抱きミニゼネコンで現場監督を経験するも、バブルの渦に飲み込まれ失意の元Uターンし、木造の現場監督として再起。その時、高断熱・高気密住宅のFPの家』に出会う。正直に仕事が出来ることに喜びを感じる。
長年現場を経験し、問題があれば答えは現場にあるとの考えから、建て方はもちろん断熱・気密・換気の施工から、建築後の床下から小屋裏まで、どこまでも潜り込んで原因を追究。
現在、東京都においてパッシブを主としたQ値1.0W/㎡kをきる低炭素型『FPの家』を構築し推進中。
また、一般社団法人JBNと共同で、外国産及び化学畳に押され生産量が落ち込んでいる国産いぐさ及び日本の文化を守るため、真空断熱材を畳床に利用した「VIP和畳」(熊本県推奨畳表仕様)を普及促進に従事。