流山からの便り
「環境共生とまち育て」


[クイーンズフォレスト流山おおたかの森]プロジェクトを事例として

1.当社は、2004年5月に設立した筑波大学発ベンチャー企業です。

社名のプレイスメイキング研究所は、元、筑波大学の芸術学部 環境デザイン(准教授)渡和由氏に名付け頂きました。[プレイスメイキング]は、居場所づくりと直訳できますが、ファーストプレイス(住まう場所)、セカンドプレイス(働く場所)、サードプレイス(その他余暇の場所、アンカーとなるべく重要な場所)と、空間の活用用途によりよばれています。

当研究所では、ファーストプレイス(住まいに関係する事業)から実務研究を進める事としました。中でも計画的戸建て住宅地(一定の規模で集住して目的となる共有(共用)施設等を所有または管理を行う権利者組織を有する戸建て住宅地を対象としています。

2.事例プロジェクトの概要

団体名:クイーンズフォレスト流山おおたかの森

面積:約2.139ha(21392.33㎡)

最寄り駅:つくばエクスプレス流山おおたかの森駅

戸数:95戸

3つの権利者

  • クイーンズフォレスト流山おおたかの森管理組合(建物所有者の組織)
  • クイーンズフォレスト流山おおたかの森景観協定運営委員会(土地所有者等の組織)
  • クイーンズフォレスト流山おおたかの森自治会(居住者の組織)

管理対象物:集会所/ゲートモニュメント/ベンチ/ゴミBOX

特徴:グリーンチェーン認定レベル3(流山グリーンチェーン戦略)景観協定(認可協定)

まちなみコンセプト(ランドスケープデザインに込めた7つの思い)            

①四季を楽しむたくさんの緑の量
②自然テイストの素材感
③電柱もなく空が広く感じるみちなみ
④曲がりくねって景色が変わっていく様子
⑤シンボルになるサークルツリー
⑥小さなコミュニティ単位
⑦何より安全で子供たちが自由に遊び回れるまち筋

「クイーンズフォレスト流山おおたかの森」は、流山市の新市街地地区一体型特定土地区画整理事業の中で新市街地東地区内に位置します。つくばエクスプレスの流山おおたかの森駅を中心に地域全体が計画的に開発された「まち」です。つくばエクスプレスに隣接した95区画から成る戸建住宅地で、駅から徒歩10分圏内で小山小学校やスーパー(カスミ)に隣接しており、住環境としても充実しています。一般財団法人住宅生産振興財団によるまちなみコーディネートがなされており流山市との事前協議や連携により、まちづくり(生みの親)として「まち」「もり」「ひと」をコンセプトに、美しくデザインされており、まちなみを維持管理するための工夫がなされています。まちづくりのコンセプトを引継ぎ(育ての親)管理組合や景観協定運営委員会の組織活動を行っています。また、自治会を設立してコミュニティ(親睦)活動を通じ、住宅地内の住民交流や講習会等の催事活動を行っています。

2016年(平成28年)に、第16回住まいのまちなみコンクールにて「住まいのまちなみ賞」を受賞しています。

3.景観協定とグリーンチェーンレベル3の認定で見て分かる景観価値の創出

流山市・グリーンチェーン認定のマーク

景観法に基づく、景観協定の認可を受けており、景観協定運営委員会により協定の内容を審査してまちなみを守る仕組みがあります。販売当時のコンセプト「まち」「もり」「ひと」をイメージしたランドスケープは、上記の流山市の認定と認可協定により、販売開始から14年近く経過した今も、美しさを維持しており資産価値が担保されています。流山グリーンチェーン戦略による「グリーンチェーン認定レベル3」を取得しています。緑量や景観配慮の規定を全戸がクリアーして初めて認定されるものです。

「クイーンズフォレスト流山おおたかの森」のまちなみ

◆関連サイト:流山市HP「流山グリーンチェーン戦略」
https://www.city.nagareyama.chiba.jp/information/1007116/1007365/1007482/1007483.html
緑の連鎖で冷気が街の中へ流れ込む
つくばエクスプレス沿線整備の5つの区域内及び市内全域の流山市開発指導等要綱に規定する開発事業で、個々の開発事業における「緑の価値」づくりの取組みを支援し、その取組みを連鎖させることで、
緑豊かな街全体の環境価値を創造するもの。

4.権利者組織の運営サポート

管理組合、景観協定運営委員会、自治会の理事や役員は兼務で行っています。各組織の特性を生かし連動させた運営を行っています。管理組合費の徴収や名簿管理、理事会サポート、総会サポートは、現在当社にて受託しています。集会所用地と各宅地1本のまちの木の維持管理は、専門の造園会社に委託をしています。

景観協定の審査についても、外部の専門家の協力を得る体制があります。毎年理事役員が交代しても資産管理に繋がる部分は、外部の専門会社の協力を得ています。自治会活動として、親睦活動(餅つき、ハロウィン、まちなみ点検)など、楽しみに繋がる交流の部分は自治会役員として企画から運営まで自立した活動を行っています。

自治会活動の守備範囲は広く、リサイクルゴミの回収や流山市との連絡調整、回覧板や現地掲示板へのポスター掲示など多岐に渡ります。

集会所
ごみBOX
総会
自治会のイベント

環境共生とまち育て

まちづくりの理念を、住まい手につなぐ事で、資産価値も守られるように販売時、販売後の説明会を徹底してきました。

結果的には、その場所に住む人(権利者組織)の考えがまちなみとして現れます。

整えられた生垣、花壇の花、清掃されているごみ置き場、掃除されている玄関など、戸建住宅地では、マンションと違い、公道に面している部分が多く、不特定の方が公道として通る事が出来きます。また、住まい手による[まちなみへの気配り]は、訪れる者に、ポイ捨てなどはできないな!と領域性(縄張り)を感じさせる効果がある。

まちの木(共有管理の対象)は枯れる事もありますが、まちの重要な緑量として維持管理され、管理組合にて毎年手入れや補植が行われています。

住まい手のプライドは、まちの表情として現れ、価値を共できる人を選んでいるともいえます。

開発許認可日 
/ 開発面積 
2012年12月28日 / 21392.33㎡ 
コーディネート一般財団法人住宅生産振興財団
造成株式会社大林組
開発設計株式会社セット設計事務所
グランド計画+
まちなみデザイン
路地広場空間設計 代表 高澤静明
植栽(外構)
デザイン・施工
住友林業緑化株式会社
維持管理企画・
管理サポート
株式会社プレイスメイキング研究所
販売 ハウスメーカー(7社)ミサワホーム東関東・住友林業・積水ハウス・大和ハウス工業 トヨタホーム・パナホーム(現:パナソニックホームズ) 三井ホーム
建物所有者  組織管理組合   設立:2014年8月24日  組合費2,500円/月
土地所有者等 組織景観協定 運営委員会設立:2014年8月24日費用徴収無し
居住者(住民)組織自治会設立:2015年5月24日費用徴収無し

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【著者略歴】  
温井 達也 (ぬくい たつや)
(株)プレイスメイキング研究所 代表取締役
2004年:筑波大学芸術 修士課程環境デザイン(デザイン学:修士)修士課程在学中に筑波大学発ベンチャー企業(株)プレイスメイキング研究所を設立、現在に至る。
2022年:筑波大学人間総合科学研究科 建築デザイン(デザイン学:論文博士)
計画的戸建て住宅地の企画~管理設計、コンサルティング業務と研究の両面から取り組んでいる。
・著書に「戸建住宅地管理論―自律共生社会による-」2018年2月発行 出版社:結ブックス